QNAP NAS のバックアップ
現在、自宅ではNASが3台稼働しています。
いずれも QNAP製(OSはQTS4.5.2)で、次のような構成です。
No. | 機種 | 容量 | 構成 | 外付けHDD |
---|---|---|---|---|
1 | TS-230 | 4TB | RAID1 | 4TB |
2 | TS-228A | 4TB | RAID1 | |
3 | TS-228A | 4TB | RAID1 | 3TB(RAID1) |
1には、USB接続の外付けHDD(4TB)が、
2には、USB接続の外付けHDD(3TB/RAID1)が、
それぞれぶら下がっています。
主な用途は旅行に行った時の写真、動画等々の格納です。
なくなると取り返しのつかないデータばかりですので、バックアップにも気を使っているつもりではいるのですが、そのバックアップについて書いてみたいと思います。
データのバックアップ概要
旅の思い出は記録に残さないに限る、という大人な考えを持たれている方もいらっしゃるかとは思いますが、私は「残したい派」です。
4年前にアクションカム(SONY HDR-AS300)を購入してからは、異常にデジタルデータが増えてきています。1回の旅行で100GBを超えることもしばしば。
それぞれ、RAID1を構成しているので、ハードトラブルによるデータ損失は、1ドライブの外付けHDDに格納するよりは低リスクかと思います。
とはいえ、RAID1も、人為的なミスによるデータ損失は防ぎきれません。
RAID1の片方のデータだけを削除する、ということはできないわけですから、消えるときは同時です。
ですので、これらのデータは、さらに外付けのHDDに格納します。
もっとも、これもリアルタイムに反映してしまうと、人為的なミスで消してしまったデータが、外付けHDDからも同時に無くなる、という悲しい結末となります。
かといって、外付けHDDへのバックアップ頻度が粗すぎると、万一RAID1でデータが復旧できない事態になった場合のリカバリが、最新からかけ離れたものになる恐れもあります。
そのため、およそ10日間隔で、NASから外付けHDDへとバックアップを取っています。
※外付けHDDの容量が小さいのは、全部のデータのバックアップは取っているわけではない、というのと、普段は接続しない外付けのHDDにコピーを取っている、というのが理由です。
バックアップか同期か
QNAPのNASで外付けHDDにバックアップを取るのに便利なツールが、「HBS3」です。正式名称を「HBS 3 Hybrid Backup Sync」といい、データのバックアップ、復元、同期のためのQTS上で動作するアプリケーションです。
バックアップなのか、同期なのか。
片方向で、リアルタイムではない同期ならば、バックアップと同じと考えて良いのではないでしょうか。
NAS上にある複数のユーザが共有しているデータを、誰かが上書き保存し、それに対してさらに加工するようなときは、同期で「双方向同期・リアルタイム同期」がふさわしいかと思います。一方で、今回のように基本的には外付けHDDのデータは直接加工しないですし、数日に一度、差分を上書きする用途であれば、バックアップも同期(一方向同期・スケジューラー)も、役目としてはほぼ同じです。
バックアップの設定方法(外付けのHDDにバックアップを取る)
「バックアップ&復元」(上述の通り、「同期」でも同じことができます)を選択し、「今すぐバックアップ」をクリック。
「新しいバックアップジョブ」を選択すると、「バックアップを取りたい対象のフォルダ(ソースフォルダ)」の選択画面になります。
深い階層の一部分だけ、というのもできます。
次に、保存先のストレージを選択します。
ローカルNAS(自分自身+自分自身に接続したHDD)を選びます。
クラウドサーバーを選ぶこともできます。
その後で「バックアップを保存するフォルダ(宛先フォルダ)」を選びます。
次に、スケジュールを設定します。
指定した日に一度きりや、何時間ごと(定期的)、毎日何時、毎週何曜日、毎月何日、など、かなり自由に設定できます。
次いで、ルールの設定を行います。
隠しファイルとフォルダーをバックアップから除外したり、特定の拡張子のファイルを除外したりもできます。
同期の場合も、ほぼ同じです。
バックアップの対象フォルダが「ペアリングしたフォルダ」という名前になるのは同期ならではでしょうか。
スケジュールに「リアルタイム同期」という項目も、加わります。
バックアップの設定方法(他のNASに外付けのHDDにバックアップを取る)
自身のNASにUSB接続されたHDDへのバックアップは上記の通りですが、ネットワーク上の他のNASにUSB接続されたHDDへのバックアップは、事前に準備が必要となります。
その準備とは、HDDを接続したNASでの「RTRRサーバーの立ち上げ」です。
RTRRサーバーとは、「リアルタイムリモートレプリケーションサーバー」で、ローカルNASとリモートNAS間での同期やバックアップを行う際に必要となります。
設定画面では、「バックアップする側」に入力をするためのパスワードの設定や、ポートの設定、送信速度制限などを行います。変更が必須の項目はパスワードくらいでしょうか。
この設定が終われば、前述のバックアップ設定とほぼ同じです。
保存先ストレージの選択画面で「リモートNAS」を選び、「新しいアカウントの追加」で、ストレージ領域の作成を行います。
バックアップ先のNASをIPアドレスかホスト名で検索し、RTRRサーバーで設定したパスワードを入力後、「スピードテスト」ボタンをクリックして、成功と出ればOKです。
後の設定は自身のNASに外付けHDDを接続している時と同様です。
フォルダ設定時の注意事項
バックアップと同期での、大きな違いと言って良いかもしれません。
バックアップファイルを格納するフォルダの階層が異なります。
バックアップの場合
宛先フォルダを設定すると、そのフォルダの直下に「ジョブ名」のフォルダが作成され、その下に、世代管理に使用する(と思われる)「latest」フォルダが作成されます。
その中に、NASのルートフォルダからの階層でバックアップが作られます。
例えば、
ジョブ名:BackUp1
保存元:DataVol1/homes/User1/Data
保存先:NASの外付けHDD(Dev1Partition1)の直下に作成した「BackUp」フォルダ
と設定した場合、
Dev1Partition1/Backup/Data
に格納されることを期待してしまうかもしれませんが、
実際には、
Dev1Partition1/Backup/BackUp1/latest/homes/User1/Data
への格納となります。
期待するフォルダ構成には、頑張っても出来ません。
ジョブ名にNASのホスト名を入れる(バックアップっぽい名前を入れない)のが、見た目きれいに仕上げるポイントかもしれません。
同期の場合
宛先フォルダを設定すると、そのフォルダが、保存元の対象フォルダそのものとなります。
例えば、
ジョブ名:Sync1
保存元:DataVol1/homes/User1/Data
保存先:NASの外付けHDD(Dev1Partition1)の直下に作成した「BackUp」フォルダ
と設定した場合、
Dev1Partition1/Backup/Data
に格納されることを期待してしまうかもしれませんが、
実際には、
Dev1Partition1/Backup
に、Dataフォルダの中身が格納されます。(Dataフォルダは作成されません)
そのため、期待する場所に格納するには、保存先を
Dev1Partition1/Backup/Data とする必要があります。
保存先をスッキリと(深い階層にならずに)済ますなら、同期が良いかも、です。