カニ24-100番台と寝台特急「瀬戸」
長く大阪府内に住んでいるため、大阪駅では子供の頃からいろいろな列車を見てきました。
その多くが写真に残せていないのは残念なところですが、山陰本線経由の博多行特急「まつかぜ」や、姫路から姫新線に入る鳥取行急行「みささ」と中国勝山行急行「みまさか」等々。
今となっては懐かしい列車名ですよね。
大阪駅に停車する列車は、大抵一度は目にしていると思うのですが、大阪駅に停車するのに現役時代を見ることが無かったとはっきり言えるのが寝台特急「瀬戸」。サンライズ瀬戸ではなく、24系25形のブルートレイン時代の方です。
寝台特急「瀬戸」
下り宇野(高松)行は大阪駅を未明に通過(実際には運転停車)ですが、上り東京行は大阪にも停車していました。深夜0時前後です。
サンライズに置き換わるまでの頃に東京へ行く機会が少なかったこともあったんですが、東京に行くなら「新幹線」。夜行で行きたければ寝台急行「銀河」もありましたし、乗車券+特急券+B寝台券が必要で、新幹線よりも数千円高い「憧れ」で終わってしまった列車です。
時間が時間なので、子供の頃に「見に行く」だけというのも難しく、「瀬戸」とは接点が無かった、というわけです。
そんな寝台特急「瀬戸」ですが、東京発着のブルートレインとしてはちょっと異色な存在として記憶に残っています。
というのも、「さくら」を筆頭に、「はやぶさ」「みずほ」「富士」「出雲1・4号」「あさかぜ1・4号」「出雲3・2号」と、おまけに「銀河」までもが、いずれもA個室なり開放型A寝台が連結されているのに、「瀬戸」と、その共通運用の「あさかぜ3・2号」だけはB寝台のみのモノクラス編成。それに、受け持ちが下関運転所(広セキ)・広島運転所(広ヒロ)という、他多数の品川客車区(南シナ)とは違う独特さがあった、というわけです。
異色と言えば、前身の急行「瀬戸」が10系客車だった時代に、新製の14系14形寝台車が試用として一時的に編成の中に組み込まれた(1971年)、というのも有名な話。翌年の特急格上げ時に20系となって、急行なのに70cm幅の寝台だったのが、特急になったら52cm幅に逆戻り、と。
というわけで、歴史的な話を書いてしまいましたが、その起源は古く、終戦間もない1950(昭和25)年10月に登場した東京-宇野間を直通する四国連絡急行に遡ります。
翌1951(昭和26)年11月からの5年間は、東京-大阪間で、福知山線経由大社行の急行「出雲」と併結運転。当時の名前はひらがなの「せと」でしたが、今のサンライズ「出雲」+「瀬戸」を思わせる運行体形ですよね。
1956(昭和31)年11月に単独運転に戻り、その際に漢字の「瀬戸」と改称されています。
1968(昭和43)年10月からは同区間を走る「さぬき」を統合して2往復体制となり、1971(昭和46)年10月から、先述の14系試用車連結。
翌1972(昭和47)年3月に、特急に格上げされ(1往復に)、寝台特急「瀬戸」として20系でデビュー。
1975(昭和50)年3月から車両受け持ちが下関運転所(広セキ)・広島運転所(広ヒロ)に変更となり、下関あさかぜとの共通運用となっています。20系時代からこの運用だったんですね。
1977(昭和52)年9月に24系25形化。この時点でオール2段式B寝台のモノクラス編成となりました。
1988(昭和63)年4月には瀬戸大橋(本四備讃線)開通で東京-高松の運行に。
1990(平成2)年3月からは、A個室「シングルデラックス」、「ラウンジカー」を連結。
その8年後、1998(平成10)年7月に「サンライズ瀬戸」となってブルートレインとして活躍した時期が終わるわけですが、振り返ってみると、24系25形時代は21年弱でしたから285系化されてからの方が長くなるんですね。このまま行けば来年2024年11月には、寝台特急「瀬戸」の客車(ブルートレイン)時代の期間(26年)を追い抜くことになります。
24系25形 寝台特急「瀬戸」の編成
今回再現したいのは、国鉄民営化(1987年3月)直前の頃。なので、東京-宇野間をモノクラス編成で走っていた頃、ということになります。
← 15レ 宇野
16レ 東京 →
