14系 急行「能登」(1) 暫定編

急行「能登」と聞いて思い出すのは、どの編成でしょうか?
客車列車としての印象があるこの列車も、1993(平成5)年3月改正から489系電車となり、今から15年前の2010(平成22)年3月改正で廃止(正しくは、定期列車としての運転終了)となりましたので、そもそも知らない、という世代も増えてきているんでしょうね。
世代的に私の印象に残っているのは、1982(昭和57)年11月改正で14系寝台車+14系座席車で運転するようになってからの編成、ですね。
急行「能登」
急行「能登」は、1959(昭和34)年9月に、東京から米原経由で金沢との間を走った列車から歴史が始まります。
それから走るルートを変えながら、首都圏と北陸とを結ぶ列車として約50年間走り続けたわけですが、途中6年半ほど、急行「能登」が無かった時代もありますから、走っていた期間の4割近くが電車の時代だった、ということになりますね。意外な気がします。
14系客車となるまでの旧客時代と電車時代の期間がほぼ一緒だった、というもの意外。
10系寝台車を含む旧客のイメージも強いんですけどね。
この記事の中で、
というわけで、実は14系編成にも興味を抱きつつ、ですが、今回は、「やこうれっしゃ」の舞台となった10系寝台車+43系座席車での「能登」を走らせてみたいと思います。
と書いていましたが、この時点では1年後にTOMIXから「JR 14系客車(能登)セット」が発売されることなど知る由もなく、KATOの旧製品の14系座席車と、TOMIXの14系寝台車で、国鉄時代の「能登」を組めないかな、と考えていた頃ですね。急行「きたぐに」と同じようにできないかな、と。
結局、それを実現する前に、TOMIXから製品化されました。JR時代の編成ですけどね。
TOMIX 98884「JR 14系客車(能登)セット」

14系寝台車3両と、14系座席車5両の編成です。
車両
スハネフ14
オハネ14
オハネ14
オハフ15
オハ14
オハ14
オハ14
スハフ14
ですね。TOMIXの製品なので、車番は付属の転写シートで、複数の中から選ぶことが出来ます。これについては後で触れます。
さっそく見ていきましょう。
スハネフ14

TOMIXの14系14形車両購入は、これが2編成目です。基本編成・付属編成を別カウントすれば3編成目。JRロゴ入りは初めてです。
保有するTOMIXのスハネフ14といえば、国鉄時代の「さくら」編成。

JRロゴの有無と、乗降ドアの白線の有無で、かなり印象が変わりますね。
窓から覗く3段ベッドの色が違うのも印象を変えるのに役立っているのかも。

再び写真は「能登」の車両。トレインマークは白地に赤文字の「急行」です。
オハネ14

スハネフ14の車掌室側はTNカプラーでしたが、それ以外の箇所は全てアーノルドカプラーです。
オハフ15

ピントが甘くなってしまいましたが、オハフ15です。座席車の5両も、ドアに白線はありません。
写真は車掌室を左にして撮影しましたが、オハネ14と連結するのは便洗面所側。マニ50を連結していた国鉄時代の写真を見ると、オハネ14とは車掌室側で連結していたようですね。
少なくとも、1990(平成2)年頃は、オハネ14を背に連結していたようです。寝台車3両+オハフ15の4両で走行していましたからね。

驚いたのが、このオハフ15、テールライトやトレインマークが点灯するんです。
付属品にオハフ15用のジャンパ栓やTNカプラーなどは用意されていないので、中間車両の扱いなのかと思ってたんです。「北斗星」のカニ24の隣のオハネフ25は、「トレインマーク印刷無し、ライト基板無し」なので、そんな扱いかと思ってたんですね。
なので、これは驚きでした。
向かって左側のテールライトの左右にある穴は、妻面用のジャンパ栓取り付けのためのもの。一応、最後尾を飾れるように用意されている、ということでしょうか。
もっとも、床下のジャンパ栓がないので、最後尾とするにはちょっと物足りないですかね。
オハ14

