「○○のはなし」の乗車記録(その2)

ちょうど1年前の2020年2月22日。

山陰本線を走る観光列車「○○のはなし」に乗車しました。

そのときの記録、その2です。 その1はこちらをご覧ください。

乗車した時のはなし

萩から仙崎へ

販売カウンターで購入した「ちょんまげビール」(山口萩ビール)のペールエールと、「東洋美人」(澄川酒造場)を頂きながら、予約しておいた「萩のおつまみセット」を口に運びます。

この日の内容は、「鯵の南蛮漬け・長州鶏の唐揚げ・フグの唐揚げ・鰆のみそ焼き・クレソンの胡麻和え・ちくわの磯辺揚げ・子持ちイカの旨煮」でした。

萩で最も歴史のある割烹料理店「千代」が手掛けたおつまみの数々。量は見ての通り少な目ではありますが、それぞれに美味しかったです。

飯井駅を通過すると、列車は萩市から長門市へと入ります。

飯井駅を通過
長門市駅構内にある元乃隅神社を模した鳥居

東萩から新下関へと向かうこの列車は、長門市駅で客扱い無しの運転停車をした後、進行方向を変えて仙崎へと進みます。山陰本線の仙崎支線、通称仙崎線です。

この日の車内イベントの一つが、仙崎駅構内での紙芝居上映。駅構内で「車内イベント」というのも妙ですが、下関の観光協会に所属する女性スタッフの方が、この駅から乗り込みます。その前に、駅構内での紙芝居、というわけです。

仙崎駅では30分の停車時間がありますが、紙芝居を一通り見たら残りの時間もわずかになるので、できるのは駅周辺の散策くらいになります。

駅構内の展示物を見たり、アテンダントさんに記念写真を撮ってもらったりしている間に停車時間も残り少なくなり、車内へと戻りました。

仙崎から滝部へ

仙崎を発車し、長門市駅に停車。2度目の停車は、運転停車ではなく、客扱いのある停車です。

新下関から萩へと向かう午前の列車は、仙崎駅への往復がなく、長門市に着いた列車はそのまま萩方面へと発車するので、午後の列車の方が仙崎への往復分、30分程度、所要時間が長くなります。仙崎往復分の乗車券は不要です。仙崎駅では駅の外にも出られますし(本来、特例措置の往復乗車中の途中下車は不可)、午後便の方が何かと楽しめます。

萩市内の道の駅で購入した、萩港で水揚げされた新鮮な魚の握り寿司を頂きます。

青海島が目の前に見える海岸沿いの場所で停車。ビュースポットでの停車は、何度か行われます。本線上ですが、列車が少ないからこそできるサービスですね。

車掌さんからの解説とともに、観光協会の方からの話も聞けて楽しめます。1号車ではアテンダントさんの話があったんでしょうか。

人丸駅では、6分の停車。もちろん、下車します。

元乃隅神社の大鳥居を模したという鳥居が駅入口に作られています。

元乃隅神社といえば、2015年にアメリカのCNNが「日本の最も美しい場所31選」の一つとして紹介されたことから注目を集めるようになった神社で、朱色の鳥居が立ち並ぶ姿が印象的です(翌2月23日に訪れました)。

乗車した翌日の2月23日に訪れた元乃隅神社

下車しての観光はここまでで、あとは車窓からの眺めを楽しみます。

歩かないから、というわけではないですが、「ちょんまげビール」のアルトを追加で購入。

ビールのあては、萩の道の駅で買った「村田蒲鉾」の「いかたこ」。いかとたこの練り物です。

阿川駅での運転停車中(2021年3月のダイヤ改正から客扱いを行う停車になりました)、アテンダントさんから「○○のはなし」に関する紹介が車内放送で行われました。

名前の由来や、車両の紹介など、耳を傾けてみましょう。

次の停車駅が特牛。「こっとい」と読みます。

日本でも屈指の難読駅名として有名な駅ですね。

特牛を出ると、数分で滝部駅に着きます。

滝部から下関へ

滝部駅でツアー客の団体さんが乗り込んできて、車内の雰囲気は一変しました。それまでは、我々のような二人組と、お一人の方ばかりで、会話の声も控えめでしたが、団体客は盛り上がり方が違います。

その盛り上がりに拍車をかけたのが、二つ目の車内イベント、クイズ大会です。

滝部での団体客乗車を待っていたのか、本来ならば5問する、という問題が3問だけに。主催が下関市観光協会の方なので山口県の下関に関する問題ばかりですが、正答数の多い人から上位5名だったかに記念品が送られていました。手にできなかったので、何かは判りません。(笑)

クイズ大会が終わったところで、2回目のビュースポットでの停車。

長門二見と宇賀本郷の間、二見夫婦岩を過ぎたあたりです。

ここから二見夫婦岩が見えたらしいが、別のところを探していたようで見えなかった

少し走って、最後のビュースポットに停車。

響灘に浮かぶ厚島(別名、孤留島:コルトー)

1952年に日本を訪れたフランスのピアニスト、アルフレッド・コルトーが「島を買いたい」と申し入れたことから名付けられたということです。

日もかなり傾いてきましたが、日没にはまだ少し早いようですね。観光協会の方曰くは、2週間ほど前は、ちょうど綺麗な日没が見られた、とのこと。

響灘に沈む夕陽も見てみたかったですね。

その後、列車は小串、川棚温泉と停車し、しばらく海からは離れます。

吉見を過ぎて福江にかけて見える海が、車窓から眺められる最後の海になります。安岡を過ぎるころには、下関の市街地という雰囲気が強くなってきて、旅の終わりという感じが色濃くなります。

幡生の手前で山陽本線の上り線の高架ををくぐり、架線の張られた線路と並走するようになると、ますますその感は強くなります。

幡生駅で最後の運転停車を行い、アテンダントさん、車掌さんからの挨拶を聞くと、終点の下関。という感じが満点になりますが、それもそのはず、途中駅ではありながら、アテンダントさんと観光協会の方はここで下車。東萩から案内して頂いていた車掌さんもここで交代です。

乗客の方も、8割、9割方、下車されたように見えます。

それでも、当然ながら、下関から新下関まで、一駅のために新たに車掌さんが乗り込み、丁寧に車内放送。

ガラガラになった2号車
架線下を2駅走って終点の新下関に到着

アテンダントさんの見送りが無いのが若干寂しいですが、新下関駅のホームに降り立ち、「○○のはなし」の旅も終了です。

我々は、新下関駅から山陽新幹線「こだま」に乗り換え新山口で下車。そこからJRバスに1時間半ほど揺られて東萩に戻り、車を停めておいたホテルにチェックインしました。

「○○のはなし」は、3時間半ほどの旅でしたが、絶景の車窓あり、イベントあり、美味しい食事ありで、あっという間に終わってしまった、という印象です。

2021年2月現在、土日祝日の運転は行われているようですが、車内イベントは中止、車内販売での飲料、アルコール類の取り扱いも中止、とのことで楽しみは制約されます。

今のご時世、積極的に「乗ってみてください」とは言えないですが、コロナウイルス感染が落ち着きましたら、ぜひ、楽しんでみてはいかがでしょうか。

乗車時のダイヤ(2021年2月22日)

8825D8629D8630D8827D
快速快速快速快速
東萩1413
1420
長門市
仙崎1456
1527
長門市1531
1533
人丸1558
特牛1627
滝部1633
小串1658
1659
川棚温泉1703
下関1739
1743
新下関1750
列車名はいずれも「○○のはなし」
太字は乗下車駅