ラウンジカー スハ25と寝台特急「あさかぜ」

毎年、年始になると思い出すのが、寝台特急「あさかぜ」に乗車したときのこと。

2005年1月9日に乗車しましたので、今から19年も前の話ですね。1年待てばちょうど20年なんですが、ちょっと待ちきれないので、今年の年始に、思い出の列車を鉄道模型で走らせてみたいと思います。

晩年の「あさかぜ」

寝台特急「あさかぜ」は、1956(昭和31年)11月にマロネフ29やナハネ10を連ねて登場した列車です。1958(昭和33)年10月からは20系客車が新型車両として使用が開始され、「あさかぜ」の伝説が始まるわけですね。

当時まだ珍しかった空調が完備されて、走るホテルと言われた「あさかぜ」ですが、20系登場から20年が経ち、高級感も無くなってきた1978(昭和53)年2月、博多発着の下り1号、上り2号が、東京発着の他のブルートレイン「はやぶさ」や「富士」と同じ、24系25形へと置換えられました。A寝台(個室)は1両になり、いわゆる「普通のブルートレイン」になった感じですね。

国鉄最後の1987(昭和62)年3月ダイヤ改正で、オロネ25-700のシングルDXや、スハネ25-700のデュエット、グレードアップした食堂車オシ24-700を中心とした、「他とは違う」ブルートレインになりました。

3年後、JRとなった後の1990(平成2)年3月改正では、博多発着編成(1・4号)には変化が無かったものの、JR西日本が保有する下関発着編成(3・2号)に、シングルDXのオロネ25-300、車端に荷物を積載出来るようにしたオハネフ25-300、それと1両まるごとラウンジカーのスハ25-300が組み込まれました。この編成が、1994(平成6)年12月に博多発着が廃止されて、「あさかぜ」が東京-下関間の1往復の列車となってからも、2005(平成17)年3月に「あさかぜ」が廃止されるまで使用されることになります(若干の変更はあったようです)。

その「あさかぜ」最晩年の姿。鉄道模型としては、TOMIXからは「92832 JR 24系25形特急寝台客車(あさかぜ・JR西日本仕様)セット」として、KATOからは「10-1484 24系25形 寝台特急「瀬戸・あさかぜ」 7両基本セット」他として製品化されていますが、TOMIXのは2012年、KATOのは2018年の発売と、いずれも新品としては既に入手困難なものです。

ならば、と、目を付けたのがユーズド市場。

KATO「10-033 24系ラウンジカーセット」

そこで手に入れたのがKATOの「10-033 24系ラウンジカーセット」です。格安でした。

いや、もう、箱もくたびれまくってますからね。

ネット上の情報では、この製品にもいくつかのロットがあるようですが、初期のものになると思います。

なんせ、これ。箱の裏側の写真ですが、

郵便番号が3桁です。郵便番号が7桁になったのは1998(平成10)年2月のこと。なので、まだ、「あさかぜ」が現役で走っていた頃です。

表の写真からも見えている通り、発泡スチロールやウレタンの中箱ではなく、1両ずつのケースが3個、並んで収められています。

上から、スハ25-300、オハネフ25-300、オロネ25-300です。光の加減で若干見えにくいですが、スハ25-300とオロネ25-300は金帯、オハネフ25-300は銀帯。カプラーはいずれもアーノルドカプラーです。

取り出してみましょう。

まずは、オハネフ25-300。

おそらくムギ球ですね。「あさかぜ」のトレインマークが赤っぽく光っています。結構電圧を上げないと(PWM制御なのでデューティー比を上げないと)テールランプが光らないのが気になるところ。ゆっくり走行させると暗いかもしれないです。

トレインマークは変換装置付きですので、同じくイラストの「瀬戸」、それに文字の「回送」「臨時」があるようです(って、まだ回してませんでした…)。

それと、お気づきでしょうが、JR化後の列車ですが、ドア間にJRマークが入ってません。後期ロットではJRマーク付きだったようですが、これは何とかしないとダメですね(といっても、手は考えてます)。

続いては、オロネ25-300。

オハネ25-100を種車とした改造車で、「あさかぜ」「瀬戸」用に5両製造されています。オロネ25-0と比べて部屋のスペースが拡大されていますので、個室の数が14室から10室になり、窓の配置もゆったりして見えますね。金帯になっています。

最後は、スハ25-300。

何と言っても、パンタグラフが特徴的です。

東京-下関・高松という直流電化区間のみを走る「あさかぜ」「瀬戸」。ディーゼルエンジンで発電するカニ24ではなく、パンタグラフから取り入れた電気を車内用のサービス電源として利用するための設備を備えたラウンジカーです。

直流型電車ではなく、オハ12から改造した、というのも面白いところですね。

カニ24を連結しなくなったからこそ荷物積載のスペースを設けたオハネフ25-300が生まれたわけで、これら3両が晩年の「あさかぜ」を走らせるためには必要な車両、ということになります。

他の車両は、どれと組む?

