ED79と急行「はまなす」

2014(平成26)年10月に乗車した札幌発青森行の急行「はまなす」。その思い出と共に、KATOから発売された急行「はまなす」を走らせた話を2回にわたって書きました。
が、準備に時間をかけられなかったので、牽引機関車はDD51。せっかく同時に購入したED79は、まだ手付かずの状態だったので、今回はそのED79で牽引した「はまなす」を走らせてみたいと思います。
ED79とは
ED79というと、津軽海峡線(津軽線・海峡線・江差線・函館本線を経由する青森-函館間の愛称)を走行するために造られた交流用電気機関車です。
津軽海峡線、というか青函トンネルはJR移管後の1988(昭和63)年3月の営業開始。ですので、このED79もJR北海道(とJR貨物)のものかと思っていたんですが、実は、誕生は国鉄時代のこと。
造られた、という表現をしましたが、基本番台の車両は全て、ED75-700番台からの改造車になります。そういう意味での誕生は1971(昭和46)年から1976(昭和51)年にかけての、今から50年ほど前の車両にはなりますが、ED79として最初に誕生したのが、ED75-765を改造したED79-1。1986(昭和61)年9月に、国鉄土崎工場で改造が行われています。
1号機と同時に落成したのが、ED79-101。100番台です。
これは、同じくED75-700番台をベースに改造された車両で、貨物列車の補機として使用される目的で製造された区分。単独で青函トンネルを走行する基本番台が、12‰連続下り勾配に対応するため抑制回生ブレーキ付きに改造されたのに対して、こちらはED75の空気ブレーキのまま、と、改造の程度は基本番台に比べて小さいようです。
用途が貨物列車牽引時の補機ですから、今回の急行「はまなす」牽引とは直接関係はないですけどね。
番台の区分としてはもう一つ、50番台というのがあります。
基本番台と100番台が、ED75-700を種車とした改造車なのに対して、その間にある50番台が新造車。1989(平成元)年にJR貨物によって製造されています。
基本番台、100番台の改造が完了したのが1988(昭和63)年で、それだけでは貨物列車の増発に対応できないということから新造された車両ではあるものの、客車列車牽引を想定した装備もされています。基本番台の仕様に準じているからこそ、かもしれないですね。
とはいえ、車体のカラーはJR貨物そのもの。上部が水色、下部が白、ドアが赤、というあれです。
実際に、ならし運転では、寝台特急「日本海」や急行「はまなす」、快速「海峡」を牽引したそうです。JR貨物のカラーリングのED79(50番台)がヘッドマークを掲げて急行「はまなす」を牽引する写真が鉄道ファン誌(1989年8月号)に掲載されています。
ED79としてのその後の動きとしては、2002(平成14)年12月の東北新幹線八戸開業に伴い快速「海峡」が廃止されたり、JR貨物によるEH500形電気機関車の導入等の理由で廃車が進んでいきます。
一方で、継続して使用される車両については保全工事が行われ、一部の車両は、第2エンド側のパンタグラフがシングルアーム式に交換されていて、目に見える大きな変更点となっています。
2016(平成28)年3月、北海道新幹線の開業に伴い、海峡線の架線電圧が交流20,000Vから25,000Vに昇圧されたことで、同区間のED79による走行が不可となり、同月31日付で廃車となっています。
JR貨物の方は一足早く2015(平成27)年4月に全機が廃車となっていましたので、JR北海道からの廃止をもってED79としての形式消滅となったようです。
3076-3 ED79 シングルアームパンタグラフ

車両ケースの中に、コンパクトに収まっている感じです。
それもそのはず、実車ではEF81が18.6mなのに対して、ED79は14.3m。4m以上も短いんですね。
取り出してみましょう。

左手が函館側、第2エンドになります。
可動を確認するために第1エンド側のパンタグラフも上げていたんですが、これが後ほど悲劇を生むことに…。
付属品をチェック

…。メーカーズプレートが逆でした。
それはともかく、左から、ナンバープレート、メーカーズプレート、ジャンパ栓、ヘッドマーク、ナックルカプラー×2です。
選べるナンバーは
ED79-4(東芝)
ED79-7(東芝)
ED79-13(三菱)
ED79-14(日立)
の4種類。カッコ内はメーカーです。
ナンバーを決める際の基準は、思い入れ。
それぞれ、当然ながら、いずれも「はまなす」や「北斗星」の牽引を担っていた車両です。

