大増発!「快速 うれしート」

現在、JR大和路線の奈良方面発区間快速、大和路快速の一部と、奈良発おおさか東線経由の直通快速に設定されている有料座席サービス「快速 うれしート」。

このサービスが、来週10月5日(土)以降、一気に拡大します。

おおさか東線 直通快速の「快速 うれしート」

2023年10月23日(月)から始まった有料座席サービス「快速 うれしート」。

おおさか東線では、平日の奈良7:06発と7:30発の2本だけが対象でした。始発駅の奈良から乗車するのならともかく、朝の通勤列車ですから途中駅からの乗車では着席できるかどうかは運次第。

指定席のサービスは一定の需要があったということでしょう。

221系の8両編成を使用する直通快速ですが、進行方向の最後尾、1号車のうち、乗務員室に近い1ブロック(20席)だけが、その対象となっています。

JR西日本公式案内(231215_00_press_daiyakaisei_kinto.pdf)より引用

指定席券を持っていない客がエリア内に立ち入らないよう、車掌の目が届く範囲だけ、ということなんでしょう。

専用車両では無く、通常の221系車両ですので20席のうち8席は対面席になります。それでも、「座って通勤できる」という、まさに「着席のサービス」です。

e5489なら300円でチケットレスの指定席券を購入できるので、割安感もあったんでしょうね。利用客も多かったようで、半年(5ヶ月)後の2024年3月ダイヤ改正で、大幅な対象列車増となっています。

ここにも書いていますが、おおさか東線では、奈良発大阪行の、土休日を含む全ての直通快速が、その対象となっています。

平日の朝の通勤時間(4本)、土休日の大阪へのお出かけ時間(2本)、奈良観光からの帰り時間(2本)ですね。

特急型車両を使用する「通勤特急らくラクやまと」や「特急まほろば」と違って、設備面は一般車両と同じですが、300円の追加で座れる、というのが受けているのでしょう。

ただ、「快速 うれしート」が、上に挙げた2本の特急と違うのは、大阪発奈良方面行の設定が無かったこと、です。

「快速 うれしート」は乗務員室前の1ブロックを使用しますので、大阪発奈良行の直通快速だと、16席と少なくなるうえに、うち8席が優先座席なんですね。

恐らくはそのあたりがネックになっていたんだと思います。

ところが、驚くべき解決方法を用意して、大阪発奈良行の直通快速にも「快速 うれしート」を導入したんです。

大阪発の直通快速にも拡大

その解決方法とは、

※サービス設定時は、有料エリア内の優先座席の設定はございません。
https://www.westjr.co.jp/press/article/items/230824_00_press_uresheet.pdf

え? それでいいの?

という印象を受けたんですが、そのようです。

参考までに、主要駅の時間を掲載しておきます。

○平日(奈良 → 大阪)

列車名奈良駅発王寺駅発久宝寺駅発放出駅着新大阪駅着大阪駅着
F直通快速51号6:126:276:416:527:067:13
F直通快速53号6:426:597:137:247:397:45
F直通快速55号7:057:227:387:498:068:11
F直通快速57号7:307:498:058:168:328:38

○平日(大阪 → 奈良)

列車名大阪駅発新大阪駅発放出駅発久宝寺駅発王寺駅着奈良駅着
F直通快速50号17:3517:4117:5618:0818:2018:36
F直通快速52号18:3518:4118:5619:0819:2019:36
F直通快速54号19:3519:4119:5620:0820:2020:36
F直通快速56号20:3520:4120:5621:0821:2021:36

○土休日(奈良 → 大阪)

列車名奈良駅発王寺駅発久宝寺駅発放出駅着新大阪駅着大阪駅着
F直通快速71号7:247:407:548:058:198:25
F直通快速73号8:248:408:549:059:199:26
F直通快速75号15:4816:0416:1616:2616:4016:46
F直通快速77号16:4817:0417:1717:2717:4117:47

○土休日(大阪 → 奈良)

列車名大阪駅発新大阪駅発放出駅発久宝寺駅発王寺駅着奈良駅着
F直通快速70号10:1510:2110:3610:4810:5911:15
F直通快速72号11:1518:4111:3611:4811:5912:15
F直通快速74号17:3517:4017:5418:0618:1818:34
F直通快速76号18:3518:4018:5419:0619:1819:34

準備は進む

先日、おおさか東線の普通列車(大阪発久宝寺行・221系6両編成)の最後尾車両に乗車したんですが、乗務員室前の1ブロックにあたる座席の窓ガラスに、「快速 うれしート」用のステッカーが貼付されていました。

シートの背もたれ部分には優先座席を示すカバーが掛けられた状態で、窓ガラスのステッカーには、「快速 うれしート」として運行する際は、優先座席の設定はございません、のような但し書きがありました。(優先座席なので、スマホでの撮影がためらわれましたので記憶です…)

なるほどー、と思ったんですが、頭には疑問符が。

乗車したのは、大阪発の直通快速では無く、6両編成の普通列車です。直通快速は8両固定、もしくは4両×2で運転していますので、この案内は大和路線での「快速 うれしート」として使用される際に有効となるものなんでしょうね。ということは、ほぼ全編成の大阪方に、このステッカーが貼られた、ということなんでしょうか。

その他の線区

現在は、奈良方面発のおおさか東線直通快速4本と、大和路線の朝の3本だけですが、10月5日以降、奈良方面行の直通快速も追加されることは、前述の通り。

それ以外にこの秋から増えるのは、

・大和路線 JR難波 → 奈良行の快速5本(いずれも平日の夕~夜)

・奈良線 奈良 → 京都行の区間快速2本・快速1本(いずれも平日の朝)

・JR神戸線 網干・姫路 → 大阪行の快速4本(いずれも平日の朝)

・山陽本線 岩国 → 広島行の通勤ライナー1本(平日の朝)
・山陽本線 岩国 → 広島行のシティライナー2本(土休日の夕)

です。平日のみの列車は10月7日から、ですね。

詳細はこちら。

大和路線の奈良方面行がJR難波発になったのは、苦渋の決断だったんでしょうね。奈良発は天王寺から先は「快速 うれしート」の設定が解除となり、座っている人は引き続き座れますが、奈良方面行で同じことをすると、天王寺で「席を立ってくれ」ということになりますからね。

始発駅のJR難波ならその心配も不要です。環状線からの乗り換えで、新今宮・天王寺からの着席需要もありそうですね。

その他の奈良線、JR神戸線、山陽本線(広島エリア)は片道の設定で、基本的には朝の通勤時間帯。これらも需要を見つつ、反対側の設定も増やしていく、という感じでしょうか。

近鉄・南海の有料特急から始まり、京阪のプレミアムカー、新快速のAシート、阪急のPRiVACEと、関西圏でも通勤時間帯の着席サービスが広がってきています。その一つとして「快速 うれしート」も定着していきそうな勢いですね。

そのうち、最後尾車両1両まるごと、というような時代も来るんでしょうか。

いずれにしても、同じ編成で、座席指定に乗車しない人の混雑率が極端に上昇しないよう、配慮を頂きたいと願うばかりです。