683系 特急「能登かがり火」
今年9月に発売されたKATOの 683系 0番台 「サンダーバード」 (リニューアル車) 6両基本セット + 683系 0番台 「サンダーバード」 (リニューアル車) 3両増結セット。
これを使用して、今は大阪~敦賀間のみの短距離を走行するようになった特急「サンダーバード」9両編成を走らせた話を書きました。
3両編成の特急
鉄道模型趣味を再開して3年。この間に購入した車両は結構あるんですが、その大半は6両以上から成る編成の列車。
最も短編成で走らせた列車は、キハ58系の急行「土佐」で5両編成、EF58牽引のマイテ49を含む旧客4両での5両編成でしたでしょうか。
国鉄時代からの古い列車、特にブルートレインを中心とした夜行列車が好きなので、長大編成の列車が大半を占めています。国鉄末期から、特急でも短編成化が進み、6両でも短く感じた時期があったのですが、JRとなった今では、名古屋以西で2両のディーゼル特急が各地で走っています。
JRの電車特急では、2両は無いですが、3両だと、JR東海の373系「ふじかわ」「伊那路」、JR西日本の287系・289系を使用した「こうのとり」、綾部で分割後の「まいづる」、JR四国の8000系「しおかぜ」などが走っています。
その中でも最北の地を走るのが、683系を使用した「能登かがり火」。石川県の金沢と七尾、和倉温泉との間だけを走る、走行距離が100kmにも満たない特急列車です。
特急「能登かがり火」
走らせる列車の小史を記載することがありますが、「能登かがり火」は今からわずか9年前に登場したばかりの列車です。
2015(平成27)年3月の北陸新幹線金沢延伸開業で、それまで大阪発着の「サンダーバード」4往復、名古屋発着の「しらさぎ」、越後湯沢発着の「はくたか」各1往復が和倉温泉に乗り入れていたのが、「サンダーバード」1往復を残して七尾線への乗り入れが廃止となり、それを補完するための列車として、金沢から和倉温泉までの特急「能登かがり火」が新たに設定されました。
登場時は681/683系でグリーン車連結の6両編成の運転でしたが、2017(平成29)年3月改正で1往復が3両に、2019(平成31)年3月改正でさらに1往復が3両編成に置き換わっています。3両編成はいずれもグリーン車なしとなっています。
コロナ禍の影響もあって、2020(令和2)年10月改正では1往復を除いて3両となり、2022(令和4)年3月改正では1往復減の4往復に。
今年2024(令和6)年3月の北陸新幹線敦賀延伸開業に合わせて、全列車が3両編成となって、グリーン車連結の編成が走ることが無くなりました。6両編成で走る日も、グリーン車なし3両の併結になります。
今年1月1日の能登半島地震で1ヶ月にわたり運休となったことも記憶に新しいですよね。
それ以前に走っていた七尾線・能登線の優等列車については、機会があったら調べてみたいと思います。
KATO 10-1960 683系 0番台 「サンダーバード」 (リニューアル車) 3両増結セット
今回は、この3両増結セットを使用して、自身初の3両編成の列車を走らせてみたいと考えています。
その3両増結セットの説明書には、編成例として、「●能登かがり火 令和6年(2024)3月16日以降の運転をイメージした編成例」として、1号車(クハ682/自由席)、2号車(モハ683/指定席)、3号車(クハ683/指定席)の編成図が描かれています。
その下に、注釈として
増結セット3両編成単独での運転をお楽しみいただく場合は、別売の683系「サンダーバード」用動力装置(リニューアル車対応)(品番28-144-2N)をご利用ください。
とあります。
つまりは、いずれに車両にも動力車が無い、ということです。駅に停車させて楽しむだけなら出来そうですが、走らせての鉄道模型ですからね。
動力車の問題はひとまず置いといて(って、一番重要ですが…)、もうひとつ大事な問題があります。それが、クハ682に、ヘッドライト/テールライトが無い、ということです。
もともと、6両基本セットに増結させて9両編成の「サンダーバード」として走らせるためのセットですから、6両基本セットは両端のクロ683、クモハ683ともにヘッドライト/テールライトが用意されています。6号車となるクモハ683には、中間車となることから消灯スイッチもあります。
3両増結セットの最後尾9号車となるクハ683にもヘッドライト/テールライトがあり、さらに3両を増結して12両編成とするときのためにクハ683には消灯スイッチも付いています。
