「ブルートレインあけぼの」への乗車 @小坂鉄道レールパーク

小坂鉄道レールパークと「ブルートレインあけぼの」
大阪・関西万博の閉幕となる3連休、北東北(秋田・青森)へと旅行に出かけていました。
旅全体について書くと長くなるので、今回は、初日(10月11日)に宿泊した、小坂鉄道レールパークの「ブルートレインあけぼの」に絞って書いてみたいと思います。
1909(明治42)年に大館駅(秋田県大館市)から小坂駅(秋田県鹿角郡小坂町)までの22.3kmで開業した小坂鉄道。
同和鉱業、小坂精練と運営主体が変わりつつも100年間、旅客・貨物輸送の営業を続け、2009(平成21)年4月1日に廃止となったんですが、その廃止後の小坂駅構内敷地を小坂町が借り受けて、2014(平成26)年に鉄道テーマパークとしてオープンさせたのが「小坂鉄道レールパーク」です。
この線路を走っていたディーゼル機関車やラッセル車を展示する施設なんですが、その構内に、かつて実際に寝台特急「あけぼの」として走っていた車両を使用して列車ホテルとして2015(平成27)年に営業を開始したのが「ブルートレインあけぼの」です。当初はB個室(ソロ)での営業だけだったそうですが、翌2016年にはA個室(シングルDX)も営業を開始しました。
訪問まで(計画~予約)
「ブルートレインあけぼの」の営業開始のニュースを聞いて、一度訪れる計画を立ててみたものの実現には至らず、いつか行きたいと思っているうちにコロナ禍が訪れてしまったんですね。当然のように「ブルートレインあけぼの」も営業休止。で、暗黒の数年を経て、2024年春にようやく営業再開となりました。
訪れるに至った経緯を語るとこちらも長くなるので省略しますが、2024年12月30日という年末ギリギリに、2025年には北東北を旅行したい、という話をしていたんです。で、「JALの往復セイバーって、3連休でも安いよね」と思わず10月の3連休に往復する予約をしてしまった、という次第です。10月の11日朝大阪発の2171便、13日夜大阪着の2176便で1人あたりたったの29,521円(片道14,000円台)でしたから。
予約した時点では小坂町に行く予定ではなかったんですが、6月に追加で青森旅行(下北方面)に行くことを決めたことから日程的に余裕が出来て、秋の旅行では上手く行程を組めば「ブルートレインあけぼの」で宿泊できるんじゃないか、と思い至ったんです。そこまでが、2025年1月のこと。
2025年も小坂鉄道レールパークでの「ブルートレインあけぼの」が営業することは、公式ページの案内からほぼ確実ではあったんですが、予約開始が4月ということで、それまでは確定せず、落ち着かなかったんですね。
公式ページに予約開始の案内が出たのが4月10日だったでしょうか。それに気付くのが遅れて、11日に焦って予約の電話番号にかけてみたものの、営業開始前だったかの応答。あれ?と思ってサイトをよく見ると、予約開始の案内であって、予約開始は4月14日(月)、だったんですね。。
とはいえ、14日に安心できたのかというとさにあらず。予約の専用番号に、まったくつながらないんですね。代表番号じゃなくて、回線が1本だけなのかな、と。平日なので、日中は仕事をしている身ですから、電話に張り付くわけにも行かず、作業の合間合間に電話をしても、常に話中の状態。
結局、電話がつながったのが翌日15日の15時過ぎ。4月15日なので、半年先の10月11日分の予約は問題なく取れたんですが、GWや直近の週末分は予約が埋まるのも早いので、そのあたりを狙っている人は、気が気じゃなかったんじゃないかなと思います。
というわけで、10月11日(土)のA寝台個室(2名利用)の予約が無事に出来ました。
「あけぼの」に乗車
10月11日の朝9時過ぎに秋田空港に降り立つと、思いのほか肌寒く、「さすがは東北」と思ったんですが、レンタカー会社のスタッフに聞けば今朝から急に寒くなったのだとか。昨日まではさほどでもなかったようですね。
男鹿半島から大館へと観光をしながら走り、小坂鉄道レールパークに到着したのは16時過ぎのこと。駐車場で車を降りるとほどなくブルートレインの車両が見えてくるのがいいですね。24系の「あけぼの」です。