これら3両(以降、300番台と略)以外の車両は、いわゆる普通の銀帯24系25形100番台のB寝台車です。

上の写真の通り、いずれの車両もアーノルドカプラーですので、編成を組むのに相性がいいのがTNカプラー化したTOMIXの車両なんですが(それも変な話ですが…)、所有しているTOMIXの24系25形100番台銀帯の車両は「はやぶさ」セットで購入した国鉄時代のもの。つまりは、オハネフ25にJRマークが無いんです。

この先も国鉄時代のブルートレインとして楽しみたいので、このためにJRマークを貼り付けるのは避けたいところ。

逆にJRマーク付きのオハネフ25-100は?というと、KATOの24系「はやぶさ」9両セットがあります。

そうそう、その前に、どの形式が何両必要か、が重要ですよね。

寝台特急「あさかぜ」

1994(平成6)年12月~2005(平成17)年3月

←7ㇾ 下関

8ㇾ 東京→

12345678910111213
◀オハネフ25-300オハネ25オロネ25-300スハ25-300オハネ25オハネ25オハネフ25▶オハネ25オハネフ25▶オハネ25オハネ25オハネ25オハネフ25▶
B寝台B寝台A寝台ラウンジカーB寝台B寝台B寝台B寝台B寝台B寝台B寝台B寝台B寝台
3号車は シングルDX
10~13号車は季節により減車
オハネ/オハネフは300の記載があるものを除き、いずれも100番台
◀/▶は車掌室の向き

300番台以外に必要となるのが、
・オハネフ25-100 × 3両
・オハネ25-100 × 7両
です。

300番台はいずれもKATOカプラーNに換装しますので、セット物の密自連カプラーとは相性が極めて悪いんです。なので、両側を300番台に挟まれる2号車、オハネ25は絶望的です。

というわけで、「何か役立つ時が来るはず」と思って購入していたユーズドのオハネ25-100を使用します。というか、850円という格安だったので思わず買ってしまった、というのが本当のところで、収納ケースの中でずっと仕舞われていた車両です。KATOの522「オハネ25」という、こちらも年代物です。

これをKATOカプラーNに換装することで、1~4号車までは何とかなりました。残るは9両です。

JRマーク付きのオハネフ25-100が、寝台特急「さくら・はやぶさ/富士」 24系 9両セットには2両入っていますが、後の1両は200番台。これを代用するという手も無くは無いんですが、あっさりと諦めます。

というのも、19年前に乗車した時の編成が、季節減車された1~9号車の9両だったので、13両フル編成にこだわる必要はない、ということです。

なので改めて書くと、必要となるのが
・オハネフ25-100 × 2両
・オハネ25-100 × 4両(うち1両はユーズドで用意済み)
となります。

これなら24系9両セットで賄えます。

が、やっぱり5号車の問題は残ります。乗降用ドア側が密自連で、方向幕側がKATOカプラーN(もしくはナックルカプラー)。。

どう考えてもあり得ないです。

密自連型のナックルカプラー化

そこで考えたのが、両側密自連カプラーの車両を片側だけナックルカプラーに換装できないか、と。

若干、捨てる覚悟ではあったんですが、KATOの「富士」編成の11号車、12号車が使われてないので、これを使おう、と。この編成は、トレインマークを「出雲」にしていて、もはや14両編成で走らせることは考えてません。その頃の「富士」「はやぶさ」はTOMIXでも保有していますので、いいかな、と。

というわけで、12号車のオハネ25-104の、方向幕側をナックルカプラーに換装してみます。

と簡単に考えたものの、難航しました。

使用するのはオハ50やオハフ50の50系車両用に販売されている28-234「50系客車用伸縮カプラーセット」。

同じKATOの客車用なんで簡単に交換できるんじゃないかなぁ、なんて甘いことを考えてたんですが、全く甘くは無かったです。

いずれも、左が伸縮カプラーセットに入っているナックルカプラー。右が取り外した密自連形ボディマウントカプラーです。ボディの方は、当然ながらに密自連形カプラーの突起にフィットした穴しか開いていないわけで、これを取り付けるために、穴を開けました。

あまりにも醜い素人加工なので、写真を載せられません。。

でもまぁ何とか、こうして連結できるようになりました。

オハネフ25-300の加工

大きな問題が片付いたところで、細かなところを加工していきます。

「あさかぜ」として走らせるため、最後尾は1号車のオハネフ25-300に限定します。つまりは、東京行の上り列車ですね。乗車した下関行とは違ってしまうのが残念なところですが、9号車に「あさかぜ」のトレインマークが無い以上、仕方がないところです。