が、増結面としてしか考えられていない7号車のクハ682は、ライトがありません。
このあたりの話は、「サンダーバード」の3両増結セットのところでも書いてましたね。
これら(動力とライト)の問題を解決するのが、説明書にも記載されていた 品番 28-144-2N 683系「サンダーバード」用動力装置(リニューアル車対応)です。
これに、動力ユニットと、ライトユニットが入っているようです。
が、結構な金額なんですよね。動力ユニットだけに。販売価格は5,940円です。3両増結セットの価格に近く、ちょっと遊ぶには、高価かな、と。
おまけに、ずっと3両で走らせるとは思えず、この先はサンダーバードの9両編成で走らせる機会の方が多いと思いますし、そうなると、9両編成中に動力車が2両になる、と。
なので、別案で3両編成の「能登かがり火」を楽しんでみたいと思います。
ライトユニット装着
まずは、前回の9両編成のまま収納していた6号車のクモハ683と7号車のクハ682を並べました。奥がクモハ683です。
前回、写真を撮り損ねていたので、改めて撮影してみました。
実は、両側のレール共に、進行方向を左側として通電しているんですが、前面ドアを取り付けると、ヘッドライト点灯はこの角度だと見えないんですよね。。左側クモハ683だけが点灯している状態です。
この通りです。
で、ライトユニットの話に戻ります。
今回用意したのが、こちら。
クロ683ライトユニットとスイッチ板です。
ヘッドライト専用化基板は、次回以降のテーマとして、9両編成時の連結面でのリアルさを味わってみようと用意したもので、直接今回のテーマに関係は無いんですが、あえて写真に出したのは、ヘッドライト専用化基板に入っている「ライトユニット集電シュー」を使用するため。
要は、クハ682にライトユニットを装着するには集電シューも必要になりますよ、ということです。
※結果的にスイッチ板を使用しなかったことを、先に報告しておきます。
まずは、クハ682のボディを外します。特に引っかかるところは無かったですね。
次に、床下セットを外します。
いくつかある床下ユニットから上に伸びているツメを内側に押し込むようにすると外れます。ここまでは問題ないですね。
次に、左右両側にある、長い集電バネを取り外します。
この状態にして、ライトユニットを取り付けるんですが、ライトユニットには上下があります。
パッと見は判りにくいですが、2本出ている脚の部分のパターンの違いが判りやすいでしょうか。
こんな感じです。台車取り付け部の○と、ライトユニットの○が合うところに合わせれば、脚のくぼみと床下ユニットからの突起がいい位置に噛み合います。
その上に集電シューを置いて、その上から集電バネを乗っけます。
ここで気を付けないといけないのが、集電バネとライトユニットの脚のパターンです。集電バネの左右の脚が、ライトユニットのパターンの導通部分(切れ込みを挟んで左右両側)にきちんと乗っていることを確認しておく必要があります。
ここで一旦、床下セット(椅子)とボディを取り付けます。※スイッチ板は取り付けてません。
まずは、成功です。
ただ、今回は、今後のことも考えて、クハ682側を先頭車両として走らせることを条件に、ヘッドライト専用化基板をあらかじめ組み込んでおくことにしました。
ボディを取り付けたのは、本来、ヘッドライト専用化基板は、ボディを取り付けた状態で、床下から取り付けるもの、だからです。
床下カバーを外し(これは簡単に外れます)、現れた隙間に写真のようにヘッドライト専用化基板を差し込むのですが。。
これが、全く入りません。
あれ?と思って、もう一度、ボディを外して床下セットを外して。。
ヘッドライト専用化基板を挿している写真とは上下逆になりますので、専用化基板を斜め下から挿している状態を想像してください。
Ⓑは、集電シューが勝手に持ち上がりますが、Ⓐは専用化基板自身の厚みで引っかかるんです。これは、恐らく試してないですが、消灯スイッチでも同じことになりそうな気がします。
ⒶⒷとも、多少は反り上がってますが、特に奥となるⒶ側は基板の厚み以上の反り上がりが必要かもしれません。
なので、この状態でヘッドライト専用化基板を組み込んで、床下セットとボディを戻しました。慎重に作業をしないと上にかぶさる集電バネが集電シューを横倒しにするので、何度となくリトライ。
どうするのが最適解なのかは判りませんが、ひとまず消灯スイッチではなく専用化基板なら動かす部分もありませんので、一件落着、というところです。
室内灯を組み込む
KATOの純正品なので、問題はありません。
