EXPO 2025 大阪・関西万博へ(一足早く万博納め②)

9月27日(土)、「EXPO 2025 大阪・関西万博」の4回目の訪問となりました。
今回が我々のEXPO2025 大阪・関西万博の訪問納めになります。
その様子をつづっていますが、早めのランチを食べたところまでがこちらです。
ここからは、その続きとなります。
当日の昼から
究極の工芸品
ベンチから立ち上がったのは、まだ12時前の11時45分くらい。
次の予約は13:30-14:00開始のもの。まだ1時間半以上あるので、行ってみたかった別のパビリオンを目指します。多少並んでも時間的な余裕はあるかな、と。
ポルトガル館のある調和の広場から大屋根リングに戻り、今度は反時計回りで北へと歩きます。
空の広場から中心部に向かって折れ、特徴ある外壁のアゼルバイジャン館の向かいにあるのが、目的の「夜の地球 Earth at Night」。

ここには、大きな輪島塗の地球儀が展示されています。
先月8月23日の訪問日、同日に秋篠宮家の佳子様が訪れたことがニュースになっていたので、その存在を改めて知り、訪れたくなったわけです。
予約不要なので入場には待つ必要があると思っていたんですが、特に並ぶ様子もなく、入口に立つ警備の方も、中へと誘導されていました。
中は、地球儀の製作工程を写真や動画で紹介するエリアがあって、その奥で、いよいよ地球儀とご対面、となります。製作に纏わる苦労を共有してから現物を見た方が、より感動が高まるでしょうからね。
でも、ひとつ、大きな勘違いをしていました。
製作に5年を費やしたこの地球儀。5年ということから、てっきり2018年秋に開催が決定した大阪・関西万博への出展のために作製されたものかと思っていたんですが、そうではなかったんですね。
開催決定より前の2017年から、後継者不足で悩む石川県輪島市の輪島塗職人たちが困難に挑戦し、若い世代に魅力を伝えようと輪島塗技術保存会に所属する職人37名が木地、蒔絵、沈金など8部門で分業し、5年がかりで作製されたもの(読売新聞 2025/04/10より)だそうで、完成後は輪島漆芸美術館で展示されていたそうです。
昨年1月1日の能登半島地震では、奇跡的に損傷を免れ、震災からの復興のシンボルとして展示が復活していたのだそう。
この地球儀を、ぜひ大阪・関西万博で、と、2025年日本国際博覧会協会会長の十倉氏が働きかけて実現したそうなんですが、その理由は、なぜ海外パビリオンが立ち並ぶコネクティングゾーンにこの国内パビリオン「夜の地球」があるのか、の答えでもあるんでしょうね。
もともと、トルコ・モナコの横、アゼルバイジャンの向かいのこの建物は、イランが入る建物だったそうです。そのイランが撤退したことから、建物を転用したのが「夜の地球」だそうですね。
まぁ、そんな裏話は置いといて、地球儀本体の漆塗りの様子、その漆黒の地球儀への蒔絵による地図の描画の様子などを映像で見ていると、ホンモノが見たくなってきます。その実物が、隣の部屋に。

漆黒。そう、まさに漆黒です。
つやのある真っ黒の地球儀に、光り輝く金色の大地。

実際の衛星から見た夜の地球と同じような姿なのだと思います。北朝鮮に灯る灯りがほとんどなく、韓国との対比が話題になるところも、忠実に再現されています。
素晴らしい輪島塗の技術を見せてもらえたパビリオンでした。
何をするにも…
まだ、1時間ほど時間があるので大屋根リングの下を西ゲート方向へと歩きます。
ガンダム、ミャクミャクの前を通ると左手に郵便局が見えてきます。7月に記念切手を購入したんですが、その時は出入り自由で窓口での購入で一人二人待っただけだったのに、今では郵便局に入るための長い行列が出来ています。
その隣のオフィシャルストア KINTETSUも輪をかけて長い行列。西ゲートの前まで続く行列の最後尾は、JR西日本グループのオフィシャルストアへの入店待ちの列を覆い隠していて、行き過ぎてしまってました。
JR西日本グループのお店をちょっと覗こうと思っていたんですが…。
こちらの方も、最後尾に立つスタッフの持つ案内板には「40分待ち」の文字。入るのに40分だと厳しいですね。もはや、お土産を買うのも自由にできない人の多さです。
とはいえ、引き返すだけではちょっと時間を持て余すので、大屋根リングに上ってみました。
外周側の遊歩道から西ゲートを眺めます。