受付で宿泊予約をしている旨を伝えると、宿泊の手続きが始まります。宿泊カードに氏名や住所などを記載した後、宿泊料の支払い。A寝台個室の2名利用なので 12,000円です。昨年度より大幅に価格が上がっていますが、結果的には、それでも安く感じた体験となったことを、先にお伝えしたいと思います。
その後、一般的なホテルならルームキーが手渡されるところですが、手渡されたのは切符。硬券の切符です。「あけぼの 特急券・A寝台券」で、「3号車 A個室」とスペースを空けて「番」までが印字されていて、手書きで9の文字が書かれています。A個室9番が我々の部屋、ということになります。

この硬券がカードキーになるわけではなく、部屋のキーは、運行当時から変わらずタッチ式の暗証番号入力によるもの。宿泊記念の意味合いが強いのかと思ったんですが、宿泊当日と翌日に小坂鉄道レールパークへの出入りの際に、入場券代わりになる、とのことでした。
というわけで、さっそく乗車。
レールパークへの入場口とは別に宿泊者用の出入り口があり、そこから小坂駅のホームへと上がります。目の前には、もう日常では見られなくなったオハネフ24-12。最後尾にはもちろん「あけぼの」のトレインマーク。かばんを持ったまま写真を撮りつつホームを歩きます。

次の車両は2号車オハネ24-555。センターの通路の両側に上下にB個室が並ぶソロですね。
で、いよいよ3号車スロネ24-551。このドアの前に車掌さんが立っていました。検札?と思って切符を取り出そうとしたら、
「寝台券は上野を発車してから拝見させて頂きます、どうぞ(そのまま中へ)」
と。この時は意味不明のセリフだったんですが、夜9時過ぎに答えがありました。

常に開いている乗降ドアから車内に入ると、左手に廊下への自動ドアがあります。廊下の右手にはA個室のドアが11個並んでいます。手前の端が11番なので、3つ目が9番ですね。
ドアを開けた最初の印象は、「あれ?こんなに狭かったっけ?」というもの。

以前に乗車したA個室は「北斗星」のツインDXですから、シングルDXが狭いのは当たり前なんですけどね。上段にベッドがあるので、ついつい同じように考えてしまってました。
ドアは部屋側に開く開き戸で、9号室(A個9)は個室に入って右手にシートがあります。まだベッドではなくソファーの状態ですね。2名利用なので、上段のエキストラベッドが既にセットされている状態となっています。
カーテンが閉まっていて真っ暗なので、ドア横(入って右手)の壁にあるスイッチで照明を点灯。
入って左手の壁際には、手前から(ドアを開けていると陰になりますが)上段ベッド用のハシゴ、引き出し式の洗面台(使用はできません)、小物を置ける(引き出してテーブルにもなる)棚が並んでいますので、壁からベッドまでの幅はそれなりにあるものの、足元には洗面台や棚で、人がすれ違うのも難しいほど。基本的にはシングル用途ですからね。
なので、先に入った人は、まずソファーに座りましょう。カーテンを開けば、個室の中が明るくなります。窓の下にはオーディオや時計、空調、照明の操作盤がありますが、「ブルートレインあけぼの」としては、暖房と照明各種のスイッチだけが操作できるようになっていて、他の時計やオーディオ類は触れなくなっています。