が、今回手にした製品は、初めて、昨年実施された仕様変更後のものでした。
照明板に、白いプリントが無いタイプです。
昨年(2023年)4月以降の出荷分が新仕様品とのことですから、いかに販売店の在庫品を手にしていたか、ということですね。。
それ以外の違いは(性能差も)無いんですが、今回は、683系の柔らかな照明をイメージして、ユニット自体は電球色ではないタイプですが、あえてオレンジ色のカラーフィルターを取り付けてみました。
照明基盤と白いカバーパーツを一旦外してカラーフィルターを挟み込むんですが、純正パーツだけに、簡単です。
クハ682とクハ683は、運転席がありますので、照明板の先端部をカットする必要があります。
カットと言っても工具を使う必要はなく、溝と反対側に力を入れて割るだけ。若干バリが残りますので、きれいに整えておしまいです。
が、まさかのトラップにはまりました。
光の拡散をするための彫り込みが作り出す巨大な三角形、下の写真右側を頂点、左側を底辺にする「彫り込みの無い部分」の三角形が広がる方向(写真左側)を、従来の白いプリントの広がる方向と同じものと思ってしまって、写真右側を照明ユニットに接するように装着したんです。
そしたら、照明ユニット付近だけが明るくて、反対側が見るからに暗い状態に。つまりは、逆向きだった、ということです。
「彫り込みの狭い側」(写真左側)を照明ユニットに近付ける必要がある、と。なんか、ちょっと騙された感があったんですが、皆さん、お気を付けください。
同様に残る2両にも照明ユニットをカラーフィルター付きで取り付けました。
動力ユニットの載せ替え
ここまでやって来ましたが、まだ最大の問題が解決してませんよね。
それが、動力ユニット。
実は、この案を考えるまで、最初はこんなことを考えてたんです。
それは、「3号車のモハ683-1006(動力車)を、3両編成の真ん中に挟んじゃえばいいんじゃないの?」って。
同じモハ683ですし、模型の面でもKATOカプラー伸縮密連形どうしですし、問題はないはず、と。
いや、これが大問題だったんです。
実際にやってみるとこんな感じ。
側面のシンボルがつながってない。。
あれ?そうでしたっけ。。
ひょっとしたら、逆向きなら大丈夫なのかも…。
いや、ダメだ。左側は、マークが無いどうしなのでOKとして、右側は。。
なんなんだ、これは。。
というわけで、撃沈。
ところが、3号車モハ683-1006と、3両編成の真ん中、8号車モハ683-1305のボディを外して、そのボディを3号車モハ683-1006の床下ユニット(椅子込み)に被せると、ピタッとはまります。
モハ683-1006 と モハ683-1305 の床下ユニットのデザイン(形状)が一緒なのか、違うのか、素人目には区別が付きません。それよりも、ボディの違いの方が大きいので、ホンモノ(というのか、モハ683-1305そのもの)の姿ですので、違和感が全くありません。
もちろん、モハ683-1006の動力ユニットを組み込んでいますので、走る3両編成に仕上がりました。
というわけで、さっそく走らせてみたいと思います。
走行の様子
まずは、駅の発車から。
さすがは3両です。通過するのもあっという間。それでも、同じ画角に収めやすいというのはいいですね。
走らせて動画を撮影した列車では、機関車の単行を除けば過去最短となる3両編成。
これまでとは違う、また新しい楽しみ方が見えた気がします。
写真を何枚か。
そういえば触れてなかったですね。前回、中間車両となったクハ682に、連結器カバーと電連を付けています。
こちらは、前回も最後尾だったクハ683です。
時代錯誤のキハ58系ですが、短編成で思いついたのがこれ、というだけで、深い意味はありません。現存車両があれば、リバイバル急行「能登路」のような感じで走ったのかな、というところですね。
周りの照明を点けると意外と室内灯が判りにくくなるので、あえて暗めに。
カラーフィルターを取り付けていますが、座席(床下セット)が青いので、冷めた色合いに見えてしまいます。
カーブのこの位置からだと、3両なのか6両なのか、9両なのか、判らないので「能登かがり火」っぽくは見えなくなっちゃいました。連結器カバーと電連ははっきり見えます。
この角度なら3両編成というのがよく判りますね。
最後は後方から。
というわけで、増結3両セットの編成だけで、走る「能登かがり火」を楽しみました。
とはいえ、動力ユニットは3号車に戻しましたし、今後は9両編成として「サンダーバード」を走らせることになるんでしょうかね。
その話はいずれまた。