TOMIXカント付レールを試してみる

カーブ走行時の違和感

先日、285系サンライズエクスプレスを走らせていた時のこと。まだ、室内灯を入れる前です。

カーブを傾きなしで走るサンライズエクスプレス

何か違和感があったんですね。高速で走行するサンライズエクスプレス。

カーブを走行するときも、同じ速度です(鉄道模型ですからね。常にコントローラーで調整するなら別ですが)。

なのに、直立というか傾きなく走るんです。

もっとも、1年近く、特に何も感じなかったので「ふと」という言葉が相応しいのかもしれません。「ふと、違和感を感じた」と。

線路は全てTOMIX製。設置場所の関係上、カーブはC280とC317での複線を組んでいます。なので、結構急なカーブですから、2両以上の場合、カーブ外側の連結部分が現実にはあり得ないくらいに離れます。このカーブ、実車換算(150倍)で半径42m、47.6mですからね。こんなカーブが本線上にあって、高速で駆け抜けることなんてありえないです。

まぁ「そこは模型だし」と割り切ってましたから、あえてカーブ部分で写真や動画を撮影しようとは思ってなかったんですね。だから、違和感を感じることも少なかったのかもしれません。

カント付レール

そこで、以前から、少し気になっていた「カント付レール」を一部に取り入れてみよう、と考えたんです。

まずは、とっかかりということで「カント付レール 小円セット(レールパターンCA-S)」を購入。いきなり単品よりも、まずはセットがいいかな、と。

ワイドPCレールやワイドPCカーブレール、それにワイドPCアプローチレール(左右用)がセットになっています。

「小円セット」とありますが、「基本セット」との違いは、カーブの半径。

小円セットはC280とC317、基本セットはC354とC391です。組み合わせれば、複々線にもできる構成ですね。

これまで何度か書いてきていますが、鉄道模型を走らせているのは自宅の廊下。なので幅の制約が強くて、複線はC280とC317くらいがベスト。というか、最初はC280だけだったので、複線用に追加購入するときに自然とC317を増やしていった、というのが実際のところですかね。

カント付レールとは

そもそも、鉄道模型にカントが必要なのか、というと「見映え的にあった方が面白い」という結論なのかと思います。C280のカーブを高速で走らせて脱線させたことは無いですが、そこそこのスピードでも脱線はしなかったはず。それでも、実車換算だと恐ろしい速度になりますから、脱線をカント付レールで防ぐ、という本来の目的では無いんでしょうね。

ちなみに、パッケージや取扱説明書に書かれている言葉を引用すると、

カント付レールとは

「カント(Cant)」=英単語の“傾斜・傾く・傾ける”の意。
鉄道での「カント」とは、カーブ区間において列車にかかる遠心力を打ち消し、通過を容易にするために、外側のレールを内側より高く敷設する線路構造のことを言います。これによってカーブ区間において、制限速度内での安全な列車運行を可能としています。トミックスのワイドPCカーブレールでは、この「カント」を採り入れ、カーブレールに約4度の傾斜を付けています。

カント付レール小円セット

とのこと。

4度のカントが付けられているんですね。JR在来線の最大カント量(左右の線路の高さの差分)は、105mmらしいですから、1067mmに対する105mmで、約5.6度。模型なので強調しているのかと思いきや、意外とリアルな値でした。

パッと見には4度のカントがわからない(明るさを補正)

アプローチレールの使いかた

ワイドPCカーブレールは、上記の通り4度のカントが付いていますが、当然直線レールにはカントはありません。なので、直接つなぐことが出来ず、その接合部分に用いるのがアプローチレールです。

直線区間から、右にカーブしたければ、CR280-22.5-WP(F)を使用することで徐々に左側のレールが持ち上がり、4度のカントが付いたCR280-45-WP(F)とをつなぐことが出来るようになります。

右カーブ区間が終われば、今度はCL280-22.5-WP(F)を使用して、徐々に左側のレールを落としていき、直線レールとをつなぐことが出来るようになります。

最初、「じゃぁ、左カーブ用とでアプローチレールは4種類いるんじゃない?」と思ったんですが、右カーブ終了時のアプローチレールは、左カーブ始まりのアプローチレールと同じなので、2種類で済みます。そりゃそうですよね。

ただ、問題は、カーブレールが45度、アプローチレールが22.5度ということ。

つまりは、カーブレールを使用するには、最低22.5+45+22.5=90度を曲げる必要があるということです。

カントの無いカーブレールでは45度単位でレイアウトできましたから、線路敷設にもバリエーションが出来たのですが、カント付では…、というところです。

45度のカーブでカントを付けたい時は、アプローチレールだけを組み合わせるそうです。4度の傾きは頂点の一瞬だけですが、そういうもののようですね。

カント付レールセット

セットには、C280とC317のカーブレール(45度)が2本ずつ。それとC280用、C317用のカーブ前後のアプローチレールがそれぞれ2本ずつ。直線はS280が4本、S140が2本入っています。

直線があるのは、これ単体で変形楕円のレールが組めるようにとのことなので、既存レールにカーブだけを組み込みたい場合は必須ではありませんが、せっかくなので、カーブ前後に使用することにします。

上記の通り、複線で使用するなら、90度のカーブ2ヶ所を、カント付に置き換えることが出来そうです。

走行シーンを撮影

では、実際に走らせてみます。

まずは、上記の写真で撮影した場所で。

意外と「いい感じ」で傾いてます。

画面下に見えるジョイント部の、手前がアプローチレール、奥がカーブレールです。

12系客車が走行しているのは外側なので、C317のカーブですね。

そのカーブで撮影した写真がこちら。(実際には、止めて撮影してます)

お気に入りの1枚になりました。

アプローチレールは、半径317mmの場合、線路中心部の弧の長さは12cmほど。なので、アプローチレールの前側(カント付側)に車両の端が来ても後ろ側(平坦側)はまだカントが無いため、車体前部が4度のカント部に差し掛かっても後部は平坦に近く、車両の傾きはさほど見られません。前後共に4度のカントに乗っかったときが傾きのピークになります。

なので、45度のカーブのためにアプローチレールどうしをつなぎ合わせるのは、見た目の効果は低いかもしれないですね(まだ試してません)。

続いては、トワイライトエクスプレス。

最後尾スロネフ25の傾きがよく判ります。DD51の重連も傾いて見えますね。

最後に写真を2枚。

いくつかの車種を置いてみましたが、傾きを感じやすいものと、そうでないものがあるような気がします。見た目の問題かもしれませんが。

いずれにしても、期待以上の効果はあったので、これからはカーブでの走行も「楽しみ」のひとつとしたいと思います。S字カーブとかも面白そうですしね。

というわけで、「何となく面倒そう」という理由で食わず嫌いをしていたワイドレール&カント付レールですが、思ったよりも楽しめそう、ということが判りましたので、今後もピンポイントで組み込んでいきたいと思います。

ちなみに、12系客車の後ろにコキをつないでSONYのアクションカメラHDR-AS300を載せて撮影すると、こんな感じに。

最初の左カーブではなく、次の右カーブがカント付です。

カーブのピークでカメラ自体が傾いているはずなのですが、それほど傾きを感じないですね。それでも、背景の壁・ドアは左に傾いているので、カメラは右に傾いているということなんでしょう。

列車に乗っていても、カントをあまり感じないのと同じですかね。それは違うか。。