QNAPのOS QTS 5.2.1.2930 Build 20241025 リリース
Qfinder Pro のアップデートを行ったので、その確認以外に用は無かったんですが、Qfinder Pro を開いてます。
そしたら、QTSのバージョンアップの通知が出ていました。
あれ? TS-228A だけのアップデート? なんて呑気に眺めてたら、ん? TS-230 だけ、バージョンが進んでる。。
前回のリリースは、こちら。
QTS 5.2.0.2860 でしたから、QTS 5.2.1.2930 がリリースされて、TS-230 だけが自動更新された、ということなんでしょうね。
では、さっそく、何が変わったか見てみましょう。
変更点は?
公式サイトを確認してみます。
ビルドが10月25日、リリースが10月29日のようです。
セキュリティ更新から始まり、新機能、機能強化と盛り沢山です。前回のリリースでは、小規模変更(というか、緊急リリース的な感じ)でしたが、今回は、さすがは 5.2.0 から 5.2.1 への変化、ですね。
重要なメモ
まずは、「Important Notes(重要なメモ)」から。
If you are using an NVIDIA GPU card and have updated the firmware to QTS 5.2.1 (or their later versions), please update NVIDIA GPU Driver in the App Center.
NVIDIAのGPUを搭載したモデルの場合、ファームウェアアップデートとは別に、App Center から NVIDIA GPU ドライバーを更新して欲しい、と。
GPUと言っても映像機能の強化ではなく、AI機械学習の強化のためのもの。なんか、時代の流れを感じますね。
でも、そんなGPUが載るような上位機種では無いので、読み飛ばします。ちょっと羨ましいですけどね。
Due to certain compatibility issues, ARM-based NAS models are unable to run certain third-party applications in QTS 5.2.1. We recommend users of the following applications on an ARM-based NAS to wait until new versions of the applications are released before updating to QTS 5.2.1 or later:
AhsayOBM (9.7.0.200)
CloudBackoGo (9.7.2.0 or earlier)
続いてはこちら。互換性の問題から、ARMベースのNASモデルでは、QTS 5.2.1 で、特定のサードパーティー製のアプリケーションが実行できない、と。なので、ARMベースのNASで、以下のアプリを使用しているなら、アプリケーションの新しい(対応した)バージョンがリリースされてから QTS 5.2.1 移行にアップデートすることをお勧めします、とのこと。
使用しているのはARMベースのNASなので対象です。って、もう自動で更新されちゃってるんですけど。。
もっとも、実行できなくなるというアプリとは、
AhsayOBM (9.7.0.200)
CloudBackoGo (9.7.2.0 以前)
の2つ。
AhsayOBM はサーバや仮想マシンなどをバックアップするためのアプリ、CloudBackoGo の方は、名前の通りクラウドのバックアップアプリのようで、共にバックアップのためのアプリですね。
いずれも使用していないものですので、 5.2.1 へのアップデートでも影響は無いようです(対象のアプリが入っていれば、自動更新を抑止するかどうか、は不明です)。
セキュリティアップデート
- Applied multiple security updates to further enhance system security.
いつものフレーズですね。何らかのセキュリティに関するアップデートが行われているようです。
新機能
5.2.1 で追加された機能として、3つ挙げられています。
System
- Starting from QTS 5.2.1, certain QTS NAS models now also support the QuTS hero operating system. After updating to QTS 5.2.1, you can switch to QuTS hero by reinitializing the NAS. Applicable NAS models: HS-264, TBS-464, TS-253E, TS-453E, TS-264, TS-364, TS-464, TS-464C2, TS-664, and TS-466C.
HS-264以下、記載された機種で、QTS 5.2.1以降のバージョンから、QuTS heroに切り替えることが出来る、ということですが、対象外ですので、スルーします。というか、切替えには初期化を挟むのでQTS 5.2.1がどのような役割を果たしているのかは、判りません。
Control Panel
- Administrators can now edit the user ID (UID) of an administrator in Control Panel > Privilege > Users > Edit Account Profile.
管理者のユーザー ID (UID) を編集できるようになった、とのことですが、これは 5.2.0.2860 でも、可能なんじゃないですかね。。
Storage & Snapshots
- Storage & Snapshots now displays Qfiling-related storage information on shared folders that are configured as Qfiling space recycling folders.
最後は、Qfiling スペースリサイクル フォルダーとして設定されている共有フォルダー上の Qfiling 関連のストレージ情報が表示されるようになった、とのことです。こちらも、使用する人によっては痒いところに手が届く仕様変更(新機能)、なんでしょうね。
機能強化
機能強化の方も、いくつか挙げられていますので、個人的に気になったところをピックアップ。
Control Panel
- Upgraded Apache HTTP Server to version 2.4.62 for improved security.
- Improved the shared folder name sorting method in Control Panel for easier browsing.
一つ目は、Apache のバージョンが、今年7月にリリースされた、現時点で最新の 2.4.62 に更新されたということ。直接、何らかの違いを感じることは無いでしょうが、セキュリティの脆弱性対策なので結構なことです。
二つ目は、コントロールパネルの共有フォルダー名の並べ替え方法が改善され、参照しやすくなった、ということなんですが…。よく判りません。。
もっとも、自宅で、基本的には一人で管理・使用しているNASなので、一覧と言っても一画面で収まるので気にならない、ってことなんでしょうかね。
File Station
- Users can update to File Station 5 by opening App Center and clicking update on the File Station 5 app icon.