編成中3両を占めるオハ14です。
スハフ14

オハフ15と比べると、床下の発電用エンジンや車掌室側屋根上の煙突など、違いが判ります。

オハフ15と同じように妻面にジャンパ栓取り付け用の穴があります。
オハフ15と違うのは、最後尾車両を意識して、床下用のジャンパ栓とTNカプラーが用意されていること、ですね。
付属品
では、その付属品を見てみましょう。

左から、ジャンパ栓(車体)×2、カプラーチェーン×2、機器箱、TNカプラー、ジャンパ栓(床下)、カプラー付台車枠、幌枠×3。これと、転写シートです。
TNカプラーとジャンパ栓(床下)は、アーノルドカプラーのスハフ14用。逆に、カプラー付台車枠は、TNカプラーのスハネフ14をアーノルドカプラーにするためのものです。
車体側ジャンパ栓の取り付け
最後尾となるスハフ14の車掌室側妻面にジャンパ栓を取り付けます。
その前に、ランナーに付いた状態でホース部分を黒く塗ります。使用するのは極細の油性マーカー。車体接合部分とホースの間の太くなっている部分は、塗らない方がいいかも、ですね。

ボディの穴に挿入する部分を間違って切り落とさないようにして、ランナーから切り出します。
車体外側に取り付ける方(ホースのない方)は、非常に小さいので、紛失注意ですね。
まぁ、予備はたくさんありますが。

カッティングシートの白線は1cm刻みですから、いかに小さいかが判ると思います。しかもパーツの右半分はボディに押し込む部分ですからね。
でも、これを取り付けるのは大変そう…。
というわけで用意したのがこちらです。
極小パーツピッカー(ハセガワ TT-47)

ハセガワの極小パーツピッカーです。今回のために購入したわけでは無く、予約していたのが先月届いていて、使ってみよう、と。
粘着性のあるヘッドで、小さなパーツをつかむ(という表現はおかしいかもしれませんが…)ことが出来ます。
特に、この丸みを帯びたジャンパ栓のパーツは、普通のピンセットで摘まむと手の力の入れ加減次第では、どこかに飛ばしてしまう恐れが高く、試してみたかったんです。

取り付ける際の向きを考えて、ピタッと。
さすがに、右手にこのピッカーを持って、左手にはスハフ14のボディを持ってますから写真は撮れなかったんですが、位置合わせも、押し込みも、非常にスムーズに行うことが出来ました。
次は、これまでの鬼門、機関車の信号炎管にチャレンジしてみたいですね。
というわけで、こんな感じになりました。

いい感じです。
KATOのスハフ14用ジャンパ栓パーツには、取り付けを容易にするために持ち手が付いていて、取り付け後にもぎ取るような仕様になっているので、それと比べれば難易度が高いと思ったんですが、このパーツピッカーのおかげで楽々と取付完了です。
もう1両のオハフ15の方は中間車両となりますので、今回は車体側ジャンパ栓の取り付けは見送りました。
カプラーの交換
スハフ14のアーノルドカプラーを付属のTNカプラーに交換します。
まずは床下ユニットをボディから外します。中間側(車掌室側と反対側)から外していくのは、テールライト付き車両の鉄則。

取り外したボディを置こうとしたときに、ジャンパ栓を先に取り付けたことを若干後悔。ホース部が長いので横にしないと置けません。。

ドライバーを使って台車を取り外します。
集電バネなどを紛失しないように注意しながら裏を向けて、切り落とし用の溝(だと思うのですが…)で、カプラー部分を切り落とします。
車輪や集電シューを取り外してから行うの方がやりやすいかもしれませんが、このままでも切り落としは可能です。
TNカプラーと、床下用ジャンパ栓を、先に組み合わせてから、床下ユニットに取り付けます。