真ん中少し上の人の固まりは、オフィシャルストアへの入場待ちの列ですね。反面、写真右端の西ゲートからの入場待ちの列はまったくありません。そういう時間帯もあるんですね。
西ゲートが見えるこの場所は、大屋根リングでも西の端に近いんですが、今回、初めて気づいたことがあります。
それが、ここから明石海峡大橋がハッキリ見えること。

もちろん、望遠ですが、手前に見えるのは神戸空港なんですよね。夢洲と神戸空港と明石海峡大橋は、一直線上に並んでます。
大屋根リングの内側に目をやると、リング上は外周側も内周側も大勢の人でごった返しています。オフィシャルストアの中ほどの混雑ではないものの、ゆっくり散策を楽しむ雰囲気でもなくなっているので、引き返すことに。
このとき、初めて、階段を使って下りてみました。大屋根リングの下の人混みを上から見るのも新鮮です。

近未来の住環境を体験
ほどほどにいい時間になってきたので、飯田グループ×大阪公立大学共同出展館へ。赤い西陣織で覆われた、特徴あるパビリオンです。
予約なしでも入れるようですが、現時点での待ち時間は100分とのこと。やはり、予約の威力は大きいですね。次時間帯の待機列に並びます。

時間となり、スタッフからの説明が始まります。その中で、壁のそばにいる方はぜひ触ってみてください、と。会期中、当然雨も降りますし、しっかりとした防水加工が施されているものの下地は西陣織です。雨が降り込まない部分は防水加工をしていないので"固い"のだそう。逆かと思ってました。
まず通されたプロローグエリアでは、大きなスクリーンでの映像を全員で見ます。このパビリオンの紹介ですね。
そもそも、民間の飯田グループと大阪公立大学が手を組んでプロジェクトを行っているというのは、今回の万博で初めて知りましたが、10年ほど前から「人工光合成技術」の研究を、5年ほど前から「ウェルネス・スマートハウス」の研究を共同で行っていたのだとか。なので、これまでの共同研究の成果の発表の場として万博への出展となった、ということのようです。
そこからもわかる通り、このパビリオンでは、「人工光合成技術」「ウェルネス・スマートハウス」「ウェルネス・スマートシティ」が大きなテーマとなっています。
というわけで、映像のエリアから展示室に入るわけですが、まず、ウェルネス・スマートシティの巨大模型に圧倒されます。長径24m、短径15mの楕円形で、精巧に作られた近未来の街には、実際に鉄道が走り、道路を車が走り、活きた街を感じさせます。が、そちらはじっくりと見るのは後にして、まずは外壁沿いに資料を見ていきます。

まずは、大きなテーマの一つである「人工光合成」。簡単に言うと、CO2が光エネルギーで還元され、その時に生成物の一つとして現れるのが蟻酸(HCOOH)です。この蟻酸を使用して水素を生成したり、発電したりとエネルギーに変えることで、CO2が資源として利用される、ということです。
共同研究で「太陽光から純粋な蟻酸水溶液を製造するエネルギー変換効率が、装置運転に必要なエネルギーも含め、世界最高水準となる4%に達した」とのこと。蟻酸は常温常圧で安定した液体ではあるんですが、10%の蟻酸水溶液20Lに、約1,000L相当の水素が含むことが出来るため、水素エネルギーを安全に貯蔵・運搬できる有機物として注目されているようです。手が届きそうな未来、という感じがします。
お隣には「ウェルネス・スマートハウス」の展示。

日常生活をより健康に過ごすための提案、技術が展示されています。家そのものが、そこに暮らす人の生体情報を取得・分析して健康を支えるインテリジェントな存在となって、住む人の変化を捉えることで未病対策が行える、という住宅です。モデルハウスになっていて、リビングや寝室、トイレ、キッチンなどでそれらの機能を、より身近に感じられるように作られています。
AIが健康状態に応じて栄養や食事プランを提案したり、調理支援をしたりするスマートキッチンは、近未来感がありますが、こちらもすぐそこまで来てるんでしょうね。
残念ながら健康スキャンの体験は40分待ち、ということで出来なかったんですが、モデルハウスの見学は自由に出来ます。

最後に「ウェルネス・スマートシティ」。精巧に出来た街に見とれるんですが、どうも、入場客の視線は違うようで…。
皆さん、ミャクミャク探しに奔走されてます(笑)
これ、時間がたっぷりあるなら、はまりますね。全部で9か所に隠れているとのことですが、ほんの少ししか見つけれらませんでした。