電/荷 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 |
カニ24 | オハネフ25 | オハネ25 | オハネ25 | オハネ25 | オハネ25 | オハネ25 | オハネフ25 | オハネフ25 | オハネ25 | オハネ25 | オハネ25 | オハネ25 | オハネフ25 |
電源車+1~7号車:下関運転所 所属
8~13号車:広島運転所 所属
全車両とも東京~宇野間
電源車を含む基本編成は広セキ所属。当時(1988年の資料)、広セキのカニ24は、0番台は無く、100番台が6両。
瀬戸・下関あさかぜのカニ24が100番台の印象が強いのも納得ですね(一方の南シナは、0番台が10両、100番台が4両でした)。
9538「国鉄客車 カニ24-100形(銀帯)(T)」
はやぶさ編成の予約が始まった頃、「なんでわざわざ、平べったい顔の100番台を買うんだよ」と思ってたんですが(動力車の方は、相応の存在意義があります)、カニ24のトレインマークを「はやぶさ」以外にして最後尾にして走らせれば、別の列車を楽しめるかな、と思い直して追加予約。
昨年末には手にしていたのですが、約1ヶ月を置いての開封です。
少し、かける電圧が高過ぎたでしょうか。トレインマーク部分は透明です。
オプションは、この通り。
交換用TNカプラー、ステップ、トレインマークシールと車番の転写シートが入っています。
シールと転写シートは、上記リンク内でも書いていますが、98803「国鉄 24系25-100形特急寝台客車増結セット」に添付のものと同じですね。同じ、というか、共通化するように構成されています。
トレインマークシールは、上の写真にも写っている通り、しっかりと「瀬戸」もあります。
というわけで、さっそくトレインマークの貼付と、TNカプラー化を行っていきます。
どちらが先になっても、まずはボディの取り外しから。
単色ながら、ディーゼル発電機の形状が作り込まれています。
テールライトプリズムを取り外します。
説明書には、この状態でトレインマークシールを貼り付ける、とありますが、位置合わせはガラスパーツを外した方がやりやすいかもしれません。
ボディを取り付ける前に、TNカプラーを取り付け。
最後に、台車からカプラー部分を切り落として、カニ24-100の加工は完了。
いいですね。ジャンパホースも表現されていて、しっかりと最後尾を飾ってくれそうです。
カメラの露出を低くして撮影。
いい感じじゃないでしょうか。
最後に、「はやぶさ」セットのカニ24-0番台と並べてみました。
マイクロスカート有無の違いどころではないですね。全然違います。
上から見ても違いがあります。
実車では、100番台の方が100cm長くなっています。荷物室部分が増えた、というのがよく判りますね。
「瀬戸」に足りないもの
これで準備完了、と思ったら大間違い。
足りないんです。ハネが。
TOMIXの(KATOもそうですが)「はやぶさ」編成は、EF66で牽引するようになる1988年3月改正前後の編成なので、
カニ24×1
オロネ25×1
オシ24×1
オハネフ25×4
オハネ25×7
オハ24×1(TOMIXのみ)
です。
一方、「瀬戸」の方はどうかというと、
カニ24×1
オハネフ25×4
オハネ25×9
です。
オハネ25が2両も足りない…。
これは、「彗星」を走らせたときにも書きましたが、「彗星」と違って短編成での定期運用はないですから、なんとかしないと。
と考えたのが、これ。「国鉄 24系25-100形特急寝台客車増結セット(4両)」。
もうひとつ、買っちゃいました。
というのも、一見過不足のないオハネフ25も、実は足りないんです。
「はやぶさ」編成のオハネフ25は、100番台が3両、200番台が1両の計4両。
「瀬戸」編成のオハネフ25は、4両ともに100番台。
都合の良いことに、増結セットのオハネフ25は100番台ですから、これで準備完了です。
細かい話ですが、追加で購入した増結セットとカニ24-100の車番は、当時広セキ・広ヒロに所属していた車両の番号に合わせてみました。
どのみち、南シナの「はやぶさ」編成と混ぜないと「瀬戸」として成り立たないので、気分的なものですが。。
