幻の500系「こだま」とリベンジ旅(前編)

来年、2027年1月13日で定期列車としての営業運転を終了する新幹線500系。

他の新幹線車両と比べてもひと際(いろんな意味で)尖った車両なので、引退を惜しむ声も多いかと思いますが、それならば乗っておこうと考えたのが3ヶ月ほど前の7月のある日のこととなります。

これまで、500系には何度か乗車していて、思い出に残る2本を記事に書いてました。それがこちらです。

16両編成時代の「のぞみ」と、8両になったV4編成のどちらにも乗っているので、改めて乗らなくても悔いは無い「はず」だったんですが、JR西日本エリアに住んでいて、しかも日々の通勤に新大阪駅を使っているわけですから、やっぱり身近な存在ではあります。駅のポスターにも、同時期に姿を消すドクターイエローと500系の「ありがとー!さよならー! The Last Run 2027」が掲示されてますので、見るたびに「乗っておかないと後悔するかも」という思いが強くなってきたんですね。

当初は、秋くらいに乗れたらいいかな、くらいの感じだったんですが、6月の東北(山形)旅行から9月の滋賀・湖北エリアの旅行まで、3ヶ月半も開くので、じゃぁ8月に行っちゃう?なんてノリで北九州旅行をプランニング。

それが、この旅です。

2026年8月23日 こだま954号 (小倉→新大阪)

恐らくは最後の乗車になるだろうから、と、小倉から新大阪までの4時間強を500系で楽しむ計画を立てて、1ヶ月前の7月23日に予約。

購入したのは日本旅行の「tabiwa得 博多・小倉」。8月の夏休み中ではありますが、お盆のピーク時は外しているので1人当たり10,600円。繁忙期の指定席料金 14,600円よりも4,000円安い上に、スターバックスのドリンクチケット500円分が付いています。

2016年1月の北九州旅行からちょうど10年。久々の500系新幹線ということもあって、前回と裏返しのようなプランにしてみました。往路が金曜日夜発の名門大洋フェリーで、土曜日の朝に新門司に着き、そこから門司港を観光して小倉市内のホテルで1泊。翌日は長距離旅行にしてはちょっともったいないかな、と思える昼過ぎ13時8分に小倉を出る「こだま」に乗車します。新大阪着が17時25分と、全区間が日中の走行になりますから、乗り納めにはいいかな、と。

なんせ、門司港観光ではなく、500系「こだま」がメインの旅ですから。

とはいえ、明石海峡大橋を始めとする瀬戸内の夜景を楽しんだり、レストランでの食事を満喫したり。

翌日は朝から関門海峡を高台から見下ろせる和布刈公園の展望台を訪れ、山を下って遊歩道を歩いて橋台下公園や和布刈神社を巡って関門海峡めかり駅へ。EF30-1とオハフ33-488が展示されていて、客車はカフェとして利用されているようですが、なんせ経年劣化が激しく、ちょっと痛々しさがありましたね。

もちろん架線がないので、パンタグラフのすり板部分(舟体)が水平になってないのが、鉄道模型っぽくて親近感を抱きました(笑)。あれ、写真を撮り終えた後で傾いていることに気付くんですよね。。

ここに来た理由は、もちろん門司港レトロ観光列車「潮騒号」に乗車するため。

トロッコの車両に座り、風を受けながら、わずか10分間ですが終点・九州鉄道記念館駅までのトロッコ列車の旅を楽しみました。

とまぁ、いつ500系の話が出てくるんだ、というところなので鉄分の無い観光の話はカットして、(もっとも、鉄分と言えば門司港駅そのものや、西鉄で走っていた100型車両もあるんですが、併せて省略)夕方に小倉へと電車で移動して宿泊。

翌日、ホテルから小倉城へ向かって紫川のそばを歩いていたんですが、小倉駅到着目前の883系「ソニック」が見えたのでカメラを構えて動画を撮り始めると、さらに高架の山陽新幹線に500系が。

岡山発の「こだま933号」ですね。あと4時間ほどで乗車するんだ、と胸躍らせて小倉城へ。

その後は松本清張記念館を訪れ、小倉駅のビル内にある鉄なべ餃子のお店でビール片手に餃子を頂いて、いよいよ新幹線ホームへ。

つぎの14番ホームに来る列車が、「こだま954号」。

え?

ええ?

どう見てもN700系。しかもS編成です。

JR西日本の公式サイトにある時刻表では、「こだま954号」の車両設備情報欄に「全車禁煙 500系(8両編成グリーン車指定席なし)で運転 普通車一部指定席」とあり、備考欄を見ても、8月23日は所定の編成での運転と見えます。

500系に乗るなら6号車、と狙いを定めて1ヶ月前の7月23日に押さえたのは、6号車10番C・D席。

8両編成となった500系V編成の6号車は元10号車のグリーン車ですからね。グリーン車としてのフットレストやオーディオなどの設備は撤去されているものの、シートはグリーン車、シートピッチもそのままですから、同じ指定席なら4・5号車よりはお得、と。

なのに、やってきたのはS2編成。6号車は「本物の」グリーン車です。半車ですけどね。

当日 岡山駅にて撮影

とりあえず、発車時刻も迫っていたので車内に入って、6号車10番のシートへ。本物のグリーン車です。

「いや、違う、違う」と引き返し、デッキへと戻って来ました。

小倉駅を発車してから乗務員室のドアをノック。

きっぷを見せて「10番のC・D席なんですけど…」と伝えると、車掌さんは「(きっぷは指定席ですがそのまま)グリーンのまま座って頂いて大丈夫です。申し訳ないですけど。」と。