いや、絶対に趣旨が違う(笑)
2階はカフェになっているんですが、満席とのこと。でも、ここからスマートシティの全景が眺められるので、上った甲斐はあります。
というわけで、鉄道模型のジオラマ目線と、ミャクミャク探しとで、スマートシティの本来の趣旨とは違う見方しかできなかったかもしれないですが、パビリオン全体で、近未来の住環境について触れることが出来たような気がします。
初めての当日登録
飯田グループ×大阪公立大学共同出展館から大屋根リングを挟んで向かいにあるのがオーストラリア館です。

4度目の訪問にして初めて予約が出来た当日登録。やっぱり9時直後の入場だと有効だってことですかね。とはいうものの、その時点で予約可能だったパビリオンは限られていて、比較的多く解放されていたのがオーストラリア館だった、ってことでしょうね。
時間にはまだほんの少し早いんですが、入口近くへ。完全予約制となっていますね。予約なしでの入場待ちの列も無いようです。
予約時間まで10分ほどあるんですが、スタッフの男性が「時間に関係なく入場頂けます。」と繰り返しているので、若干「?」と思いながらも列の最後尾に加わります。
列が少し進んだころ、スタッフが交代し「この時間帯(14:30-14:45)までなら入れます。この時間帯までです。」と。さっきの人と言ってること違うじゃん。。と思いながら、チケットQRコードのチェック。5分前でしたが、「どうぞ」、と。なんか、オーストラリアの大らかさ、みたいなものを感じました。
入ってすぐに、オーストラリアの原生林っぽい、「ユーカリの森」に入ります。映像ですが、野生動物が上手く風景に溶け込んで見えます。

やたら広いなぁと思ったら、壁が鏡張りだった、というオチもあるんですが、映像にしろ鏡にしろ、実物以上に良く見せる工夫はすごく感じましたね。
天井に星空が見える通路を通って(実は、通り過ぎた後、後方から「これが南十字星です」なんて声が聞こえて、南十字星を見逃したことを残念に思ってました)、やってきたのは前後左右と天井とに巨大なディスプレイを備えた立席のシアターです。
宇宙から地球、そしてオーストラリア近海の海の中へと移っていく映像で、映像全体が海の底へと移動すると、実際に海に沈んでいくような錯覚を感じるほどの迫力ある映像ですね。映像の一巡は短めで、着席でもないので客の入れ替わりは素早いものです。
で、次は…。と足を進めると異常に明るく、ん?外に出た?
二人して「これで終わり?」と顔を見合わせるほど。確かに、ガイドブックにも所要時間が15分と書いてましたね。大迫力の映像が、時間をさらに短く感じさせたのかもしれません。
早めのディナーと空飛ぶクルマ
現在の時刻が15時前。予約していたパビリオンは全て訪問を完了し、後は夜の花火とお土産の買い物くらいですかね。というわけで、西ゲートの方へと移動します。
ガンダムとミャクミャクの前を再び通り過ぎて西ゲート付近へ。KINTETSUのオフィシャルストアへの入場待ちの列はさらに増えているようで、1時間以上待たないと入れなさそうです。JR西日本グループの方も同じような感じですね。夜には少なくなってるんでしょうか。
ミャクミャクくじは相変わらずの人気で、今からだと3時間待ちだとか。。
さらに西へと進んで、かつて大阪市役所の前にあったミャクミャク涅槃像を通り過ぎます。目的地は、この先にある「サンセット ビア テラス」。休日の昼間でも比較的休憩しやすいと聞いてましたので訪れたんです。どこまで厳密かは判りませんがルールとしては、そばにあるフードコート等のお店で飲食物を買って、ここで食べてね、というもの。ここで営業しているのは関西圏のお店なので、「万博らしい珍しいもの」にはありつけないですが、海外の名物が食べられるお店はことごとく長蛇の列を作っていますので、致し方なし、ということろです。
というわけで、「らぽっぽファーム」で、おいもフライドポテトにソーセージ盛り合わせ、からあげと、生ビールにサンセットソーダを購入して4,000円台と、なんか格安感を憶えながら海の見えるテーブルに落ち着きました。まだ15時半ですが、しっかりと食べるので早めのディナーですね。

目の前には大阪湾が広がり、右には阪神間、神戸の街と、遠く明石海峡大橋まで見渡せる眺望スポットです。
すぐ前にある海沿いには道路が設けられているんですが、結構な頻度で車が走っています。車といっても会場内を行き来するバスや食材などを運ぶトラック、ゴミ収集車など業務用の車ばかりですが、思った以上に往来があります。海には海上保安庁の巡視船が見えるんですが、会場周辺海域の警戒なんでしょうか。
そんな風景を眺めながら、さつまいものフライを頂きます。ジャガイモのポテトフライのようにケチャップが添えられていますが、これはそのままの方が美味しかったです(個人的に)。4種のソーセージは各1本とはいえ、歯応えや味にバリエーションがあって、これで1,000円でいいの!?という感じです。なんかもう、万博価格がわからなくなってます(笑)
ポテトをつまみながらビールを飲んでいると、すぐ前の海上をヘリコプターが旋回したりホバリングしたり。
ひょっとしたら、来月(10月1日)から始まる「空飛ぶクルマ」の事前準備的な作業なのかなぁ、と思っていたら…。

