まるでイルカの283系「オーシャンアロー」
特急「くろしお」との関わり
子供の頃に乗車した、とはっきり憶えているのが、381系の「くろしお」。小学1年生の時の家族旅行で南紀白浜へと訪れた際に乗車した列車です。
それ以前にも家族旅行で各地へと訪れているそうですが、幼児期のために乗用車での旅行も多かったようで、記憶に残っている最初の鉄道旅行がこの「くろしお」を使った白浜となります。
そんなわけで思い入れのある特急となっています。単に乗車回数だけで言うと「雷鳥(サンダーバード)」の方が多いんですが、「最初の」というのは大きいんでしょうね。
なので、381系100番台の「くろしお」が再生産されたときは予約を入れて購入しました。それが、この記事です。
社会人になってからはマイカーを持ち、阪和道が延伸したことも相俟って白浜なら自動車で、という機会が多くなってしまって、381系以外の「くろしお」には、乗ってません。283系や287、289系ですね(もちろんキハ80系にも乗ってませんよ)。
ところが、どういうわけか独特のスタイルを持つ283系に興味を持ち始めたんです。
283系「くろしお」
前述のリンク先にも書いた通り、283系のデビューは1996(平成8)年7月。比較的新しい印象があるこの車両も、間もなく30年を迎えるんですね。
それがここ最近、関心が高まったのが、「毎日見るようになった」からなのかも、と思ってます。
新大阪駅から徒歩圏内の会社に勤めているんですが、8時を少し過ぎた頃に新大阪駅に到着すると、1番のりばに、オーシャングリーンとビーチホワイトの、通勤時間帯には似つかわしくない風貌の列車が見えたんです。
海南発の「くろしお6号」ですね。8時7分に終点の新大阪駅に到着します。この姿を、ここしばらく毎日見かけていました。特に関心があったわけではないんですが、毎日見かけることで興味を持つようになったわけです。心理学でいうところのザイオンス効果、ですかね。
ところが、今年2024年3月の改正で、この「くろしお6号」が287系へと置き換わりました。
もちろん、283系が廃止になるとかではないですし、何ら慌てることもなかったんですが、何となく「くろしお6号を写真に撮っておかないと」という気がして、ダイヤ改正の前々日、3月14日に、普段は降りない1・2番のりばのホームへと足を運びました。
見ての通り、京都方がパノラマグリーン車、大阪方が貫通型です。付属編成 HB631 と HB632 との併結での運用ですね。
ダイヤ改正初日、3月16日の「くろしお5号」も同様でした。
新大阪駅を発車する動画もありますので、実車に興味がある方は、こちらもご覧ください。
KATO 10-1840「283系 <オーシャンアロー> 6両基本セット」
というわけで、ザイオンス効果に負けて手を出してしまったのが、これ。
KATO 10-1840「283系 <オーシャンアロー> 6両基本セット」です。
これまで、381系にしてもブルートレインにしてもフル編成を買い求めてきたんですが、今回は6両セット。
なぜ9両セットではなく6両なのか、というのは思い入れの違いですかね。。実車で撮影した付属編成どうしの6両を再現したい、という思いも特にはなく、いわゆる「(繁忙期ではなく)日常の姿」を手元で走らせたい、という思いからです。もちろん、金額的な面もありますけどね。
車両ケースには、写真の通り、車両と付属品、説明書と、カラー刷りの「楽しみひろがる283系<オーシャンアロー>」という2つ折りの小冊子が入ってました。
この小冊子、283系を走らせるのにふさわしいレイアウトプランの紹介と、海岸部のジオラマ作成の方法、京都-新大阪-天王寺-和歌山-白浜-新宮間ですれ違ったり、見かけたりするKATO製車両の紹介などが掲載されています。表紙の写真、最初、実車かと思ったくらいにジオラマが作り込まれてますね。
まずは、素の状態で通電させてみます。
前後を入れ替えて。
どちらも、ボディとスカートの隙間からチラッと見えるブレーキランプがリアルな感じです。
車両は、
・1号車 クロ282-1
・2号車 サハ283-1
・3号車 モハ283-301
・4号車 サハ283-201
・5号車 モハ283-1
・6号車 クハ283-501
車両番号からも、いかにも「最初の編成」という感じがします。HB601編成です。
付属品
付属品は、右下に見えるドライバー(クハ283-501のヘッドライト/テールライト消灯切替用)と、クハ283-501の電連、それと3両増結セット(HB631編成)を連結する際に交換する連結用スカート。これと、行先表示シールになります。
行先表示シールの側面愛称表示は「くろしお」「オーシャンアロー」「スーパーくろしお オーシャンアロー」。側面行先表示が「京都」「新大阪」「和歌山」「白浜」「新宮」。客扉横表示には、号車番号+指定席/自由席の選択ができるようになっています。
電連は、カプラーの根元にはめ込むだけです。付けると雰囲気が変わりますね。
各シール貼付は今回見送りますので、整備はここまで。
改めてパノラマグリーン車の写真です。
イルカに似た独特のスタイルです。
こちらは、京都方。
グリーン車の表記は印刷済みで、その下の「1 指定席」(縦書き)は、シールでの貼付になります。
振子機構
実車もそうですが、このKATO 283系も振子機構を備えています。381系も同様ですね。
カント付きレール(左がC280・右がC317)の上なので、判りにくいかもしれませんが、381系と285系を比べた写真(再掲)だと、よく判りますね。
撮影する角度によっても、効果が違って見えるような気もしますが。。
いい感じで傾いてます。
走行の様子
まずは、駅からの発車と通過のシーン。
出足は非常にスムーズです。
高速での通過時の6両は、ちょっと物足りなさを感じてしまいますが、これが日常ですからね。
続いては、カーブでの走行シーン。
振子式の車両だから、というのもあるのか、高速で走り抜けても、まったく違和感がありません。
S字カーブにしていますが、カーブレールは模型で半径306cm。Nスケールなので150倍すると459mですから、カントも付けてますし、本則で75km/hが許容される半径です。振子式だと105km/h。
高速で走る姿を見ていて違和感が無いのも納得です。
最後に写真を何枚か。
新宮方となる流線形のパノラマグリーン車クロ282と、新大阪方の貫通型クハ283。
観光地である南紀方面へと向かう展望グリーン車が進行方向を向くのは当然のような気がしていたんですが、付属編成で組成された場合は、大阪方面行の先頭がパノラマグリーン車になるんですよね。
なんとなく、流線形の車両を先頭に持ってくる方がさまになる気がするので、今回の写真も動画も全てグリーン車を先頭に走らせていましたが、逆(HB601編成での大阪方面行)も当然あるわけですから、また別の角度から楽しんでみたいと思います。
同じ「くろしお」どうしですが、並べてみると時代を感じますね。
381系が「くろしお」として走り始めたのが1978(昭和53)年。283系は1996(平成8)年ですから、18年の違いがあります。
とはいえ、283系のデビューからも既に28年近くが経っているわけで、今では「くろしお」の最古参。
すぐに廃止という話はありませんが、381系が引退した今、長く走り続けてもらいたいと思います。