QNAPのOS QTS 5.2.0.2851 Build 20240808 リリース

Qfinder Pro を立ち上げると、稼働中のNASに、バージョン更新の通知が出ていました。

3台とも、つい先日、5.1.2823にアップデートしたばかりです。

こんなにペースが速いのは…。

一般に、よくあるのが、リリース後のデグレード発覚ですかね。出来ていたことが、出来なくなってしまって、緊急対応用のリリースを出す、と。

そんなところかな、と思ってWeb上の管理画面にログインして、ファームウェア更新を見てみると…。

おぉ。5.2.0への案内になってますね。

というわけで、5.1から5.2への変更点を、いつもの通り、私が個人的に気になった点を中心に、見てみたいと思います。

5.2.x とは?

5.2はどんなもの?というのは、こちら。

最初のブロックが全てを言い表してますね。

QTS 5.2.0 brings many important new features to further enhance security, improve performance, and boost productivity for your QNAP NAS. You can now install apps from another device’s app list, use TCG Ruby SEDs for enterprise-level data security, omit the domain name when logging in with an AD domain user account, run ClamAV as a standalone application, and calculate the space occupied by snapshots within a specified period. You can also benefit from upgraded system backup and restore functions, improved administrator account security, faster system startups and shutdowns, enhanced network security with OpenSSL 3.0, improved data integrity with instant sync, increased thumbnail support in File Station, editable iSCSI target IQNs, enhanced performance in the kernel-mode SMB daemon, SMB Service as a standalone application, and much more.

google翻訳を使うと…

QTS 5.2.0 には、QNAP NAS のセキュリティをさらに強化し、パフォーマンスを改善し、生産性を向上する重要な新機能が多数搭載されています。別のデバイスのアプリ リストからアプリをインストールしたり、TCG Ruby SED を使用してエンタープライズ レベルのデータ セキュリティを実現したり、AD ドメイン ユーザー アカウントでログインするときにドメイン名を省略したり、ClamAV をスタンドアロン アプリケーションとして実行したり、指定期間内にスナップショットが占めるスペースを計算したりできるようになりました。また、アップグレードされたシステム バックアップと復元機能、管理者アカウントのセキュリティの向上、システムの起動とシャットダウンの高速化、OpenSSL 3.0 によるネットワーク セキュリティの強化、インスタント同期によるデータ整合性の向上、File Station でのサムネイル サポートの強化、編集可能な iSCSI ターゲット IQN、カーネル モード SMB デーモンのパフォーマンスの向上、スタンドアロン アプリケーションとしての SMB サービスなどのメリットも得られます。

なんかもう、「以上!」という感じなんですが、気になったのは「faster system startups and shutdowns」。システムの起動/終了時間の改善です。

といっても、普段使用するPCのように頻繁に終了/起動するものではないので、最重要ポイントではないですが、気になるところです。

全体的にはセキュリティの強化とパフォーマンス改善ですね。

Upgraded system backup and restore functions

デバイスのモデルを跨いだバックアップ/復元ができるのは、いいですね(これまで出来なかったのかどうかの確証はないですが)。復元の際に、いろいろと設定を変更できるようですから(設定変更が出来ないと仕様が異なるデバイスへの対応もできないでしょうし)、柔軟な運用が出来そうですね。

Installing apps more easily by browsing apps installed on your other devices

同じ管理下(QNAP ID)のデバイス間で、インストールされているアプリのインストール状況やバージョンが確認できるようで、管理者にとっては便利になるかもしれません。

個人で複数台運用する分には必須では無いかもしれませんが、あって困るものでは無いです。

Instant sync to disks when requested by SMB clients

SMBで、データをディスクに即時に同期するように選択できるようになるそうです。キャッシュでの運用が前提だった、ということなんでしょうが、このオプションを使用することで、(速度は犠牲にしてでも)データを安全に保護できるようになる、ということでしょう。

Enhanced support for document thumbnails in File Station

これまでの、PDFやメディアファイル以外にも、Microsoft Officeのファイルもサムネイルで表示できるようになる、とのこと。

個人的にはちょっと微妙です。というのも、スペック低めのARMコアのNASですので、File Stationで動画をたくさん格納したフォルダを見ようとすると、サムネイル表示にかなり時間を要します。WordやExcleファイルだと、どうなんでしょうね。
…というか、Windowsでもこれらのファイルのサムネイルって、必要ですかね。。

