時刻表復刻版 1967年10月号を購入

2021年秋に、JTBパブリッシングが発行した『時刻表復刻版 1968年10月号』を購入したという話を書きました。

時刻表復刻版 第5弾

この復刻版シリーズは、第1弾が「1964年10月号」(昭和39年)。続いて第2弾「1964年9月号」、第3弾「1988年3月号」(昭和63年)、第4弾「1968年10月号」(昭和43年)と続いています。

その後は特にチェックしていなかったので、第5弾が発売されていたことに気付いたのが、つい先日のこと。

第5弾は、「1967年10月号」(昭和42年)。2022年1月26日に発売されていたようですね。

復刻版としての表紙

いわゆる「ヨンサントオ」の前はどんなダイヤだったの?という疑問に対する答えがこの号になるんでしょうか。第1弾「1964年10月号」に対する第2弾「1964年9月号」のような位置付けなのかなと思います。

とはいえ、前月(1968年9月)ではなく、1年前の1967年10月号なのは、この年にも大きな改正があったから。

それに加えて、表紙にもある通り、「国鉄監修 交通公社の時刻表」にとっての記念すべき号でもあるからなんですね。

この号が創刊500号。今から13年前の2009年5月号が1,000号でしたから、結構な昔という感じがしますが、ともかく、500号という記念号となっているようです。

それに、この号からそれまでのB6サイズから、大型(現在と同じB5サイズ)に変わっていますから、誌面構成(1ページあたりの時刻表の掲載エリア)も大幅に変わっています。

今回も、復刻版の表紙カバーを外すと、当時の表紙が現れます。

表紙カバーを外すと当時の表紙

180円というのが時代を感じます。翌年昭和43年10月号も180円ですけどね。

昭和42年10月のダイヤ改正・関西圏に関する気になるポイント

特急「月光」デビュー

このダイヤ改正の目玉は、581系のデビューでしょうか。

私が子供の頃、既に「月光」は廃止されていたので、581系が「月光型」と呼ばれるのに違和感があったんですが、世界初の寝台電車として特急「月光」が華々しくデビューしたわけですから、「月光型」と呼ばれ続けるのも納得ですね。

現在の285系=「サンライズエクスプレス」と呼ばれるのに似てるんでしょうか。

その寝台特急「月光」ですが、新大阪~博多間に1往復設定されています。翌年のヨンサントオからは2往復になりますが、デビュー時は1往復。でも、下り新大阪発が23:30発、博多着が翌9:20。上りが博多19:45発、新大阪着が5:45。夜行列車としては、下りがもう少し早く、上りがもう少し遅ければ利用しやすいのに、と大阪の人間として思ってしまったんですが、新幹線ダイヤと合わせて見ると、納得のダイヤです。

東京20:00発のひかり47号の新大阪着が23:10。23:30発の月光に乗れば、翌9:20には博多に到着。

東京発九州直通の寝台特急の最終が19:10発の「あさかぜ」です。このあさかぜの博多着が12:00。なので、あさかぜの約1時間後に東京を出て、あさかぜの2時間40分前に博多に到着するという、新幹線+寝台電車ならではの時間設定なんでしょうね。

上りの方も同じで、博多駅基準で東京直通の寝台特急の最終が「さくら」の18:53。その約1時間後の19:45に「月光」が発車。新大阪着が5:45と夜行列車としてはやや早い時間ですが、6:00発の始発新幹線ひかり2号に乗り換えると東京着が9:10。さくらの東京着が11:40ですから、さくら到着の2時間30分前に到着するんですね。

新大阪乗り換えの東京~九州は特急「あかつき」が担っていましたが、寝台電車の時間短縮はインパクトがあったと思います。

どうでもいい話ですが、子供の頃、既に「月光」が廃止された後なので、特急「月光」に全く馴染みが無く、「げっこう」と聞くと、「SA-8 ゲッコー」を思い出してしまうんですが。。

日本海縦貫線

昭和42年10月改正の目玉では無いですが、この時刻表で気になった点の一つが、急行「日本海」でしょうか。

翌年のヨンサントオで特急「日本海」に格上げされるので、急行時代最後の「日本海」です。ヨンサントオでは、この急行「日本海」が同じような筋で急行「きたぐに」に引き継がれます。

