鉄道模型のパワーパックを自作する
ここ数ヶ月、鉄道模型を走らせる機会が増えたのですが、使用しているパワーパックは、TOMIXの5001。
30年以上前に購入した「デラックスベーシックセット3」に付属のパワーパックです。
現在でも普通に走らせることが出来ますので、特に買い替えたい、という思いは無かったのですが、ちょっと気になることが出てきて、パワーパックの問題?と思うようになってきました。
気になる問題とは…
それは、KATO製 EF81の初速が速過ぎること。
24系25形のトワイライトエクスプレス10両フル編成を引っ張っているのに、ほんの少しだけパワーパックのつまみを回すと、全力とは言わないですが、結構な加速で発進していきます。
「皆さまの夢を乗せまして、トワイライトエクスプレス 大阪駅を発車いたしました。」
あの『いい日旅立ち』のBGMに乗せたアナウンスのような旅情に浸る間もなく勢いよく走り始めます。
なので、パワーパックが問題なのかなぁ、と。年代モノですし。
とはいえ、EF81以外の車両(同時期製のDD51や、30年モノのEF66)も問題なく動くだけに、買い替えへの踏ん切りがつかずにいたんです。
PWM制御方式を試してみる
まだ使えるものを買い替えるのはもったいない気がして(エアコンは電気代を考えると買い替えて正解でしたが)、ちょっと試してみたいという気持ちも捨てがたく、ネット上の情報を頼りに、部材を揃えて自作してみました。
やってみたかったのは、PWM制御です。
5001は、コンセントから入ってきたAC100Vを直流に変換して、電圧を降下させてレールへと流しています。OFFのときは0V、つまみを回すと12Vまで、つまみを回した量に応じて出力電圧が上がっていきます。
一方、最近のパワーパックは、PWM制御になっていて、OFFのときは何も出力しませんが、つまみを少し回すと、12Vの「短い」パルスが出ます。つまみを回す量を増やすと、パルスの長さ(OFF時間との比率)が増えます。12V出力は変わらずです。パルスの幅が出力50%、停止50%になると、6V相当のパワーがレールに流れる、ということですね。
KATO製 EF81が発売されたのは2015年ですから、パワーパックはPWM制御が主流になっていた(と思う)ので、そのあたりが原因なのかも、という思いがあって、試したくなったんです。
材料を揃える
「ちょっと試したい」なら、中古のパワーパックを買ってくる、という手もあったんですが、なぜか、「作ってみたい」という衝動にも駆られたんです。
下記の記事は、自己責任で記載しています。
運転する模型車両に問題が生じないかどうかは、検証が出来ていません。
というわけで、さっそく材料の調達。
必要な部材は、こんな感じ。
左から、PWMコントローラー、ON-OFF-ONのトグルスイッチ、電源ジャックソケット、電源ジャックコネクタ、です。
奥にあるのは、筐体にするための小物ケース。ダイソーでの購入です。
最も値が張りそうなPWMコントローラーですが、Amazonで1個300円未満。安いものです。
実際のところ、1個単位で購入できなかったり、今後のことも考えて複数まとめて買ったりしたものもあるので、単価は出しづらいのですが、ケース含めて800円ほどでしょうか。ACアダプターは、自宅にある外付けHDD用のOUT/DC12V(2.5A)のものを使用しました。購入すると、ACアダプターが一番高価なものになるかと思います。
組み立て
回路図は、ネット上にいくつもアップされているので、自身の理解しやすいものをご参考にしてみてください。
基本的にはこれで完成。
右下のソケットがDC12Vの入力、右上がPWMコントローラー、左上がトグルスイッチ、左下がDC出力のソケットです。
PWMコントローラーは、手前右側2端子がDC入力側(右からDC-、DC+)、左側2端子がDC出力側(右からPWM出力+、PWM出力-)です。ドライバーがあれば、ハンダ付け無しで固定できます。
スイッチの配線は、少々ややこしいですが、こんな感じ。
久々の電気工作で、見た目が悪くてすみません。。
上の2本がPWMコントローラーからの+と-。それを反対側の端子に「+/-を反転して」結線します。真ん中の端子は、出力側。+/-は、入力側と揃えておきます。
こうすることで、スイッチが正側に倒れると入力の+/-がそのまま出力され、逆側に倒すと反転させて結線していますので、+/-が反転して出力されます。スイッチを中立にすると、どちらにも接触しませんので、何も出力されません。
この段階で、一旦、試運転。
お、ちゃんと動きますね。(この時の写真は、興奮のあまり、撮ってませんでした…)
というわけで、ケースに格納。
スイッチ、ソケットが入るようにケースに穴あけ。
で、いざケースに収容しようとして、目が点に。
試運転のために、スイッチ側もソケット側もハンダ付けしてしまってたんですね。
コントローラーとスイッチは、結線したままで大丈夫なんですが、ソケットは、配線側はケース内側から、ソケットはケース外側からつなぐ必要があります。物事は、計画的に。。
完成
試作機の完成です。
こちらが表側。
正逆設定用スイッチと速度コントロール用のつまみだけです。主電源はコントローラーのつまみで、少し回すとカチッと手に感触があり、そこでコントローラーに電源が入ります。
裏はこのように。もう少し、きれいにバリ取りをした方が良かったですね。まぁ、試作なので。。というか、直径に見合うドリルを持ち合わせてないので、苦労して穴を開けたので、その結果です。
右側がACアダプターにつながる入力側、左側が線路につながる出力側です。同じソケットを使用していますのでどちらにもつながってしまいます。これで製品化はあり得ないですが、自身で使用するだけですので注意して使用すればOKですね。
フタを開けるとこのようになります。かなりシンプルでスカスカです。PWMコントローラー基板が垂直方向に収まりますので、ケースの高さがどうしても必要になり、安定感から必然的にケースの横幅も大きくなってしまいます。
完成後の試運転
ACアダプターをつないでみます。
右側がACアダプターで、左側は線路側につながるコネクタです。奥まで挿しても収まりきらない。。
このように、純正のD.C.フィーダーに接続しています。(接続部には、きちんと絶縁処理をしましょう)
つまみの青線表示が下にあるときに電源OFFとなるように付けています。これを7時か8時くらいの位置まで回すと電源ONとなります。
当初、電源ONの状態を示すLEDを付けないと分かりにくいかなぁと思っていたのですが、コントローラー基盤にLEDが付いていました。
ケース自体が薄いプラスチックですので、いい感じで明かりが漏れてます(笑)
というわけで、つまみをさらに回すと、DD51が走り始めました。
以上で、自作パワーパック(試作機)が完成です。
肝心のEF81の走行については、別記事に記載しています。こちらをご覧ください。