座って落ち着けば、耳に列車の走行音が入ってきます。スピーカーからBGMとして流れているんですね。これが大き過ぎず小さ過ぎず、いい感じなんですよね。
「あけぼの」での過ごし方
個室内には、ベッドの上に、毛布と枕は用意されていますが、シーツや毛布カバー、枕カバー、それに浴衣といったリネン類は宿泊客が自由に出入りできる休憩室に用意されています。
というわけで、受け取りを兼ねて周辺散策。
ドアはオートロックではないので、施錠が必要です。ドアを閉めた状態で、4桁の数字と#を押すと、施錠完了。解錠はその数字を入力するだけです。施錠のたびに暗証番号の設定(入力)が必要になりますが、まぁ、毎回暗証番号を変える人はいないでしょうね(笑)

ホームに降りて、出入口とは反対側、カニ24-511側へ。ホーム向かい側には11号蒸気機関車と貴賓客車(ハ1)が停車しています。…なんですが、やっぱりどうしても「あけぼの」に目が行ってしまいますよね。

目の前にあるカニ24ですが、さすがにディーゼルエンジンを回して車内使用の電気を発電しているわけではなく、外部から電気を取り込む装置がついています。埠頭や船内でリーファーコンテナに給電するような感じですね。静かなカニは活きた感じがしない!と思っても燃料代を考えると、これがベストなんだと思います。

そういえば、カニ24(を含む電源車全般)の緩急室内って、ゆっくり見たことが無いですね。ここでは窓ガラス越しですが、見ることが出来ます。同じく大きな発電機も窓ガラス越しに見ることが出来ました。

ホームを休憩室(オハネ24-555の前)方向へと歩きます。オハネ24の前のホーム上には、唐突にタブレット受けが立っています。そのタブレット閉塞機が休憩室に展示されていました。


休憩室では、この展示物の横にB個室客向けの携帯電話充電用コンセントがあり、その横にリネン類の大きな棚が設置されています。ゆかた、帯、毛布カバー、シーツ、枕カバーなど、大量に重ねられていますので、人数分だけ持ち出します。
休憩室の真ん中には休憩(食事など)が出来る大きなテーブルがあり、その奥にはシャワーとトイレがあります。男女別にそれぞれシャワーが3ブース、洗面台も3つありますので(女性用は直接確認してないですが…)、宿泊者数からすると、それほど使用に待つことも無いのかな、と思います。
機関車庫の見学
一旦、シーツなどを個室に持ち帰って、再び外へ。
小坂鉄道レールパークとしての閉館となる17時まで、15分ほどしか残ってないんですが、機関車庫の見学へと行ってきました。
機関車庫の横にはホキ909。バラスト散布用のホッパ車です。常にここに留置されているのか、明日(10月12日)の「小坂・鉄道まつり2025」のためにここにいるのかはわかりません。「ホキ車砕石模擬放出実演」というイベントが予定されているようです。

機関車庫の延長上にはキ115ラッセル車とDD133ディーゼル機関車。DD133は、機関車庫側からは見えませんが(スロネ24から見えます)、「あけぼの」のヘッドマークを掲げています。
庫内のDD131には、なんと「日本海」のヘッドマークが。これも鉄道まつりの一環なんでしょうね。恐らく。

機関車はかなり肌荒れした状態だけに、光り輝くヘッドマークが際立っています。
センターキャブの下には「汽車会社」のメーカーズプレートがあり、「昭和四十二年製造 製造番號3305」の刻印がありました。丸い汽車会社のプレート、特徴的ですよね。

対照的にDD132の方は塗装したての雰囲気です。同じ昭和42年製ですが、印象は全く異なりますね。後で入る展示室にあったパネルから、2022年に塗装が行われたことを知りました。

他にも信号系設備やディーゼルエンジンの展示があり、無蓋車のトラ4002、トキ15008(…だと思います全体がカバーで覆われていたのではっきりとは判りませんでした)が留置されています。
車庫の一角に「小坂鉄道歴史展示室」があり、名の通り、小坂鉄道の100年の歴史を知る貴重な資料を目にすることが出来ました。
17時になる直前に車庫を出て、「あけぼの」へ。日が翳り始めて夜行列車らしくなる時間帯となってきましたね。もっとも、「あけぼの」は下りが21時16分の発車でしたので、夕暮れを見られたのは上り(青森18時23分発)の夏至に近い季節だけだったかもしれません。

