急行「はまなす」青森行 (1)

急行「はまなす」
先月、コロナ禍後、初めて東北地方へと旅をしました。青森です。
下北半島と青森市内(三内丸山遺跡)の観光という1泊2日のコンパクトな旅でした。
往復ともに飛行機だったので青森駅へは立ち寄らなかったんですが、最後に青森駅を訪れたのは2014(平成26)年10月のこと。11年前ですね。それが、札幌発青森行の急行「はまなす」への乗車でした。


21年前に乗車した「なは」は、当時のカメラ事情から、撮影した写真も動画も少なかったんですが、この「はまなす」は、札幌駅、「はななす」車内(B寝台)、青森駅と、それなりの数の写真や動画を撮っていますので、いずれ別記事で書いてみたいと思っています。
上に挙げた写真はその一部です。
なぜ「はまなす」の思い出を語ったのかというと、これ。
KATOから6月下旬に発売された 10-2105 寝台急行「はまなす」 7両基本セットと 10-2106 寝台急行「はまなす」 3両増結セット。
もちろん、購入しました。乗車した列車は思い入れも強いですからね。
急行「はまなす」小史
その急行「はまなす」。
寝台特急「北斗星」と共に、青函トンネルの開通に合わせて新設された夜行列車です。ですので、登場は1988(昭和63)年3月となります。昭和ではありますが、数少ないJR化以降に新設された夜行列車の一つですね。
登場当時の編成は、14系座席車のみの5両編成。
1988(昭和63)年3月~1991(平成3)年3月
←201ㇾ 札幌
202ㇾ 青森→
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
◀スハフ14 -550 | オハ14 -500 | オハ14 -500 | オハ14 -500 | スハフ14▶ -500 |
自由席 | 自由席 | 自由席 | 指定席 | 指定席 |
青森-函館間 逆編成
1号車はスハフ14-500のこともあり
運行初日は、2編成を連ねて10両編成(もちろん全て座席車)で走ったそうです。
今でこそ「はまなす」というとB寝台車があって当然という印象がありますが、最初の3年ほどは座席車だけだったんですね。
そのB寝台車が連結されるようになるのが、1991(平成3)年7月。
1991(平成3)年7月~1993(平成5)年3月
←201ㇾ 札幌
202ㇾ 青森→
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
◀スハフ14 -500 | オハネ24/ オハネ25 | ◀スハフ14 -500 | オハ14 -500 | オハ14 -500 | オハ14 -500 | オハ14 -500 | スハフ14▶ -550 |
指定席 | B寝台 | 指定席 | 指定席 | 指定席 | 自由席 | 自由席 | 自由席 |
函館-札幌間 逆編成
オハネ14ではなく、24系車両が中間車両として連結されています。その後、同年12月より1号車がオハネフ25から改造されたスハネフ14-550となっています。その後、オハ14が1両減車となって7両編成になったようですが、こちらは時期不詳です。(ちなみに、上の表2つの間に、4ヶ月ほどのブランクがありますが、途中、6両編成になったという情報もありますので、正確なところがよく判らないんです…)
次の比較的大きな変化が1993(平成5)年3月の改正。
1993(平成5)年3月~1994(平成6)年12月
←201ㇾ 札幌
202ㇾ 青森→
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
◀スハネフ14 -550 | オハネ24/ オハネ25 | ◀スハフ14 -550 | オハ14 -500 | オハ14 -500 | オハ14 -500 | スハフ14▶ -500 |
B寝台 | B寝台 | 指定席 | 指定席 ドリームカー | 自由席 | 自由席 | 自由席 |
函館-札幌間 逆編成
急行「まりも」のディーゼル特急格上げのため、釧路から転入してきたドリームカーが連結されました。
ここにつながるんですね。
もちろん、車体側面の「MARIMO」表記はなくなっています(…ですよね)。
ドリームカーが当初1両で後に増車されたのか、同時に2両連結されたのか、はたまた、ドリームカーが5号車・6号車だった、という情報もあったりと、なんだか混沌としてますが、「はまなす」の編成(車両数)がかなり流動的な運用をしていた、というのを物語っていますよね。
1997(平成9)年3月~
←201ㇾ 札幌
202ㇾ 青森→
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
◀スハネフ14 -550 | オハネ24/ オハネ25 | ◀スハフ14 -550 | オハ14 -500 | オハ14 -500 | オハ14 -500 | スハフ14▶ -500 |
B寝台 | B寝台 | 自由席 | のびのび カーペット | 指定席 ドリームカー | 指定席 ドリームカー | 自由席 |
函館-札幌間 逆編成
1997年3月以降は、最終形に近い形になっています。4号車に「のびのびカーペット」車両が連結されるようになりました。
先にも書きましたが、急行「はまなす」の基本編成はこの7両なのですが、時期によって増結が行われ、最大は下記のような12両編成での運転が行われていたようです。
繁忙期
←201ㇾ 札幌
202ㇾ 青森→
1 | 増21 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
◀スハネフ14 -550 | ◀オハネフ25 ※ | オハネ24/ オハネ25 | ◀スハフ14 -550 | オハ14 -500 | オハ14 -500 | オハ14 -500 | スハフ14▶ -500 | ◀スハフ14 -550 | オハ14 -500 | オハ14 -500 | スハフ14▶ -500 |
B寝台 | B寝台 | B寝台 | 指定席 | のびのび カーペット | 指定席 ドリームカー | 指定席 ドリームカー | 指定席 | 指定席 | 自由席 | 自由席 | 自由席 |
函館-札幌間 逆編成
※ 本文参照
ちなみに2号車もこの2車種固定ではないようで、増21号車と2号車は、オハネ24-500、オハネ25-0、オハネフ25-0、オハネフ25-200の4車種のいずれかが使用されたそうです(鉄道ファン2011年2月号より)。
なんだか、見る資料によって情報がバラバラで、上に書いたものも、寄せ集めですので何が正解で何が間違いか判りません。要は、一時的な(とある日の)編成を見て、その当時の基本形だ、という情報が多いのか、まちまちなんですね。なので、模型ではあまり気にせずに増解結をやってみるといいのかもしれません。
急行「はまなす」自身の変化ではありませんが、2012(平成24)年3月ダイヤ改正で急行「きたぐに」が廃止となり、唯一の定期運行を行う夜行急行となり、2015(平成27)年3月改正で寝台特急「北斗星」が廃止となることで、JR唯一の客車優等列車となったんですが、それも1年のこと。
2016(平成28)年3月、北海道新幹線の新青森-新函館北斗の開業と引き替えに、廃止となりました。
急行「はまなす」といえば、青森と札幌を青函トンネル経由で結ぶ列車、というイメージが強いですが、臨時で秋田まで延長運転を行っていた時期もあります。
1990(平成2)年冬季から1996(平成8)年まで続いたそうです。
手元にある1995(平成7)年5月号の時刻表を見ると、
下り 秋田18:56 - 八郎潟19:33 - 19:59東能代20:01 - 二ツ井20:16 - 鷹ノ巣20:27 - 20:44大館20:46 - 大鰐温泉21:18 - 21:30弘前21:32 - 22:30青森 で、以降は23:08発(当時の定時)に発車し、6:18に札幌へと到着。
上りは 札幌を22:00に発車し、青森には定時の5:18に到着、その後、青森5:33 - 6:14弘前6:20 - 大鰐温泉6:38 - 7:19大館7:20 - 7:36鷹ノ巣7:46 - 二ツ井7:58 - 8:14東能代8:14 - 八郎潟8:54 - 9:25秋田 と走っていたようです。
当時の「日本海」や「あけぼの」が同区間を3時間前後で走っていたので、かなりのゆっくりペースですね。ちなみに、同区間はED75-700での牽引だったそうです。
10-2105 寝台急行「はまなす」 7両基本セット
というわけで、ようやく鉄道模型の話です。