今から11年前、2014(平成26)年6月に乗車した上り「北斗星」を牽引した13号機。
ちょっと見えにくいですが、ED79 13です。

急行「はまなす」に乗車した時の牽引機じゃないの?と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、「はまなす」に乗車したのは2号車。青森から進行方向が変わってますので、札幌乗車時と違って、後部車両です。
青森駅のホームを、先頭車両となる10号車まで歩いて行ったんですが、そのときには既にED79の姿はなし。切り離された後でした。
深夜3時頃の函館駅では撮影のためにホームに下りたわけではありませんでしたので、結局、牽引されたED79を見てないんですよね。。
というわけで、13に決定です。(9月に発売されるTOMIX「JR 24系25形特急寝台客車(北斗星・混成編成)」の購入をほのめかしているようですが…)

夜のホームで撮影した動画からのキャプチャですので、はっきりしませんが、ED79 13のナンバープレートと三菱のメーカーズプレートが見えます。
というわけで取り付け。

メーカーズプレートの取り付けには、今回も極小パーツピッカー(ハセガワ TT-47)を使用しました。

極小パーツの取り付けのストレスは激減しましたね。
特に押し込む面が平らなものは、確実に楽になります。上部が丸みを帯びたものは、ちょっと微妙ですけどね。
ナックルカプラーに交換

ステップに指をかけて下に引き外し、板バネに注意しながらアーノルドカプラーを外して、ナックルカプラーに載せ替えるだけです。EF81と違ってスカートの下部が開いているので取り付けは非常に楽です。
ジャンパ栓の取り付け
第2エンド側にのみ、ジャンパ栓を取り付けます。

取り付け用の穴が開いているので間違えようも無いです。第1エンド側には穴は無いですし。
このジャンパ栓は重連時の総括制御用ですね。
仕上げはヘッドマーク

ED79の付属品には、「北斗星」と「カシオペア」のヘッドマークがセットされていますが、「はまなす」は車両セットの付属品を使用します。
急行「はまなす」と快速「海峡」がセットになっています。
きれいに切り出して、装着。
マグネット式なので取り付けも取り外しも簡単です。

座席車に室内灯
KATOの純正パーツを使用しますので、室内灯の取り付けもいたって簡単です。

床下ユニットの室内灯ユニット取り付け側に開いている差込口に集電板を左右それぞれ挿入し、上から室内灯ユニットを被せるだけです。ユニットから出ている脚をきちんと集電板に接触させてあげることが出来れば、点灯不良にはならないと思います。
純正品ならではの手軽さです。
反面、汎用品だからこそ手を入れる必要があるのが、これ。

照明板を載せたとき、室内灯ユニットと反対側の一部を切り落とす必要があるケースがあります。
床下ユニットには、照明板を安定させるために照明板に彫られた溝に合うよう、突起が作られています。
先の写真では、照明板が車端にある車掌室の壁の上に載ってしまって、座席のすぐ前にある照明板保持用の突起に入っていないことが判ります。
その場合は、照明板ユニットの先端部分を切り落とします。切り落とす単位は、照明板ユニットに付けられた切り落とすためのポイントとなりますので、思った以上に落とす必要がありますが、後の写真のように床下ユニットからの突起がしっかりと照明板ユニットに収まっていることが判ります。
こうなれば、ボディを外した状態でも照明板ユニットがぐらぐらするようなことはありません。

室内灯で、車内の座席がよく見えるようになりました。
他の車両も同様です。車掌室付きのスハフ14は1ブロックを切り落とし、その他のオハ14はそのまま装着となります。

のびのびカーペットの階段部分も見えるようになりました。
下り青森発急行「はまなす」
というわけで、準備が整ったところで、走らせてみたいと思います。
まずは、通常期の7両編成から。
コンパクトな7両(+ED79)ですが、屋根の高い寝台車あり、窓の多彩なのびのびカーペット車両ありで、面白いですよね。
写真を何枚か。

