寝台急行「銀河」とEF65-1000

寝台急行「銀河」。2008(平成20)年3月に廃止となってから17年が経とうとしています。大阪と東京とを夜行で結ぶ、寝台急行列車として、今なお記憶に残る名列車です。
今年1月にKATOから「10-1998 24系25形寝台急行「銀河」 9両セット 」が発売されたので、「あぁ、これのことだな」と思われたかと思いますが、半分正解…、いや、9分の2が正解、ですかね。
どういうことかは、後ほど。
寝台急行「銀河」
終戦間もなく走り始めたというか、復活したのが東京駅と大阪駅とを結ぶ夜行の急行103・104列車。下りは東京21時台の出発で大阪着が朝9時台。上りは大阪18時台発の東京6時台着という運転だったそうです。上下ともに12時間ほどかかっていたようですね。
1949(昭和24)年9月改正で、15・16列車(以下"レ"表記)に「銀河」と名付けられたのが、「銀河」の始まりとなります。マイネ×2、オロ×3、オロフ×1+荷物車という、1、2等車だけの急行だったそうですから、さすがは東京・大阪を走る東海道の急行、名士列車です。
と思ったら、すぐに3等車も連結するようになったそうですね。
翌年には東京-神戸間の運転となっています。座席車こそ3等車が連結されていますが、寝台車はマイネ×2、マロネ×1という編成だったようです。
1955(昭和30)年に1等寝台車が廃止となり、マイネ40がマロネ40になるなどして、ロネ×3、ロ×3、ハ×6となっていますが、それでも豪華ですよね。
翌年、ようやく3等寝台車が連結されるようになり、3等座席車の一部がナハネ10の2両に置き換わっています。
その後、ロネが減ったり、ハネが増えたりと小さな変更がありますが、大きく変わるのが1961(昭和36)年10月のサンロクトオ改正です。この改正で、寝台列車となっています。列車番号も11レ・12レとなってますね。
荷物車(マニ)・1号車(マロネ40)・2号車(マロネ41)・3~7号車(オハネ17)・8~11号車(ナハネ10)・12号車(ナハネ11)・13号車(スハフ)という編成だったようです。
ダイヤは、下りが東京 20:40 - 7:10 大阪 - 7:45 神戸、上りが神戸 20:40 - 大阪 21:20 - 7:40 東京、というもの。上下ともに名古屋に停車しています。下りは3:32着 3:41発という時刻ですが、当時は特急(「あさかぜ」や「はやぶさ」など)も、深夜の2時台であろうが3時台であろうが、名古屋・京都・大阪・岡山・広島には停車してました。
そこから小規模変更があり、次のちょっとした変更が1964(昭和39)年10月の、東海道新幹線開通によるダイヤ改正です。今なら、新幹線開通と同時に夜行列車全廃、となりそうですが、「銀河」にとってはプラスとなる改正でした。荷物車1両に客車13両という両数は変わりませんが、2等寝台(ロネ)が倍増の4両に、おまけに食堂車(オシ16)もが連結されるようになっています。
これは、新幹線開通による東阪間の大幅な夜行列車削減のあおりで、「彗星」や「あかつき」、「すばる」が廃止され、「彗星」用の車両が転用されたことによるもののようです。
ところが、あれ?と思う変化が翌年に起こります。ロネ×2、ハネ×3を残して、後の8両が座席車に。さらには姫路まで延伸され、東京-姫路間の列車となっています。このときに、所属が東京(品川)から、大阪(宮原)に移ったそうです。
1968(昭和43)年10月改正で、「明星」を統合して「銀河」は2往復に。1号(101レ・102レ)が旧「明星」で寝台車中心の大阪発着。2号(103レ・104レ)が従来通りで姫路発着となっています。
1972(昭和47)年3月改正で、姫路発着はなくなり、1号は紀伊勝浦発着の急行「紀伊」を東京-名古屋間で併結となりました。「銀河」編成はロネ×1、ハネ×7の8両、「紀伊」編成はロネ×1、ハネ×5の6両です。これが3年続き、1975(昭和50)年3月、山陽新幹線の博多開業に伴う大改正で、「銀河」は1往復に戻ります。一方の気になる「紀伊」は、この改正で14系の寝台特急となり「いなば」と併結されるようになってますから、一気に格が上がった形ですね(「紀伊」にA寝台は無くなりましたが…)。
1976(昭和51)年2月の改正で、「銀河」は急行列車としては初の20系車両となります。
私の子供の頃は寝台急行「銀河」イコール20系。その逆もしかりで、20系は急行のもの、という印象が非常に強いんです。20系を使用した寝台急行は、他にも「天の川」や「新星」などもありましたが(「天の川」「新星」の20系化は同年秋から)、大阪に住んでいることもあって、やっぱり「銀河」ですね。
しかも、「銀河」は唯一のイラスト入りトレインマークがありました。

