クロッシングレールの使いどころ
鉄道模型の趣味を再開して1年半が経過しました。
この間、車両はそれなりの数を購入しましたし、レールも結構な量を購入しています。
鉄道模型を始めたきっかけがTOMIXのセットだったので、レールは当然TOMIXのものを買い足しています。その中で、昔は持っていなかったけれど、趣味の再開後に購入したレールのひとつに、クロッシングレールがあります。
クロッシングレールとは
クロッシングレールとは、名前の通り、二つのレールがクロスするものです。ポイントとは違い、列車進行方向に選択の自由はありません。
こんな風に、本線を横切ってヤードに向かう線路を敷きたいときとかに重宝します。この写真の例は極端ですが。。
実際には、ポイントと組み合わせて、必要な時だけ本線とクロスさせる進路を開く(本線を横切るルートを作る)、という使い方が基本になるかと思います。
というのも、ループ状の複線で2列車を走らせている場合、2列車ともに手動でコントロールするなら問題はありませんが、定速で周回させていると、本線を横切るクロッシングというのは衝突のリスクが伴います。
それでも、正しくコントロールすれば、このような面白いこともできます。
ただ、このような複雑な運転を楽しみたいときと、単に走らせたい(走るのを眺めたい)ときがあります。周回を走らせたいだけのときは、ポイントも無し。なんだかんだと設置が面倒ですからね。
設置の面倒さだけでなく、電力供給の問題で、ポイントを境に速度が低下することもありますし。
ポイントが無ければ、そんな心配もありません。
ならば、「ポイント無しでクロッシングレールを取り入れたらどうなるか」を、考えてみました。
恐怖の無限大
無限大。「∞」です。
直交するクロッシングレール(X37-90)を使って、∞のように8の字走行させると、ポイント無しでクロッシングレールを楽しむことが出来ます。
TOMIXのN情報室でも、20年近く前ですが取り上げられていましたね。
もっとも、この構成で楽しめるのは、単線の場合。
上のN情報室にもネタ的に書かれてますが、複線以上の場合(このX37-90は、複線間隔の37mm長なので、複数組み合わせると複線の平面クロスが簡単に出来ます)、きちんと制御しないと、列車の側面に別の列車が突っ込む可能性が非常に高いです。
というわけで、コントロールなしで定速走行させるのには、この案を取り入れるのは難しいですね。
方向別複々線の雰囲気を求めて
先ほど書いたポイントの無い周回ルート。ポイントは無くても駅は設置しています。LEDで照明を点けてからは、駅での通過を眺めるのも楽しみの一つです。
視線を落とすと、楽しさも倍増です。
が、この動画。よく見ると、違和感がありますよね。
2面4線のこの駅。手前から奥にかけて、列車の進行方向が、左向き・右向き・左向き・右向きという構成です。各ホームで右向き・左向きという複線のスタイルが、二つ集まっているだけ。いわゆる線路別複々線という形です。
というのも、引いて写真を撮るとこんな感じ。
駅部分だけに着目すると、右手から、列車の進行方向は下向き・上向き・下向き・上向きになります。内側・外側がそれぞれ対(というか同一レール)です。
駅部分で、右手から下向き・下向き・上向き・上向きという方向別複々線のような運行にしようとすると、ループそのものを同一方向に走らせる必要があり、それこそ違和感だらけです。
これを、「全体のループでは複線に、駅部分は方向別複々線風に」するにはどうするか、をずっと考えていたんです。
本線をクロスさせたくないので、立体交差も考えたんですが、交差した後に平面に戻るまでの距離を計算すると、設置する廊下の長さでは足りず…。なんせ、交差が2ヶ所あるわけですからね。駅部のあと、通常の複線に戻すため再度の立体交差が必要なので、長大なレイアウトになってしまいます。
まさかの本線交差
やりたいのは、駅部分だけ方向を反転させること。立体交差をしたいわけではありません。
単純に考えると、平面でクロスしちゃえばいい、というところですが、さすがに本線上にクロッシングレールを設置するのはなぁ、と、躊躇していたんですが…。
よくよく考えると、駅部分だけを反転させるのに関連するレールは、ループの内回り線だけ、なんですね。
内回り線に走る列車は一つだけ。つまり、本線上にクロッシングレールを設置しても、衝突の心配はゼロ、ということです。
というわけで、こんな感じのレールを設置してみました。
駅の前後にクロッシングレールを設置して、内側のループ線を駅部分だけ、外側ループ線の進行方向と揃えています。
これで、クロッシングレールの前後は、通常の複線に。駅部は方向別複々線(風)に見えるようになりました。
実はこれ、おおさか東線で新大阪方面へ行く普通電車の左側車窓を眺めているとき、JR淡路駅を出てすぐに見える阪急淡路駅の構内配線を見て「あっ、これだ」となったもの、なんです。
阪急京都線と千里線が、リアルに平面交差してますからね。
天神橋筋六丁目⇔高槻への上下線、梅田⇔北千里方面の上下線だけを抽出したような感じの配線です。
走行の様子
この方向別複々線を走っている様子がこちら。実は、既に公開済みです。
やっぱり、下の写真と比べると違和感なく見えますよね。
方向別複々線の駅にすると、このようなシーンも見られます。
もちろん、駅部以外では、通常の複線でのすれ違いが見られますし、全体として「どこをとってもいい感じ」になりました。
このように、ホームを挟んで機関車の並び、テールの並びが簡単に見られるのがいいですね。
今までは、無理やり編成の向きを変えたり、内回り線を逆走させたりしてましたから。
クロッシングレール通過時の速度低下は?
お座敷レイアウトで運転を楽しんでますが、D.C.フィーダーでの給電部は、内回り線・外回り線に各1箇所ずつだけ。
内回り線への給電は、手前側のループにひとつだけです。
つまりは、奥側のループへの給電は、クロッシングレールを2ヶ所乗り越えた状態、ということになります。
片分岐のポイントや、ダブルスリップポイントをルート上に複数組み込んでいると、そこを通過するときに速度が低下したり、最悪の場合、ポイントを越えられずに止まってしまったりすることもあるなど、なかなか厄介な存在でした。
今回使用しているクロッシングレールも、このようなリスクがあるのではないか、と危惧していたんですね。
直線レールのようにレールそのものに電気が流れるわけではなく、道床内部で「接点が交わることなく」導通させているからこそ、一見逆方向に見える電気の流れが、安全にクロス出来ているんです。
が、ポイントと違って、機械的に接触・非接触を作り出しているのではなく、直線側は常に導通状態となるので、極めて安定しているようです。
前後2つのクロッシングレールを機関車が通過するときの、速度低下はまったく見られません。
室内灯やテールライトのちらつきも、直線/カーブレールを走っているときと大差なしです。
クロッシングレールに着目して、別角度から。
多少のちらつきはありますが、カクツキや速度低下がないので、安心して見ていられます。
ポイントでは無いですが、駅構内で転線する様子が旅情を誘いますね。フランジ音が聞こえてきそうです。
今回は、思いつきでやってみたので、片側のホームを挟む線路幅が37mm×2の74mmと、正規の55.5mmより広く、締まりがなかったので、もうちょっと計算してスマートにしてみたいですね。