下りは第2エンドを前に走りますので、シングルアームが際立ちます。

小ネタとして、青森駅入線時のDE10牽引の姿を、と思って撮影したんですが、DE10の向きが逆でしたね。ショートノーズ側を前に走っているはずです。


続いては、増結セットを含めた10両編成。
寝台車が3両になると雰囲気も変わります。
それと、室内灯を入れたことで、独特な窓配列ののびのびカーペットカーが際立ちますね。
最後はこちら。
2014年に乗車した際の11両編成を再現してみようと思います。
増結11両編成
←201ㇾ 札幌
202ㇾ 青森→
1 | 増21 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
◀スハネフ14 -552 | ◀オハネフ25 -3 | オハネ25 -11 | ◀スハフ14 -557 | オハ14 -515 | オハ14 -508 | オハ14 -510 | スハフ14▶ -505 | オハ14 -500 | オハ14 -531 | スハフ14▶ -502 |
B寝台 | B寝台 | B寝台 | 自由席 | のびのび カーペット | 指定席 ドリームカー | 指定席 ドリームカー | 指定席 | 指定席 | 自由席 | 自由席 |
函館-札幌間 逆編成
12両増結時は、8号車がスハフ14(車掌室は上図の左向き)になるんですが、8号車以降が3両のときはスハフ14は1両だと思うので、オハ14-500を増結したいと思います。
といってもASSYパーツで揃えたわけでは無く、こちらからの転用です。
オハ14-518を組み込んでみました。
気付きました?
急行「利尻」の車両には、北海道仕様であることを示す「○に"ホ"」のマークが車番の前に入っています。

「はまなす」編成の方には、入ってません。

違いと言えば、それくらい。
そしたら、急行「利尻」のスハフ14を使って12両編成も出来るんじゃない?と思いたくなりますが、そのスハフ14は最後尾車両なのでナックルカプラー。対する「はまなす」の7号車のスハフ14は密自連形。それこそ、ASSYパーツで5170-2C3「オハネフ24増結前面カプラセット」なんかを購入すれば出来るでしょうが、そこまでは…という感じです。12両編成にそれほど思い入れも無いですし。

上り青森行急行「はまなす」
前回、車両の並び順を間違えたのでリベンジを兼ねて…、ではあるんですが、10両ではなく11両として、要は2014年10月に乗車したときの再現としました。
動画をつないでいるので気付きにくいですが、最初のDD51牽引は寝台車が進行方向前寄り、ED79牽引が函館以降なので、座席車が前寄りになっています。
ところで、KATOの説明書、

左が青森で右が札幌ですが、青森に向かう上りはスハフ14-502を最後尾にして走るので、「青森~函館間は逆編成となります。」ではないんですかね。「函館~札幌間は逆編成」なら、札幌に向かう下りがスハネフ14-552を最後尾にして青森駅を発車することになります。
そういえば、スハネフ14はカプラー交換のときに撮影したのが最後で、「はまなす」編成で最後尾として走らせるのは初めてですね。


最後は、ED79を先頭に。

第1エンド側を前にしているので、シングルアームのパンタグラフは後方になります。ジャンパ栓もなくて印象が変わりますね。
ところで、最初に書いた「第1エンド側のパンタグラフがもたらした悲劇」ですが、何かというと、7月の中旬に、今回と同じように走らせたんです。
で、レールの片付けも終わって、文章を書き始めて写真と動画を見たら、ED79の、両方のパンタグラフが上がってたんですね。これは使えない…。
上手く加工して(偽装ではなく、見せないように)、何とかならないかと思ったんですが、第1エンドのパンタグラフを見せないようにしようとすると、せっかくの第2エンドのシングルアームも見えなくなって、こりゃダメだ、と。
そんなわけで、8月上旬に全面撮り直し、となったわけです。
交直流機なら走る区間でなんとでも言い訳できますが、交流機のED79では厳しいですからね。
というわけで、3回にわたって書いて来ました急行「はまなす」。大阪からは遠く離れたところを走っていましたが、実際に乗車したこともあって思い入れの強い列車ではあります。またいつか、新たなテーマを見つけて、走らせてみたいですね。