オハネフ24のテール側で写真を撮った後、ホームではなく、車内をスロネ24まで歩いてみました。開放B寝台の通路を歩くと、当時の雰囲気が蘇ってきますね。
オハネ24(B個室)は、通路を歩くのは初めてです。思ったよりも通路は狭く、すれ違うのはほぼ不可能。向こうから人が来たら、上階への階段のためのスペースで行き違い、となったんでしょうか。

連結部分の通路を歩くと「車両」ではなく「列車」という感じがします。実際には停車していますが、全体に走行音のBGMが流れていますので、ブルートレインの雰囲気を感じるには十分ですね。
温泉と夕食
少しばかりA個室内でゆっくりした後、17時45分頃に一旦レールパークから外に出て駐車場へ。ここから車に乗り、移動します。
向かったのは12kmほど離れた、小坂町のお隣、鹿角市にある「天然温泉 湯都里(ゆとり)」です。大人(65歳未満)の入浴料は450円。バスタオルとフェイスタオルの貸しタオルセットが200円で利用できます。江戸時代には南部藩の保養温泉地だった大湯温泉にゆっくりと浸かることが出来ました。

小坂鉄道レールパーク内のシャワールームでもいいんですが、やっぱり温泉は旅の醍醐味でもありますからね。「あけぼの」からは、ちょっと途中下車、ということで。
帰りは、国道103号線を上陣場交差点まで走ったのでやや遠回りになったんですが、そこからは国道282号線になりますから、道も良く、むしろ早かったかと思います。
レールパークのある五十刈交差点を通り越して、夕食場所へ。
「とんかつ栗平」さんです。
こちらで小坂名物の「かつラーメン」を頂くことが出来ます。かつラーメンとは、名前の通りとんかつの乗ったラーメンで、1970(昭和45)年頃に誕生したものだそうです。文化庁が日本国内で、世代を超えて受け継がれている食文化として選定している「100年フード」に、「こさかまちかつらーめん」(登録名は全てひらがな)として登録されています。指定されたのは2023(令和5)年と最近ですが、秋田県内では「きりたんぽ」や「横手やきそば」、「いぶりがっこ」など、超有名どころに並んで登録されているんですよね。
なので、ちょっと気になる存在だったんです。本当のことを言うと「かつラーメン」の発祥と言われる「奈良岡屋」さんを目指していたんですが、定休日が日曜日のはずなのに、休業。で、栗平さんを訪れた次第です。
醤油スープで、町中華というのか中華料理のお店で頂くような麺ですね。ラーメンとしても美味しい上に、とんかつ屋さんのカツが乗るわけですから、美味しくないはずが無いです。カツにも麺にもボリュームがありますが、最後まで美味しく頂けました。同時に頼んだカツ丼も、卵でとじたカツとお出汁がしみたご飯とで最高のハーモニーでした。