確か、大阪駅で山陽方面の列車をホームで待っているときに、回送される「銀河」を父が撮ってくれたものだったはずです。ブレてるのが残念ですけど。

こちらは、新大阪駅近くの歩道橋から撮影したもの。大阪へのラストスパート、という写真です。子供だったので、構図はいい加減ですけどね。
手元にある20系「銀河」の写真は、この2枚だけ。
このように、「銀河」はイラスト入り、と思っていたんですが、それは1980(昭和55)年7月からのこと。それまでは「急行」だけの表示だったようです。
鉄道模型視点での大きな変化は1985(昭和60)年3月改正。「銀河」が14系となります。

翌年11月には24系25形化されますので、わずか1年半だったんですね。
この状態で、国鉄からJR西日本へと移管され、1988(昭和63)年3月改正でカニ(カヤ)24を除いて12両あった客車(ロネは1両)は、1991(平成3)年3月に9両に、2001(平成13)年3月に8両にと減車され、2008(平成20)年3月の廃止を迎えることとなりました。

写真は2007年8月、廃止までおよそ半年となった頃に乗車した際に、東京駅で撮影したものです。
鉄道模型はキセルで…
いつもなら、ここで購入したセットの写真を載せるところですが、今回は購入していません。
購入したのはこちら。

ASSYパーツです。
割高なんですけどね。でも、なんだか24系25形100番台の編成をセットの価格で購入するのに抵抗があって。。愛着のあるJR西日本の車両ではあるんですけどね。これが0番台ならセットで買ったかも、ですが。
同じ100番台は、KATO、TOMIXでそれぞれフル編成を持っていて、さらにKATOの「さくら・はやぶさ」時代の「はやぶさ」編成もありますし、食傷気味といいますか…。金帯を含めたら、TOMIXの「北斗星」やKATOの「日本海」も。
このKATOの 10-881 24系寝台特急「日本海」があったのが「銀河」のセット購入をためらった最大の理由でもあります。
そう、オロネ24があるじゃん、と。
「銀河」で使用されたJR西日本との細かな差異はありますが、大半の車両はこれまで購入済みの車両で賄えるんじゃないの?というわけです。
でも、何ともならないのがトレインマークを掲げるカニ24とオハネフ25。ここだけは、「銀河」純正で用意してあげよう、というわけで、車両単体で見ると割高となりますが、カニ24-104と、オハネフ25-132を予約していました。
カニ24-104

一度でも室内灯取り付けなどを行ったことのある方なら、まったく抵抗は無いでしょうね。台車もスナップ式ですし、ボディを「テールライトを壊さないように」床下ユニットに取り付けるだけ。台車もカチッとはまります。1分とかかりません。

100番台の切妻面が特徴的です。
「日本海」のセットに入っていたカニ24-500番台は金帯でしたから、印象も結構違いますね。

オハネフ25-132

こちらは、オハネフ25。同じくボディと床下ユニット、台車から成っています。

向かって右側のテールライトそばにある穴は「ジャンパ栓 KE70」用のもの。これについては後ほど。
オハネフ25-132 ??

こちらは、ボディは「5181-HA オハネフ25 132 銀河 ボディ」ですが、床下ユニットは「5181-1ZC オハネフ25-129 あけぼの 床下」を合わせてみました。
中間封じ込めとなる2号車用に、用意しておいたんです。
というのも、JR時代の24系25形100番台は、先述の寝台特急「さくら・はやぶさ/富士」 24系 9両セットがあるんですが、車掌室側が密自連カプラーのオハネフ25-100は1両しかないんですね。カニ24のすぐ横のオハネフ25は200番台。「日本海」の中間オハネフは白帯のオハネフ24ですし、国鉄時代の車両にはJRマークは入っていません。1両しかなかったことにちょっと意外な気がしたんですが、オハネ25-100の密自連と車掌室側で連結するには、これが必須ですからね。

ボディは同じですのでKE70用の穴があります。実は、あえて通電して撮影していますが、トレインマーク部分はもちろん、テールライトも点灯はしません。テールライトは床下ユニットから一体成型の突起が出ています。見た目の違和感はないですね。
カプラーはもちろん密自連。これでオハネ25との連結が出来ます。
ナックルカプラーへの交換
カニ24と最後尾となる本物のオハネフ25-132はアーノルドカプラーをナックルカプラーに交換する必要があります。
用意したのはこちら。