やっぱり、この3点セットでしょう。3両増結セットとED79を購入しました。
まずは、基本セットから。
1号車より順に、
・スハネフ14-552
・オハネ25-11
・スハフ14-557
・オハ14-515
・オハ14-508
・オハ14-510
・スハフ14-502
の7両です。
通常時の編成ですので、これだけでも完結するのがいいですね。
では、さっそく順に見ていきます。
スハネフ14-552

寝台特急「北陸」が2010(平成22)年3月に廃止となって唯一の14系を使用する定期客車列車となったんですが、北海道に配置された14系寝台車は道内急行「まりも」「利尻」「大雪」用の車両を除いて、全て「北斗星」用に24系化改造されてしまっていて、「はなます」の14系編成に使用できるスハネフ14が無かったんですね。なので、オハネフ25から改造されたのが、このスハネフ14-550。552は、オハネフ25-220からの改造だそうです。

車掌室横のエンブレムがJR北海道らしさを感じさせます。

札幌行の函館からの(青森行だと函館からの)最後尾を飾るので、トレインマークもテールライトも点灯します。
白帯にすっかり騙されてましたが元は24系25形。それでも発電機を積んで屋根上には排気煙突もありますから、まぎれもなくスハネフ14です。
オハネ25-11

2号車はオハネ25。0番台なので、寝台側の窓も天地が高いですね。スハネフ14は元が100番台の流れを汲む200番台ですから、天地が低いので、違いは明らかです。
そういえば、24系の寝台車は引戸への加工をしても500番台を名乗ってなかったんですね。「北斗星」もそうでしたっけ。
スハフ14-557

お隣は、座席車のスハフ14-550。スハフ14(サービス電源供給できる車両)の不足から、オハフ15を種車に改造して造られた車両です。なので、こちらもスハネフ14-550と同じく、後付けて排気口が作られた車両になります。
製品の説明書には、この通り、

スハフ14-557に、
消灯スイッチ付。なお、工場出荷時は消灯してあります。
と書かれていたので、通電せずに車両をレールに載せたんですが、念のためと思って通電すると、点灯しました。あれ?初期状態でOFFじゃないの?