この42年10月改正の急行「日本海」と、43年10月改正の急行「きたぐに」、特急「日本海」の下りダイヤを載せてみたいと思います。

42年10月43年10月← 同左
5012001501
急行日本海特急日本海急行きたぐに
大阪204019302045
京都211620042125
212120052128
大津21342139
米原224420542238
225420592252
田村23052304
長浜23102309
敦賀234621452342
235221462346
武生029022
福井0482228040
0522229045
小松142137
金沢2112327206
2162330214
津幡228
229227
高岡257004254
300005256
富山317021314
324024324
魚津350347
糸魚川445443
455457
直江津555223552
602225602
柏崎641641
642642
長岡725725
735734
見附748747
東三条802801
新津829417829
832422832
新潟848||848
906||907
新発田937937
938940
中条952956
坂町10041008
10171011
村上1029
10371027
温海1131
11321127
羽前大山1205
鶴岡1213
12146321201
酒田12416561230
12487001240
羽後本荘13517571345
13537581346
秋田14378591429
14488461439
東能代9381544
15549391546
鷹ノ巣16331619
大館165510251641
170510281646
碇ケ関1728
大鰐1748
弘前180111131751
180411141753
青森184411501832

急行は列車番号も変わらず、名前が変わっただけ、という感じです。

その一方、特急格上げの日本海の速さが際立ってますね。

列車編成(急行日本海)

←502 大阪行

501 青森行 →

12345678910111213
自1指1寝2222222寝B寝2寝2
新潟-青森間 逆編成
10号車:大阪-秋田
11~13号車:大阪-新潟

ちょっと面白いなぁ、と思ったのは、青森まで行く編成に2等寝台車が含まれていること。急行きたぐにになってからは、寝台車は大阪-新潟間のみ連結ですからね。

青森に着くまでゴロゴロできる?いや、寝台は解体されてたんですかね。

関西本線・和歌山線

もう一つ、興味があったのは、和歌山線。

これも、ヨンサントオ以前ならではのダイヤなんですが、東京駅から関西本線・和歌山線経由の和歌山市行きの列車があったということ。この列車自体は、1964年10月号にもあったので存在は知っていたのですが、ヨンサントオで消えてしまったんですね。

東京駅を22:35に発車する急行「大和」。行先は湊町(現・JR難波)・和歌山市。

名古屋から関西本線を走り、14両編成のうち10~14号車の5両が湊町へ。9号車1両が王寺から和歌山線に入り、普通列車として和歌山市へ。ん?1~8号車は?というところですが、こちらは名古屋で切り離されて、米原経由で金沢へと行く急行「能登」となります。

すごい運用ですよね。東京駅から、1列車で金沢・湊町・和歌山市行きなわけですから。

しかも、東京から和歌山市へ直通するのが2等寝台車1両のみ、というのが気になるところ。

名古屋から先の関西本線内はDF50が牽引していたと思うのですが、和歌山線は、機関車1両に寝台車1両?王寺からは普通列車(急行大和とは別列車)なので、恐らくは座席客車数両の編成に、東京からの寝台車を連結する、ということなのだろうと思いますけどね。そのあたりの情報が見当たりませんでした。ネットが無かったころの古い話ですしね。

9012901525
急行大和急行大和普通
東京2145
品川2244
横浜2306
大船2325
小田原010
011
熱海034
035
沼津104
静岡156
200
浜松314
317
豊橋350
352
名古屋500
506
桑名538
四日市556
601
亀山636
648
柘植717
伊賀上野736
奈良820
823
王寺838
844848
天王寺908||
910||
湊町917||
高田909
五条1001
粉河1102
和歌山1138
和歌山市1144

何がすごいかって、王寺から和歌山市までは普通列車として、数駅の通過はあるもののほぼ各駅に停車します。ということは、これら和歌山線の小さなローカル駅から、東京へ乗り換えなしで行けた、という事実です。

なんだか、いい時代だったなぁ、と思います。

列車編成(急行大和)

←901 金沢行・2901 湊町行

2902・902 東京行 →

1234567891011121314
寝2寝B指2寝2寝2指2指2指2寝2寝2寝B寝2寝2寝2
名古屋-湊町間・米原-金沢間 逆編成
1~8号車:金沢~東京(急行能登)
9号車:和歌山市-東京(王寺-東京間 急行大和)
10~14号車:湊町-東京(急行大和)

急行「みさき」

急行「みさき」って何だ?という方。ごもっとも。

大阪駅を12:10に出る姫新線・因美線経由の上井(現・倉吉)行の急行列車です。いや、これ、「みささ」でしょ?

そうです。東海道本線・山陽本線のページ、姫新線のページ・因美線のページは、急行「みささ」なんですが、鳥取駅から終点上井駅までの山陰本線のページには急行「みさき」となっています。誤植ですね。

不思議なことに、上りも同じ。山陰本線のページだけ「みさき」で、因美線・姫新線・山陽本線・東海道本線のいずれのページも「みささ」。千葉県の房総半島に「みさき」が走るのはもう少し後の時代ですし、何の間違いなんでしょうね。

この誤植は、きちんと訂正表に記載されてました。

他にも興味深い列車が多々。やっぱり、効率化を第一とする現在のJRとは違い、いろいろと「変な」列車があって、いつまでも眺め続けられる時刻表です。