App Center の File Station 5 のアイコンをクリックすることで、File Station 5 にアップデートできる、とのことですが、QTS 5.2.0 のNASでも、既に File Station 5 ですよね。何か違うんでしょうか。。
- Improved the loading time when opening video files.
ビデオファイルを開くときの読み込み時間の改善、は、ちょっと期待するところです。
この項目のサブ項目として、
- Since File Station can now be manually updated in App Center starting from QTS 5.2.1, you can read detailed release information for the application at: https://www.qnap.com/en/app_releasenotes/list.php?app_choose=FileStation5
との記載がありました。
これが、さっきの疑問の答えのようですね。
QTS 5.2.1 以降、File Station は、OS(QTS)のアップデートと連動する更新では無く、App Centerで更新が出来る独立したアプリになる、ということなんでしょう。
バグフィクス
最後は、不具合修正。こちらも40件ほどの項目が並んでいますので、個人的に気になったものだけを挙げたいと思います。
- Fixed an issue for some users where after installing certain memory modules that were not on the compatibility list, the desktop screen would be stuck on “Loading…" after login.
互換性リストにない特定のメモリ モジュールを組み込んだ後、ログイン後にデスクトップ画面が「読み込み中…」のままになるという一部のユーザーの問題を修正した、と。ちょっと驚きです。
互換性リストに無いなら、サポートする義務は無いはずですが、さすが、と感心しました。
- Fixed an issue where Qsync Client could not access the NAS after a user disabled the recycle bin function in Control Panel.
コントロールパネルからゴミ箱機能を無効にするとQsyncクライアントがNASにアクセスできなくなる問題を改修、と。
使用するユーザーからすると、一見関係のない設定のようですが、ソフト開発をしているとそういうことが稀にあります。検討不十分で怒られるやつですが。。
- Addressed an issue where when creating a new user in Control Panel, the email message for the setting “Send a notification email to the newly created user" would contain some characters in Traditional Chinese even though the system language was set to Simplified Chinese.
新しいユーザーを作成する際、システム言語が簡体字中国語に設定されているにもかかわらず、「新しく作成されたユーザーに通知メールを送信する」設定の電子メールメッセージに繁体字中国語の文字が一部含まれるという問題に対応、とのこと。
簡体字(中国)、繁体字(台湾)の確執の問題かと思ったんですが、そんな話では無く、それぞれの文化圏で育った一般の人で、異なる字体の文字を理解できる人の割合は非常に少ないんだそうですね。簡体字で育った中国の人は繁体字を理解できず、繁体字で育った台湾の人は簡体字を理解できない、と。
政治の話に踏み込みたくはありませんので話を戻すと、簡体字の設定をしているのにユーザー追加という大事なメールに繁体字の文字が入っていると、誤読の恐れがある、と。それは要改善、ということでしょう。
- Fixed an issue where after failing to move files from an external drive to a shared folder due to lack of free space, the files might be deleted from the external drive.
これは、ちょっと怖い問題でしたね。
外付けドライブから共有フォルダへのファイルの移動で、空き容量不足により失敗した場合に、外付けドライブからファイルが削除される可能性がある問題を修正した、と。
移動先の方は容量不足によりファイル作成が出来ていないのに、移動元の方は移動が成功したとしてファイルが削除される、と。これは怖いです。
File Station で、とか、SMB経由で、とかの注釈が無いので、全般的に生じていた問題なんでしょうか。私自身が経験する前に改善できてよかったです。
このほか、いくつものバグフィクスがありますので、気になる方は、公式サイトをご覧ください。
特に急いで対応しておきたい、という実害は無かったんですが、1台はアップデート済みですし、自動更新されないようなら機会を見て残る2台もアップデートしておきたいと思います。
自動更新する?しない?
ところで、3台ともに同じ QTS 5.2.0.2860 だったのに、1台だけが自動更新されていたので確認したところ、自動更新の違いを見るために、設定に差をつけていたことを思い出しました。
こちらが、リリース翌々日(10月31日)の10時過ぎに自動更新されたNASの設定。
こちらが、いまだに自動更新されないNASの設定。
なんだかちょっと、「あれ?」という感じがしませんか?
「最新の更新を自動的にインストール」の方は、自動更新されているので納得ですが、「品質更新を自動的にインストール」の方は、セキュリティアップデートやバグフィクスがあっても、新機能や機能強化が含まれているので自動更新されない、という振る舞いに見えます。
ちなみに、もう1台の自動更新されなかったNASの設定は、
まぁ、これは納得ですね。
ただ、ファームウェア更新オプションの並び順が、
と、一番下が「通知をしない、自動的に更新は行わない」なので、一番上が最も更新されやすい(ハードルの低い)設定かと思っていただけに、意外でした。
セキュリティアップデートだけ、もしくは、セキュリティアップデートとバグフィクスだけ、なら、「品質を自動的にインストール」だけが自動更新の対象になる、とかでしょうか。
もうちょっと様子を見てみたいと思います。