あったら便利なのかも、ですが。

ClamAV separated from Antivirus service

ウィルス対策サービスに組み込まれていた ClamAVが、独立したアプリケーションとなることで、ファイルのスキャンが高速化されるようです。

そして、これ。

Improved system startup and shutdown times

システムの起動、シャットダウンや、再起動中のアプリケーション起動、停止の速度が向上したようです。これは、気になるところです。

比較してみたいですね。

といっても、何度も再起動はしたくないですが。。

そのほかにも、いろいろな新機能や機能向上が盛り込まれているようです。

下のリンクは、

今回リリース分の公式案内です。

QTS 5.2.0.2851 build 20240808 としての紹介ではありますが、前回リリースの QTS 5.2.0.2823 build 20240711 Release Candidate 3 からの変更点では無く、先述した 5.2.x としての説明ですね。

重複しているので触れませんが、いろいろと機能改善が図られているようですので、早めにアップデートしてみたいと思います。

とはいえ、ちょっと怖さもありますけどね。

5.1.x のときも、初期は影響大き目のバグフィクスがありました(個人的な影響は皆無でしたが)。とはいっても、これだけの大幅変更ですから、それをゼロに出来るとも思ってません。

いきなり全台ではなく、一部のNASを置換えてみようかな、なんて思ってます。

というわけで、5.2.0へ

アップデート完了

アップデートそのものは、何の問題もなく完了するんですが、このアップデートに関連して、このあたりのアプリが要更新になります。

早めに更新しましょう。というわけで、こちらも更新。

SMB Service のエラー発生

これで完了かと思えば、通知欄にエラー(警告)が出ています。

なんだこれ。

右側にある四角の吹き出しは、カーソルをあてたときのもの。

SMB Service って、「QTSにはインストールできません。」ってあるのに、自動で入ってるんですよね。

おまけに、「App Centerで削除できます。」とあるのに、「開く」の右横にある「V」をクリックしても、他のアプリにはある「削除」がないんですね。

つまりは、削除できない、と。

どうしましょうか。。

状況が変わるかと、再起動。

SMB Service のプロセスが「停止するのを待っています」という状況。

QTS 5.1.8 のときには無かったはずです。

再起動しても状況は何ら変わらずでした。

App Centerから SMB Service を「開く」とすると、こんな画面が出てきます。

インストール日は、今日になっていますので、QTS 5.2.0 にアップデートしたことでインストールされた、ということです。

なのに。。

「更新履歴を表示」をクリックすると、

QTS 5.2.0 へのアップデートでインストールされたことは間違いないです。

なのに、なのに。。

とはいえ、本来、どう動くべきかの正解が、実はわかっていません。

Microsoft Networking (SMB) service is now a standalone application called SMB Service, which can be updated independently in App Center. 

と、App Center で更新できる「SMB Service」という独立したアプリになった、ということなんで、こちらが動くことが正解(削除しないことが正解)なんだと思います。

でも、旧来のSMBは機能していて、Windows PCから、このNASのファイルにアクセスが出来ます。

ひょっとしたら、これが(旧来のSMBが動いていることが)問題なのか、と思うものの、これを解除する方法が判らないんですよね。

これを無効にすればいいのかな、なんて考えてみて、試しに(試しですよ、結果的には間違いですから)、無効にしてみたんですが、警告表示は変わらず。

もちろん、これを無効にすると、Windows PCからのアクセスは出来なくなります。

有効に戻すとアクセスできるようになるので、現状(少なくとも、このNASの QTS 5.2.0 上)では、SMB Service を正常に稼働できておらず、旧来のSMBで動作している、ということなんでしょう。

QTS 5.1.8 に戻してみる

リスク承知で、元の 5.1.8 に戻してみました。

Qboost 1.6.2 や Qsync Central 4.5.0.3 は、QTS 5.2.0 上でアップデートしており、この QTS 5.1.8 ではバージョンが合わずに起動できていない状況です。

それはいいんですが、SMB Service 4.15.001 は相変わらずエラーが出てますし、削除も出来ません。

5.2.0 でもダメ、5.1.8 に戻してもダメ、なので、再び 5.2.0 へ。

Windows PC からファイルアクセスが出来ますし、実際の影響は無いんですが、App Centerを開くたびにエラー通知が発生しますし、何より、期待する動作とは違っていますので、微妙な感じです。

というわけで、何らかの改善がなされることを期待するところです。他のNASは 5.1.8で維持、この5.2.0のは、アップデートでの改善待ち、としたいと思います。

再起動時の高速化は、アプリの終了/起動時間が短くなっているように感じるんですが、この問題が発生しているので正常とは言えませんので、詳細な計測結果は開示せずにおいておきます。

問題がクリアしたら、再計測してみたいと思います。