お店としては、夜は居酒屋としての利用が多いようで、単品のオーダーは我々だけだったように見えます。周りが飲んでご機嫌なので、ちょっと羨ましかったですけどね(笑)
お店を出て、すぐそばにあるマックスバリュ小坂店へ。ここでは、今から「あけぼの」に戻ってから飲むアルコール類と、ちょっとしたおつまみ、それに、明日の朝に食べるパンなどを購入。ここからレールパークまでは、わずかに車で2分ほどです。
「あけぼの」発車
21時前に「あけぼの」に戻ってきたのには理由があります。ここから、小坂鉄道保存会による「おもてなし」が始まるんです。
21時頃を境に、それまで列車の走行音だったBGMが、駅ホームを思わせる雑踏の音に変わります。人々の話し声や、遠くのホームで電車が発車する音なども入ってきます。そんな中で、
「13番線、停車中のこの列車、上野 21時16分 発車、寝台特急あけぼの号、青森行です」
から始まるこの車内放送。当時の録音ではなく、駅構内のBGMを背景に、車掌室から実際にライブで放送されているようです。
内容は、当時の放送そのものですね。あくまでも当時の「あけぼの」に乗車している雰囲気を感じさせるため、8両編成(機関車・電源車は別)での列車案内となっています。
停車駅案内が、なんとも言えず旅情をそそります。
第一弾は「あと10分少々で発車でございます。」で打ち切り。引き続き、駅ホームの音が続きます。
5分前、3分前の放送と続き、いよいよ発車時刻。
「21時16分発車の青森行、寝台特急あけぼの号、間もなく発車でございます。閉まるドアにご注意ください。」
の後、ほどなくして、EF64(…だと思います)の長いホイッスル。その後で、車両走行音がフェードインしてきます。この演出はいいですね。本当に旅気分です。
もちろん、その後は、「ハイケンスのセレナーデ」のチャイムから始まる発車時の車内放送が続きます。最初の一言が、東北特急らしくていいですね。
盗難防止や、洗面の際の貴重品の忘れ物注意など、リアルです。最後は、緊急の場合を除き、明朝まで放送による案内を休ませていただきます、と。これも、実際の「あけぼの」と同じですが、さすがに宿泊施設なので朝6時過ぎからの放送は遠慮されているようで、八郎潟到着7分前の7時ちょうどがおはよう放送になるようです。2013年当時は、秋田到着20分前の6時20分過ぎにはおはよう放送があったと記憶しています。
さらに乗車気分を盛り上げてもらえるのが、上野発車から10分ほど経った頃に訪問頂いた車内検札です。夜間というのと、実際の乗車と違って必須ではないので、ドアを開けて待っている希望者だけにですが、車掌さんから寝台券にパンチを入れてもらえます。これが、夕方に聞いた「寝台券は上野を発車してから拝見させて頂きます。」の答えです。ボランティアでのおもてなしだそうですから、ありがたい限りですね。
夜汽車気分で
車掌さんを見送ってから数分後、マックスバリュで購入したお酒とおつまみを持って、1号車へ。
開放B寝台を休憩スペースとして利用できるのは22時までで、既にあと30分を切っているということもあってか、7つと半分あるブロック(半分とは車端にある片側2段のみのブロック)は、4割程度の利用だったでしょうか。なので、空いている3・4番の下段に向かい合って座って、さっそく乾杯。


通路が駅ホーム側なので、窓の外はヤード側になります。当然ですが真っ暗ですね。まぁ、それだけに、列車の走行音のBGMを聞きながらお酒の缶を傾けていると、夜汽車気分は十分に味わえます。
時間が時間なので長居は出来ず、20分ほど楽しんで、21時50分頃に自室へと戻りました。


残念ながらというのか、走行音のBGMは22時をもって翌朝6時50分まで休止。欲を言うなら、夜間も走行音のBGMを個室単位でON/OFF出来たらなぁ、なんて思ってしまいます。
トイレと洗面は車両のものを使用できないので、ちょっと現実逃避みたいになってしまいますが、歯磨きは休憩室のシャワールームにある洗面台で。
室内に戻って、カメラのバッテリー充電なんかのセッティング。A個室には、充電程度の電力なら使用できるコンセントが備わっていますので、スマホやカメラの充電には困りません。
というわけで、急行「はまなす」以来となる寝台車のベッドで眠りにつきました。
おはよう放送
結構早くに目が覚めてしまって、6時になる前から休憩室へと洗顔へ。就寝が早かったのでむしろ普段より長い時間寝ることが出来たのでスッキリしています。
1号車の開放B寝台車は休憩スペースとして利用できるのが7時からなので、ドアが閉まっています。B個室、A個室とも、ホーム側のドアはずっと開いたままですので、閉まった乗降ドアが見られるのはこの時間帯のオハネフ24だけなんですよね。