以前、購入して1つだけ使用していた「Z01-0239 ナックルカプラー長(黒)」。何のときに買ったんでしたっけ。。

カニ24のカプラーセットを取り外し、板バネの紛失に注意しながらアーノルドカプラーをナックルカプラーに取り替えます。

ジャンパ栓などの造形がありますので、ナックルカプラーに交換するだけで、一気にリアリティーが増して見えます。
が…。
オハネフ25からカプラーセットを取り外してみると。。

That’s too simple.
いや、床下ユニットを取り付けたときから気にはなっていたんですけどね。。
セット販売のオハネフ25には、決まってジャンパ栓付のカプラーセットが用意されています。
今回はASSYでの購入なので、それも無し。
カニ24を機関車の次位に、オハネフ25を最後尾にして走らせようと考えていたので、顔面蒼白です。
でも、「以前に買った気がする…」。

探すこと20分。2年前に、何かで使えるかも、と購入しておいたパーツが見つかりました。
元の床下ユニットについていたカプラーセットではなく、こちらに装着。

この80円は大きいです。
KE70ジャンパ栓

これ。
ASSYなのでこのランナーが5つ入っています。
もともとは、「あさかぜ3・2号」「瀬戸」のラウンジカー、異色のパンタグラフ付スハ25-300のための設備で、非常時にパンタグラフを降下させる指令を機関車から発するために設けられたジャンパ栓とのことです。
JR西日本受け持ちの「あさかぜ」「瀬戸」が廃止となり、KE70ジャンパ栓を必要としない「日本海」や「銀河」にも使用されるようになったのだとか。
セットにはある取扱説明書が、ASSYパーツにはありません。なので、どう使うかは想像するよりないんですが、まぁ、これと一緒でしょうね。
というわけで、「まりも」と同じくホース部分を黒に着色。極細の油性ペンで塗ってます。

ちょっと塗り斑がありますが、後で補修しました。
これを、テールライト横の穴に取り付けます。

いい感じじゃないですか。カプラー横のジャンパ栓とも相俟って、リアルな感じが増してます。
寝台急行「銀河」の編成
カニ24とオハネフ25が用意できたところで、編成を確認してみます。
2001(平成13)年3月~2008(平成20)年3月
←101ㇾ 大阪
102ㇾ 東京→
電源車 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
カニ24 | オロネ24 | オハネフ25▶ | オハネ25 | オハネ25 | オハネ25 | オハネフ25▶ | オハネ25 | オハネフ25▶ |
A寝台 | B寝台 | B寝台 | B寝台 | B寝台 | B寝台 | B寝台 | B寝台 | |
ASSY | 日本海 | ASSY | はやぶさ | はやぶさ | はやぶさ | ASSY | 富士 | ASSY |
◀/▶は車掌室の向き
上の表の最下段に書いたのは、車両の流用元です。
実は、中間封じ込めのオハネフ25は、もう1両用意してまして。。
なので、別で用意したのは、「10-881 日本海」のオロネ24、基本編成側のオハネ25は「10-1799 はやぶさ」、付属編成側のオハネ25は「10-855 富士」となっています。
最初に書きましたが、Hゴムの色など、細かな差異には目をつぶります。これで、客車の方は全車揃いました。
カニ24と最後尾のオハネフ25はASSYとはいえ新車で用意し、中間のオロネ24とオハネ25は、お金をかけずに用意しました。これこそ「キセル(煙管)」ですよね。
3061-8 EF65 1000 後期形(JR仕様)
これまで、EF65-1000を何度も走らせてきましたが、急行「ちくま」など、JR時代に走った列車も、「3061-1 EF65 1000 後期形」を使用していました。

写真のように、サイドの中央上部にJRマークが無い、国鉄時代の車両です。
なので、今回、客車にお金をかけない分(って、意外と使っちゃってますが)、同型の機関車も同時に購入しました。