牽引機はEF65-1000
寝台特急「瀬戸」は、東京ー宇野間、後年の東京ー高松間も、全てEF65-1000が牽引していました。ですので、牽かせるのはもちろん、EF65-1000。昨年、KATOの24系25形と同時に購入したものです。
KATOのナックルカプラーへと交換していますが、TOMIXの急行「ちくま」を牽かせたときに、TNカプラーと連結できるように加工していますので、こちらは問題なしです。
ヘッドマークは、「ヘッドマークセット EF65-1000用(国鉄)」を使用。
もともと「出雲」だけのために購入したんですが、「彗星」に続き「瀬戸」と、いろいろ役立っています。
車両の向き
今回、「瀬戸」再現のため過去の文献などを見ている中で、改めて感じたんです。
「スハネフ25-100は、美的センスに欠ける」と(個人的な意見です)。
折妻の0番台に対して切妻だから、という話ではなく、車掌室側どうしの連結が出来ない、という設計に対して、です。
100番台は片栓構造のため、車掌室が「電源車から遠い側」(東海道ブルートレインの場合は東京駅側)に向く方向にしか連結できない、と。
なので、7号車・8号車間の連結部はこんな感じに。
「はやぶさ」とか「出雲」の付属編成(途中駅で切り離される編成)は両端共に車掌室側を向いているので、その辺の事情をあまり意識してなかったんですが、付属編成の九州・山陰方面端は方向転換可能な200番台となっているからこそ実現できていた、という理由だったんですね。
「彗星」を走らせたとき、そのあたりの知識が曖昧で、100番台のオハネフ25の車掌室をカニ24側に連結していたのですが、これは間違い。0番台、200番台ならOKだったんですけどね。
ということは、下関行「あさかぜ」が広島駅で付属編成を切り離していた時代、広島駅に残された車両の先端はクリーム色のドアに「B寝台」と書かれた窓ガラスが見えるオハネフ25の中間車側だった、ということなんですかね。資料が無くて違和感しか残りません。。
もっとも、1992~98年頃の「出雲」も出雲市回転となる付属編成の先頭がオシ24だったので、似たようなものかもしれませんが。。
走行を撮る
まずは、駅からの出発シーン。
出だしもスムーズで、いい機関車です。
徐々に加速(もちろん手動での操作)していくんですが、スケールスピードの調整が難しいですね。実際、最後尾14両目の通過は、もうちょっと速い方がいいような気がします。
光の当て方で、色味がかなり変わって見えます。
最後尾のトレインマークが「瀬戸」っぽくていい感じです。暗い中で動いているので、なかなかピントが合わないんですけどね。
というわけで、次は写真撮影。
まずは、駅で停車中の撮影。
電源車からディーゼル発電機の稼働音が聞こえてきそうです。
EF65の方は、常点灯でないのが惜しいですね。
次は、走行の風景。とはいえ、実際には停車中ですから、ヘッドライトはやっぱり消灯してます。
最後に、新旧の「瀬戸」。時代的には、この間にA個室・ラウンジカーを連結したグレードアップ編成が入りますから、直接これらの編成がすれ違うことは無かったんですが、模型ならではの楽しみ方ですね。
お座敷レイアウトでも、暗めの部屋(実際には廊下ですが…)だと、雰囲気を壊さない写真が撮れます。
走らせているより、写真を撮ってる時間の方が長い?と思われるかもしれませんが、どちらも楽しいですからね。
最後は、オハネフ25-100番台らしい1枚。車掌室が一方を向いてます。上の方で、否定的な書き方をしましたが、これはこれで悪くないです。
というのも、オハネ25、オハネフ25ともに100番台なのに、東海道本線の西向き左側(海側)、写真での手前側(客車の通路側)の窓が全て大きいんですね。反対側(客車のベッド側)は100番台らしく、上下が狭い窓で統一されてますから、ある種の統一感が見られます。
というわけで、TOMIXの寝台特急「はやぶさ」編成に、少し手を加えて寝台特急「瀬戸」として走らせた、というお話でした。結局、客車5両を追加購入しているので、「少し手を加えて」では無くなってますけどね。
【参考】寝台特急「瀬戸」時刻表