早暁の「あけぼの」の写真を撮って、自室へ戻ります。
6時50分頃から走行音のBGMが開始となり、7時過ぎ、おはよう放送がかかります。
ハイケンスのセレナーデから始まり(どういうわけか、始まりのチャイムが2回重なるのは操作の問題なのか、機材の問題なのか、サービスなのか)、車掌さんの肉声が続きます。
「皆さま、おはようございます。今日は10月12日 日曜日で、時刻は7時です。青森行あけぼの号、時間通りに運転しております。あと6分ほどで八郎潟に到着でございます。1番線到着、降り口は左側です。」
八郎潟から先の停車駅と到着時刻の案内と続きます。
一通りの案内が終わったところで、朝食用のパンとコーヒーを携えて、車内の通路を1号車の開放B寝台車まで歩きます。
昨日と同じ3・4番下段のベッドに座りました。昨夜とは違ってすっかりと明るくなっているので、ラッセル車のキ115とDD133ディーゼル機関車が、はっきりと見えています。

「あけぼの」の車内なので、大館駅前にお店のある花善の「鶏めし弁当」を食べたいところですが、そこは仕方が無いですね。
食事をしていると、八郎潟駅を出た車内放送の後ほどなく、鯉川駅での上り列車との行き違いのための停車の案内。芸が細かくて恐れ入ります。
ちなみに、「ブルートレインあけぼの」として車両を利用できる時間は9時までのため、実際の「あけぼの」のダイヤでは碇ヶ関と大鰐温泉の間くらいにチェックアウトしなくてはならなくなります。さすがにそれではあまりにも中途半端なので、8時半頃にある大館駅到着案内くらいまでは、ほぼ時間通りの車内放送ですが、そこからは時短モード(各駅の案内間隔を時間短縮)での放送となり、8時55分に青森駅到着の車内放送となるようです。
そして終着駅(チェックアウト)へ
我々はというと、開放B寝台での朝食の後、洗面所で歯磨きをして、ベッドの片付け。
シーツや毛布カバー、ゆかたなどのリネン類は、各部屋に用意されている「リネン返却用袋」に収めて、休憩室にある「リネン専用回収ワゴン」へと持って行きます。
それから寝台仕様のベッドを、座席仕様に。
下段ベッドを起こしてソファーに戻し、上段ベッドも壁に沿わすように畳んだんですが、枕なんかを置きたい、というのと荷物もドア上の棚じゃなくて上段ベッドに置く方が何かと楽なので、再度上段ベッドを引き出します。座っていると、さほど圧迫感も無いですからね。

9時には退室しないといけないんですが、最後の車内放送はA個室内で聞きたいので、退室準備を済ませて放送を待ちます。
9時に近付くにつれて、名残惜しくなってきますが、車内の雰囲気を楽しみます。
8時55分、「皆さま、長いご乗車、大変お疲れ様でした。間もなく終点、青森です。」から始まる車内放送があり、最後の「ハイケンスのセレナーデ」で締めくくり。
余韻に浸りたいところですが、我々も下車します。最後の車内放送から下車までの慌ただしさは、アリルな列車でも同じですからね。

特にチェックアウトのような手続きは不要で、宿泊者用のゲートを出れば、そこで「ブルートレインあけぼの」の旅が終了です。
「小坂・鉄道まつり」には参加せずに北東北の旅を続けますので、車で出発するため、駐車場へと向かいました。
昨日16時過ぎの乗車から、17時間弱。途中、外出はありましたが、あっという間の「ブルートレインあけぼのでの旅」でした。
実際に利用するまでは、「寝台車と言っても、止まってるだけだしな」と現実とのギャップを悲観してたんですが、全然そんなことは無く、保存会の皆さんのご尽力もあって、非常に楽しい一晩となりました。
今年2025(令和7)年の「ブルートレインあけぼの」の営業は、10月25日からの宿泊で最後となりますが、特に問題が無ければ来年も営業をするはずですし、ご興味のある方は、ぜひ「乗車」されることをお勧めしたいと思います。