空飛ぶクルマそのものが飛んでるじゃないですか。10月から開始ということで残念に思ってただけに、まさかここで、こんなにも間近で見られるとは。フランス館へのすんなり入場、オーストラリアの当日登録に続くサプライズです。
足を休めたかったこともあって1時間ほどゆっくりとした後、食事を購入した際のレシートで参加できるくじ引き(1,000円分で1回)にチャレンジして、丸い紙製のうちわと記念スタンプという「はずれ」の賞品を手にして「サンセット ビア テラス」を後にしました。
2回連続の花火
で、そろそろ花火が気になる時間になってきたんですが、前回と同じく大屋根リングの下に行こうかと思ったものの、今日一日、大屋根リング下のベンチが空いているのを見ていないくらい人がびっしりでしたから、方針転換。
ちょうど市役所前からやってきたミャクミャク涅槃像の後ろに、数人の「何かを待つ人たち」の姿があったんです。これ、絶対にミャクミャクの後ろ姿越しに花火を見る人たちだ、と判ったので、我々もすぐそばのベンチに腰を下ろしました。花火まであと1時間ちょっとなので、移動するよりは落ち着こう、と。
前回8月23日は19時19分からの打ち上げでしたが、日が短くなったことと、多くの来場者が遅くまで滞留するのを防ぐためにと、打ち上げ時間が18時35分からと変更になっています。その方がありがたいですけどね。
周囲は徐々に暗くなっていき、目の前に上る月がはっきりと見えるようになってきました。
そうこうしている間に18時35分。大きな広場に面したベンチですが、西ゲートよりも西側にあるため人の流れは少なめで、目の前に人が立って視界を遮られることもなく、花火の時間を迎えました。
ちょっと木が邪魔してるかな、とは思うものの、大輪の花火の多くはそれ以上の高さまで上がりますし、十分に満足いく5分間を過ごせました。前回の8月23日も、今回の9月27日も、花火目当てで日程を選んだわけではないんですが、両日ともに楽しめました。
拍手と歓声の中、花火が終了すると大勢の人の流れが動き出します。終了と同時にオフィシャルストアへの列も伸びるかと思ったんですが、JR西日本グループの方は意外にも列は短く、数分で店内へ。ただ、店内は恐ろしいほどの人の数でしたね。
さすがに今回のお土産・グッズ代金の総額は、前回を上回らなかったんですが、4回の総額にすると結構使ってるでしょうね(笑)

レジ奥にあるJR西日本ならではの展示物をいくつか写真に収め、お店を出ました。
最後のサプライズ
そういえば、夜に大屋根リングに上ってないなぁ、と、最後の思い出としてエスカレーターに乗りました。
が、いきなり後悔。なんだこりゃという人の多さです。水上ショー「アオと夜の虹のパレード」が見える南側だと判るんですが、遠く離れた北側なのにこの人混みとは…。
でも、この迷いでも上に留まったのが正解でしたね。ほどなく「One World, One Planet.」のドローンショーの始まりです。
遠く離れた海の上ですが、本当に巨大ディスプレイに表示しているかのように、約1,000機のドローンが、ふらつきも無く点灯する技術はすごいですよね。期間中に一度は見たいと思っていたドローンショーを、最終日に見られて感動です。
というわけで、これを最後に、東ゲートから退場しました。
振り返り
今回は、事前に2つのパビリオンが予約できていましたが、初めて当日登録での予約も出来ました。
それに加えて、9時入場を活かして、日中なら2時間待ち覚悟のフランス館にも入れましたし、輪島塗の漆黒の地球儀も見ることが出来ました。
訪れた4回の中では最も入場者数が多かったと公表されていますし、そんな中で5つのパビリオンを楽しめたのは上出来です。コモンズ館をひとつと数えても、5つに入館したのは今回が初めてじゃないでしょうか。
さらには空飛ぶクルマとドローン。いずれも予定外・予想外の遭遇でした。空と言えば花火もそうですね。
なんだかんだと、イベント盛りだくさんの1日となって、大阪・関西万博の訪問を締めくくるのに相応しい訪問回となりました。
開催期間が残り僅かなので、この先訪れる方のヒントになるようなことはないですが、訪問の機会がある方は、ぜひ楽しんで頂きたいと思います。