確かに、ONになってます。
出荷前検査で点灯確認をして、そのままにしていた、ということですかね。このスイッチをスライドさせるだけでOFFに出来ますから、エラーとかではないですが、説明書に明記する以上は…というところです。
で、面白いのが、このトレインマーク。

「はまなす」ではなく「海峡」です。
商品のサイトにも説明書にも書かれているのですが、快速「海峡」としても走らせることが出来ます。
が、見ての通り、カプラーは密自連形です。この車両を最後尾にして走らせる下り列車限定とするか、説明書に書かれているように、
※海峡の編成を再現する場合はAssyパーツのスハネフ前面用カプラーセット(品番5160-1C3)に交換することで牽引機との連結が可能になります。
と、別売のパーツが必要です。とはいえ、このカプラーセットはアーノルドカプラーなので、ナックルカプラーにするには、さらにZ01-0239のナックルカプラー長(黒)が必要になりますから、ちょっとハードルが高い気がしますね。
ともかくも、「海峡」としても楽しめる、というのはひとつのメリットではあります。せっかくED79も買いましたしね。
オハ14-515

続いては、窓割が独特過ぎる「のびのびカーペット」のオハ14-515。

他の車両と同じように、特に照明を当てていないので中の様子は見えないですが、写真には撮っていないものの、車内には階段や上段もありますので、室内灯を入れて見えるようにしてあげたいですね。
ちなみに、スペース確保のため、片側の引戸も撤去されています。寝台車はドアが片側しかないのであまり違和感は感じないですが、オハ14だと考えると大きな違いではあります。というか、窓割が独特なので、目がいかないだけかも。
オハ14-508/510

写真は5号車オハ14-508ですが、6号車オハ14-510は、ほぼ同じなので全体写真は省略。
その代り、こちらの写真を。

ドア横の「ドリームカー」の表示もしっかりと印刷されています。
スハフ14-502

基本セット最後の車両は、7号車のスハフ14-502。
下り札幌行では青森発車時に、上り青森行では札幌出発時に、それぞれ最後尾となりますから、しっかりとテールライトとトレインマークに灯りが灯ります。

もちろん、「はまなす」ですが、トレインマーク変換装置付きですので、「海峡」にもなります。
まだアーノルドカプラーですしジャンパ栓もありませんので、あまり最後尾として走らせたくない感じですが、これが元の姿です。
というわけで、基本セットの7両の紹介でした。
10-2106 寝台急行「はまなす」3両増結セット
こちらには、多客時に増結される3両が収められています。
・オハネフ25-3
・スハフ14-506
・オハ14-531
の3両です。
オハネフ25-3

24系25形ですが、0番台ですので、2号車と同じく寝台側の窓の天地が高いですね。
それに、車掌室側の妻面が折妻です。100番台の切妻よりも、個人的には好きな形状です。

実車としては「北斗星」と同じなんでしょうが、この「はまなす」のセットでは、最後尾にも機関車連結側にもならない中間車両限定ですので、トレインマークは無く(白地)、テールライトも点灯しませんし、密自連形カプラーですので、機関車と連結することはできません。この車両用にはジャンパ栓の用意もありません。
なにより、

この「21」がいいですよね。
増21号車。北海道らしい表現です。

スハフ14-506

紹介の順としては、車両端の印象が強いスハフ14よりもオハ14を先にしたいところですが、このスハフ14-506は、完全な中間車両。

オハネフ25-3と同じく、トレインマークは白地で変換装置ももちろん無し。テールライトも点灯しません。カプラーは密自連形で客車にしか連結できませんし完全に中間車両です。
が、向かって左側のテールライトの左右両側にジャンパ栓取り付け用の穴があるのはせめてもの救いでしょうか。
というか、同じ金型を使ってるから、という理由が濃厚ですが。。
オハ14-531

最後は、オハ14-531。8号車用の車両です。
そういえば、カーペットカーでもドリームカーでもない、純粋なオハ14って、この中でたった1両だけなんですね。
というわけで、基本セットと増結セットを合わせて全10両を紹介しました。
本文中にも書きましたが、「はまなす」の歴史が思う以上に複雑で(正確な情報がつかみきれず)、文章の編集に時間がかかってしまい、本日はここまでとさせて頂きます。
ちなみに、どうでもいいお話ですが、前回の記事
が、このブログでの600話目の投稿でした。
500話目は
と、500にまつわる話を書いたのに、京街道と600は結び付けられず、601話目に。
列車番号601レと言えば、急行「能登」。
こちらもやってみたいことは残ってはいるものの、どうしても先に「はまなす」の話が書きたくて、今回は「はまなす」にしました。
でも、「はまなす」を調べている最中、秋田-青森間を延長運転していた時刻を調べていると、秋田-青森間の列車番号が「9601」だったんです。臨時を示す9000を外せば601。こんなところに601が。。
というわけで、急行「はまなす」1回目の話はここまでとさせて頂きます。
車両への加工(ジャンパ栓取り付けやカプラー交換)、機関車の準備と、実際の走行の様子は、続編をお待ちください。