なので、思い切って、ジャンパ栓つきのダミーカプラーを付けてみました。付属品です。

箱裏の取扱説明には一切記載されていないので、「台車から伸びるカプラーの台座」を切り落とすのかどうか悩んだんですが、ダミーカプラーと干渉するので、切り落とすしかないですよね。

TOMIXのTNカプラー対応車両のように台座に目印がはいっているわけでも、切り込みが入っているわけでもなく、むしろ根本は補強で太くなっています。が、思い切りも大事。一気に切り落としました。

そのおかげで、台車前の床下がスッキリして見えます。

次に行ったのが、JRマークの貼り付け。

これは、TOMIXの 98802「国鉄 24系25-100形特急寝台客車(はやぶさ)セット」に入っていた転写シートを使用します。

ここに記載した「JRマーク(小)」ですね。

これを、荷物室用扉と乗降用扉の間に、客室窓の天地の中央位置で貼り付けます。

これで、JR西日本の車両らしくなりました。

EF66特急牽引機が活きる

最後の準備は、機関車EF66への対応です。

といっても、ヘッドマークを取り付けるだけですけどね。

TOMIX 7143「JR EF66-0形電気機関車(後期型・特急牽引機・グレー台車)」の付属品を使用します。

左上は「はやぶさ」。使用済みです。

この機関車は、正面左側にスハ25-300のパンタグラフ制御用のジャンパ栓が取り付けられていて(見えやすい写真は後ほど)、晩年の「あさかぜ」を牽引して、その真価が発揮する、ということですね。もちろん、模型で実際に配管することはありませんが。。

最後の最後は、機関車の次位となる9号車のカプラー加工。ナックルカプラーに穴開け加工をして、TNカプラーと連結できるようにしました。

以上で、全ての準備が完了です。

では、走らせてみたいと思います。

走行の様子を動画と写真で

今回は、駅の通過シーンのみ。

というのも、満を持してKATOカプラーNやナックルカプラーに換装したものの、カーブ区間で頻繁に自然開放が発生してしまうんですね。ほぼ100%発生するので原因を突き止めることも出来そうなのですが、時間的な制約があって、お預けです。

自作大半径カーブレールと既存レールの接合部分が怪しいのですが、左右のブレではなく、上下のブレが原因かも、と思っています。この理由が判れば、また報告したいと思います。

なので、駅通過は3カットをまとめて、いつもより長めなんですが、車両数がフル編成より短いのであっさりした印象です。

やっぱり、スハ25-300のパンタグラフが異彩を放ってますね。

続いては、写真をいくつか。

「あさかぜ」のヘッドマークを掲げるEF66。貫禄があります。

今回の目玉。スハ25-300です。奥左側がオロネ25-300、手前右側がオハネ25-100ですが、スハ25のKATOカプラーNと、オハネ25のナックルカプラーの隙間は、ちょっと目立ちますね。アーノルドカプラーほどではないですが。

この写真、ホーム屋根付近がごちゃごちゃしてるので、せっかくのパンタグラフが見えにくいですので、別角度から。

パンタグラフが目立つのは当然ですが、オハネ25(オロネ25)と、種車オハ12との屋根の高さの違いにも注目ですね。

こちらの方が、判りやすいでしょうか。

9両編成中、2両だけ存在する金帯の並びです。

荷物室のあるオハネフ25-300。オハネ二フじゃないの?という方もいらっしゃいますが、主はハネなんで、これでいいと思います(それを言うとカニもカヤじゃないの?と言われそうですが…)。それでも、全長の長かったカニ24-100は荷重5tでしたが、0番台のカニ24は荷重3t。このオハネフ25-300がカニ24の0番台と同じ3tを積めるとのことですから、驚きです。逆に、いかにカニ24のエンジン室が大きいか、ということですかね。

続いては、カーブ区間での撮影。

どちらも、「あさかぜ」のヘッドマークを撮りたくて、スハ25は見えません。

この写真は光を当てすぎてヘッドマークが飛んでしまったんですが、連結器のすぐ左側に、KE70HEのジャンパ栓が見えます。これが、スハ25-300のパンタグラフを降下させる指令のために追加されたジャンパ栓になります。

最後尾オハネフ25-300側から。3両先にパンタグラフ付のスハ25が見えますね。

せっかくなので、クローズアップ。

室内灯を入れてあげたいところですが、11-201という旧タイプの室内灯が必要になりますから、自作でできるか、検討中です。

最後は、19年前の1月に乗車した「あさかぜ」の再現、ということで、オハネフ25-300の前にEF66を置いてみました。ダミーカプラーなので連結はしてません。

乗車時に撮影した写真と並べてみました。

19年前、廃止直前の「あさかぜ」に乗車できて、ほんとに良かったと思います。この気軽さで乗れる寝台列車、復活してくれないですかね。。