やっぱりこの色、いいですね。
付属品をチェック
まずは、付属品のチェックから。

左上から、ナンバープレート(側面用)、同じく前面用、ヘッドマークは「出雲」と「富士/はやぶさ」。下段はクーラーとナックルカプラーです。
選べるナンバーは
EF65-1102
EF65-1105
EF65-1107
EF65-1115
の4種類。
いずれの車両も1978(昭和53)年に東京機関区に新製配置となっています。1107は廃車となっていますが、1102と1115は今なお尾久車両センターで現役のようです。1105は2022年に廃車回送として長野総合車両センターに向かったようですが、未だに姿は残しているようですね。
いずれも「銀河」現役時代は田端運転所に所属していて、東海道を走る寝台特急「出雲」や寝台急行「銀河」を牽引していたようです。
付属品で不思議なのは「富士/はやぶさ」のヘッドマークですが、所定ではEF66による牽引ですが、代走でEF65-1000がその任に当たったこともちょこちょこあったようですね。
話は逸れましたが、ナンバーは、1105に決定。「銀河」に乗車した時の牽引機 EF65-1100が選択肢にあれば、悩んだかもしれませんが(既に国鉄型の方で使用済み)、残念ながらその心配も不要なので、何となくの決定です。

ナックルカプラーに交換
もう、何度となくやっているので慣れたものです。

ステップを下に引き外して、板バネに注意しながらアーノルドカプラーを外し、付属のナックルカプラーに載せ替えるだけ。元に戻して完了です。
クーラーはどうする?
JR東日本のEF65-1000は、屋根上にクーラーが搭載されるようになりました。2006(平成18)年から取り付けが行われているそうですので、「銀河」に乗車した2007年8月の仕様に合わせるよう、取り付けてみました。
って、上の写真を見ても1100は対象外だったようですね。(既に廃車が決まっていたためかと思われます)



取り付けは簡単。既設の避雷器を外して、代わりにクーラー一体型の避雷器をその穴に取り付けるだけ。
結構印象が変わりますね。

というわけで、車両の準備はすべて完了です。
撮影会
いつもなら、当然のように走行させるんですが、諸々の作業に思ったよりも時間を要して、レールの設営と走行の準備に時間が取れない、という非常事態となりました。
なので、大半径カーブレールをS字に組んで、テールライトを点灯させられるだけの電力を供給。
走らせずに、線路上での「撮影会」となりました。
なので、動画はまたの機会に。。

まずは、先頭から。
側面のJRマークと屋根上のクーラーが印象を変えています。

こちらは、やや上から。あえて、カニ24の大きなJRマークにピントを合わせています。こちらも今回の新調ですからね。

新調と言えば、こちらも。2号車のオハネフ25です。密自連どうしの連結なので、車間も短いですね。

オロネ24の白帯が目立っています。
続いてはテールから。

KE70ジャンパ栓が、これまでのオハネフ25(保有車両)にない味を出しています。下回りのジャンパ栓もいい感じです。
買ってよかった「ジャンパ栓KE70」、買っててよかった「オハネフ24 あけぼのジャンパ栓」ですね。


というわけで、寝台急行「銀河」を走らせようとしたけれど、時間切れで撮影会だけに終わったお話でした。
次は走らせたいですね。
最後に、寝台急行「銀河」のこの編成が走っていた頃、廃止となる前年2007年の時刻表を「時刻表 2007年4月号」から引用して掲載しておきたいと思います。
【参考】寝台急行「銀河」時刻表
【下り】
101 寝台急行銀河 | ||
東京 | 入線時刻 発車番線 発 | 2223 (10) 2300 |
品川 | 発 | 2308 |
横浜 | 着 発 | 2325 2326 |
大船 | 着 発 | 2341 2342 |
小田原 | 着 発 | 014 015 |
熱海 | 着 発 | 035 037 |
沼津 | 着 発 | レ レ |
富士 | 着 発 | レ レ |
静岡 | 着 発 | 144 145 |
名古屋 | 着 発着番線 発 | レ || レ |
岐阜 | 着 発 | 500 501 |
米原 | 着 発 | 540 546 |
大津 | 発 | 633 |
京都 | 着 発 | 643 644 |
新大阪 | 着 発 | 712 713 |
大阪 | 着 到着番線 | 718 (4) |
【上り】
102 寝台急行銀河 | ||
大阪 | 発車番線 発 | (10) 2222 |
新大阪 | 着 発 | 2227 2228 |
京都 | 着 発 | 2257 2258 |
大津 | 発 | 2309 |
米原 | 着 発 | 2351 2353 |
岐阜 | 着 発 | レ レ |
名古屋 | 着 発着番線 発 | 052 (3) 058 |
静岡 | 着 発 | レ レ |
富士 | 着 発 | 423 429 |
沼津 | 着 発 | 447 450 |
熱海 | 着 発 | 507 510 |
小田原 | 着 発 | 531 532 |
大船 | 着 発 | 603 603 |
横浜 | 着 発 | 618 618 |
品川 | 発 | 635 |
東京 | 着 到着番線 | 642 (9) |