普通車のチケットでグリーン車に乗れるのに「申し訳ないですけど」と謝られたのは、こちらの第一声が「今日、500系じゃなかったでしたっけ?」と聞いてしまったからでしょうね。N700(のグリーン車)ですみません、と。

お忙しい中ですが、少しだけ話をして、この車掌さん自身も今朝、運用変更を知ったのだとか。

それにしても、500系を楽しみに九州まで旅行したのにN700系での代走になって大ダメージのはずなのに、普通車の、しかもtabiwa得きっぷで、新大阪までの4時間をN700S編成のグリーン車で座っていられるという状態を、ラッキーというのかアンラッキーというのか…。

車内を歩いて、10番まで来て、改めて強運だったことを感じました。1番から9番までを予約していたら普通車だったわけですからね。7月23日の自分に感謝です。というか、実際、若い番号は席が埋まっていて、こちら側の方が取れやすかったんですけどね。

車内デッキの壁に貼ってあったのが、この案内。

手書きなのが、いかにも突発的な代走だったことを伺わせます。

まぁ、そんなわけで、500系「こだま」乗り納めは幻に終わりました。

車内では、小倉の駅前にある「シロヤベーカリー」で購入したオムレットを3時のおやつにとつまみながら、フットレストに足を預けて、4時間のグリーン車体験を楽しみました。

9分停車の三原駅にて撮影
15分停車の岡山駅にて撮影

その車内での会話。500系「こだま」、リベンジしないとね。

2026年9月21日 こだま939号 V9編成 (新大阪→岡山)

というわけで、リベンジの実行に選んだのは11年ぶりに訪れた9月のシルバーウィーク。そのうちの2日間を使って、広島への旅に出かけました。

8月23日に北九州から帰って来たばかりですが、その時点で既に9月21日乗車分の指定席券は発売が開始されてます。おまけに5連休ですからね。並びの席が無ければ日を延ばそうと思っていたんですが、乗りたい「こだま」の指定席が確保できたので、実行です。

乗車するのは9月21日の「こだま939号」。

ちょっと意外な感じがするんですが、「こだま939号」の車両設備情報は、「全車禁煙 700系で運転 8両編成グリーン車指定席なし 普通車一部指定席」なので、基本は700系での運転です。が、備考欄に「(一部引用)9月18・20・21・23~26・28・29日… は500系車両8両編成(グリーン車指定席なし)で運転」となっています。9月21日は500系で運転、なんですね。

実はこの備考欄を勘違いしていて、最初に予約したのが40分ほど後の「こだま941号」だったんです。

こちらの車両設備情報が「全車禁煙 500系(8両編成グリーン車指定席なし)で運転 普通車一部指定席」なんですね。しかも備考欄が、「11月30日までは8両編成(グリーン車指定席なし)で運転」となっています。基本の車両設備情報が500系なので、11月末まで毎日「8両編成(グリーン車指定席なし)」つまりは安定して500系?なんて思ってしまったんですが、そうではなく、N700系P編成もしくは700系E編成(レールスター)が充当されるようです。

間違えて買ってしまったきっぷは「こだま指定席きっぷ」。あー。変更できない(笑)

もちろん、キャンセルして「こだま指定席きっぷ」を買い直しました。

というわけで、当日。

新大阪駅20番のりば、特に先頭車付近は鉄分の濃い人が多かったですね。

今回は、無事に500系でした。

500系ならではのフォルムですね。

V9編成です。V編成の9編成目…ではないのが面白いところですが、16両編成時代のW9編成から改造されたのがV9編成です。W1編成だけが短編成化の対象とならなかったので、V編成は、V2からV9の8編成となります。その中でこのV9編成が最も新しい…といえないのも面白いところ。W9としては最後となる1998年10月製造ですが、V9としての登場は2010年2月で、その後にV7、V8が改造を終えて出場しています。

10年前に乗車したV4編成は、つい先日引退したので、現在営業運転を行っているのはV7・V8・V9の3編成のみ。そのうちの1編成ということになります。

この車体側面の丸みを帯びたカーブが500系独特の味を出しています。

W編成時代の10号車を利用した6号車はシートピッチもグリーン車時代のままですから快適です。

もちろん、先日乗車したS2編成のグリーン車とは違って、フットレストは無いですけどね。

写真は車内のものですが、窓側席の壁が丸くなっているのがよく判ります。

6分停車の姫路駅にて撮影

「こだま939号」は、姫路駅に6分停車するので、その間に8号車側の最後尾を撮影にホームへと降り立ちます。終着駅広島まで、途中岡山には15分という長時間停車がありますが、新倉敷・新尾道で各3分、三原で4分と、意外と長時間停車する駅が少ないので、姫路駅では多くの鉄道ファンがカメラを構えてました。

我々は岡山で下車して倉敷へと向かうので、在来線のりばへ。広島へと発車する500系を見送っていては乗り遅れる恐れもあるので、停車中の列車を横目にエスカレーターで新幹線ホームを後にしました。

倉敷では美観地区を訪れ、アイビースクエアや阿智神社などで倉敷の街を楽しみました。その後は瀬戸内の海の幸を食し、倉敷駅から福山駅へと移動します。

福山では駅のすぐ北側にある福山城を訪れました。これまで、新幹線からは何度も目にしている城ですが、実際に訪れるのは初めて。現在放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」とは直接のつながりはありませんが、歴史に触れることが出来ました。

福山では14時23分の到着から3時間ほどの滞在でしたが、ここから「こだま957号」で広島へと移動します。

「こだま957号」は車両設備情報が「全車禁煙 500系(8両編成グリーン車指定席なし)で運転 普通車一部指定席」となっていて、備考欄での除外日にもあたりませんので、本日2本目の500系となります。

が、写真を多用したので、今回はここまで。続きはこちらをご覧ください。