純正ナビに起こった悲劇
先日、マイカーのトヨタ プリウスで走り慣れた道を走行中、カーナビとしてはあってはならない事態に遭遇しました。
どんな現象?
プリウス(50系前期)の純正ナビは、渋滞の案内も表示されますし、渋滞による道路混雑(目的地までの所要時間の変化)が発生すると、ルート変更も案内してくれます。
ですので、走り慣れた道でも自宅を目的地に設定することが多いのですが、目的地を設定すると目的地周辺10k四方の情報が更新されます(目的地を設定しなくても、自宅周辺80kmは更新されるようです)。
目的地を設定してしばらく走ると、情報が更新されていた場合に、画面上には「地図更新ボタン」が現れ、音声でも更新を促すガイダンスが流れます。
今回も、音声に従って、交差点で停止した際に、画面上の「地図更新ボタン」をタッチしました。
表示画面は
普段なら更新内容が表示されて地図画面に戻るのですが、戻った画面がこれ。
もちろん、道のない大平原を走っているわけではありません。
普段は、進行方向が常に上向きになる3D表示にしているのですが、ノースアップになっているようですね。
それに、縮尺も普段はメイン画面が400m、右のサブ画面が50mに設定しているのに、両方とも25mになっています。地図画面に関わるパラメータが初期値に戻っているような感じです。
操作してみる
画面よりも下にあるハードキーの、AUDIOキーを押すとオーディオ画面に遷移します。恐らく、オーディオ系のアプリは正常なのでしょう。
オーディオ画面で現在地キーを押すと、反応がありません。
MENUキーを押すと、すぐには反応が無く、一瞬現在地の画面が映った後、MENU画面に遷移します。
ここから先は普通に動くでしょうから、やっぱり現在地系の画面が異常になっているようです。
MENU画面から現在地キーを押すと、すぐには反応が無く、しばらくすると地図表示のない現在地画面になります。
ただ、面白いのは、現在時刻は進んでるんですよね。
画面が完全に更新されなくなったわけではなく、動いています。Wi-Fiのアイコンも動いているようですね。
基本的には、画面上のボタンは効かなくなっているので、時計部分や上段のアイコンだけ、地図画面表示とは別に、スーパーインポーズで表示されている可能性もあります。
シフトレバーを[R]に入れるとバックガイドモニターに切り替わりますが、シフトレバーを[P]に戻しても、画面は乱れた表示のまま。
写真は無いですが、音声操作も試してみました。
「自宅に帰る」→「よろしければ、はいとお話しください」→「はい」で自宅が目的地となってルート探索が始まるはずですが、音声操作画面のまま。
結構な勢いで、内部メモリが崩壊しているようです。
修復方法は?
こういうときは、ナビの電源OFF/ONに限ります。
自宅の駐車場に戻ってきていますので、プリウスのPowerをOFFにした後、少し時間を開けて、Power ON。
当然のようにナビも普通に起動しました。画面も自宅付近を示しています。
昨年11月にも同様の現象が発生していますが、そのときのきっかけが地図更新だったかどうかは記憶にありません。今回は、間違いなく地図更新が影響していると思います。
オンデマンドでの細かな度重なる更新が地図データに悪い影響を与えたのか、他の理由かはわかりませんが、繰り返すようなら、一度、地図SDを自宅に持ち帰って、パソコン経由で地図更新をしてみるのも良いかと思っています。パソコン経由なら、Wi-Fiでの通信では更新できないデータも更新できるようですので、大きく上書きしてくれるんじゃないか、という期待です。
それでもダメなら、トヨタへ直行、ですかね。
※この記事は、トヨタ純正ナビ DSZT-YC4T の性能を批判するためではなく、事例と回復方法を紹介するために記載しています。
カーナビゲーションのソフト開発に携わったことのある一人の技術者として、世の中に完璧な組込み機器は無いと思っていますし、システムが複雑になればなるほど、想定していないイベントが同時に発生したりして、予測がつかない状態になることもあります。
それをいかに防ぐかは設計の手腕ですが、ユーザーに迷惑をかけないソフトを提供する必要性を、改めて感じた出来事でした。