この編成が走行していた1978年10月、1982年11月の改正と、民営化時(1987年4月)、現在(サンライズ瀬戸)の時刻表を挙げておきます。
【下り】
1978年10月 | 1982年11月 | 1987年4月 | 2022年3月 | ||
15 | 15 | 13 | 5031M | ||
東京 | 発 | 1925 | 1905 | 2105 | 2150 |
横浜 | 着 | ー | 1931 | 2126 | 2214 |
発 | 1951 | 1932 | 2127 | 2215 | |
熱海 | 着 | 2055 | 2033 | 2224 | 2321 |
発 | 2056 | 2034 | 2225 | 2323 | |
沼津 | 着 | レ | レ | レ | 2338 |
発 | レ | レ | レ | 2339 | |
富士 | 着 | レ | 2107 | 2255 | 2352 |
発 | レ | 2107 | 2255 | 2353 | |
静岡 | 着 | 2156 | 2137 | 2322 | 018 |
発 | 2158 | 2139 | 2324 | 020 | |
浜松 | 着 | レ | レ | レ | 111 |
発 | レ | レ | レ | 112 | |
名古屋 | 着 | 018 | 2400 | レ | レ |
発 | 023 | 005 | レ | レ | |
大阪 | 着 | レ | レ | レ | レ |
発 | レ | レ | レ | レ | |
姫路 | 着 | 403 | 352 | 519 | 525 |
発 | 403 | 354 | 521 | 526 | |
岡山 | 着 | 507 | 458 | 629 | 627 |
発 | 515 | 502 | 631 | 631 | |
宇野 | 着 | 603 | 536 | 703 | || |
児島 | 着 | … | … | … | 652 |
発 | … | … | … | 653 | |
坂出 | 着 | … | … | … | 709 |
発 | … | … | … | 710 | |
高松 | 着 | … | … | … | 727 |
3031M:寝台特急「サンライズ瀬戸」
【上り】
1978年10月 | 1982年11月 | 1987年4月 | 2022年3月 | ||
16 | 16 | 14 | 5032M | ||
高松 | 発 | … | … | … | 2126 |
坂出 | 着 | … | … | … | 2143 |
発 | … | … | … | 2144 | |
児島 | 着 | … | … | … | 2200 |
発 | … | … | … | 2201 | |
宇野 | 発 | 2100 | 2058 | 2108 | || |
岡山 | 着 | 2133 | 2134 | 2141 | 2223 |
発 | 2141 | 2138 | 2143 | 2234 | |
姫路 | 着 | 2249 | 2241 | 2253 | 2332 |
発 | 2249 | 2243 | 2255 | 2333 | |
三ノ宮 | 発 | レ | レ | 2338 | 011 |
大阪 | 着 | 2354 | 2349 | 002 | 031 |
発 | 2358 | 2353 | 005 | 033 | |
静岡 | 着 | 449 | 439 | 443 | 438 |
発 | 451 | 441 | 445 | 440 | |
富士 | 着 | レ | 508 | 512 | 509 |
発 | レ | 508 | 513 | 510 | |
沼津 | 着 | レ | レ | レ | 526 |
発 | レ | レ | レ | 527 | |
熱海 | 着 | 553 | 540 | 543 | 543 |
発 | 554 | 541 | 544 | 545 | |
横浜 | 着 | ー | 646 | 647 | 644 |
発 | 657 | 647 | 648 | 645 | |
東京 | 着 | 725 | 711 | 711 | 708 |
3032M:寝台特急「サンライズ瀬戸」