床下ユニットには取り付け用の突起が、カプラーにはそれを受ける穴がありますので、間違えようがありません。
最後に、台車へ集電バネを取り付けて、床下ユニットへとネジ止めします。

ジャンパ栓なしのアーノルドカプラーと比べると、格段に引き締まりました。
が、最後の仕上げに、もうひと手間。
カプラーチェーンの取り付け
TNカプラーの下に、カプラーチェーン取り付け用の穴が開いています。

ここに、ランナーから切り出したカプラーチェーンを取り付けます。
スハフ14用にも、スハネフ14用にもあるのですが、機関車に接続するカプラーに取り付けて支障がないかどうかは不明です。
一応、説明書には
スハネフ14形・スハフ14形を最後尾にして走行させる場合、お好みで車掌室側のTNカプラーにカプラーチェーンを取り付けることが可能です。
とありますので、自己責任、ですかね。そんなたいそうなものでは無いですが。。
ひとまず、スハフ14だけ、取り付けてみました。

小さな違いですが、リアリティーが増した感じがします。
他に、パーツとしてはスハネフ14用の機器箱がありますが、取り付け有無の法則がよく判っていないので、とりあえずは見送りました。機器箱の取り付けはジャンパ栓のカットが伴いますので、不可逆ですので。。
というわけで、車両側のハード面の準備は完了です。
転写シートと車番決め
車番貼り付けもハードと言えばハードですが。。
それはともかく、まずは、転写シートの確認です。

用意されている車番は以下の通り。
スハネフ14形
・スハネフ14 38
・スハネフ14 39
・スハネフ14 40
・スハネフ14 103
オハネ14形
・オハネ14 59
・オハネ14 101
・オハネ14 102
・オハネ14 103
・オハネ14 104
・オハネ14 105
スハフ14形
・スハフ14 27
・スハフ14 40
・スハフ14 45
・スハフ14 61
オハ14形
・オハ14 92
・オハ14 96
・オハ14 124
・オハ14 136
・オハ14 187
・オハ14 189
・オハ14 190
・オハ14 195
・オハ14 197
・オハ14 198
・オハ14 199
・オハ14 200
オハフ15形
・オハフ15 43
・オハフ15 48
・オハフ15 49
・オハフ15 50
です。いずれも、1990年頃に、急行「能登」として使用されるために尾久客車区に配置されていた車両ですね。
当時は、急行「津軽」や急行「八甲田」が14系座席車で運転されていた時代でしたので、「能登」専用では無いのかな、と思います。
寝台車の方は寝台特急「北陸」が、個室車両が増えたとはいえ、開放ベッドのスハネフ14やオハネ14も使用されていましたが、そちらは2段化されていますので、混用は無かったでしょうね。
「トワイライトエクスプレス」等と違って、寝台特急「北斗星」でも、意外と車両が流動的というのか入れ替わりがあるので、今回も「適当」です。。
実際の「とある日の編成」を再現してみようかと思ったのですが、手持ちの資料に14系時代の「能登」の車番までが判る資料が無かったもので。。
なので、こんな感じにしてみました。
1号車 | スハフ14 – 45 | 自由席 |
2号車 | オハ14 – 198 | 自由席 |
3号車 | オハ14 – 96 | 自由席 |
4号車 | オハ14 – 187 | 自由席 |
5号車 | オハフ15 – 48 | 自由席 |
6号車 | オハネ14 – 103 | B寝台(3段) |
7号車 | オハネ14 – 59 | B寝台(3段) |
8号車 | スハネフ14 – 38 | B寝台(3段) |
根拠なしです。
ちなみに、右端の欄は参考です。指定席車は無かったそうです。
転写は、もう何十両もやってきたので慣れたもの、と言いたいところですが、やっぱり慎重になります。さすがに失敗は無くなりましたけどね。
車番の末端部分(空白部分)を念入りに擦ると、剥がれる(台紙に付いてくる)ことも無く、安定して貼り付けできます。
牽引機は…
当然、EF62を期待されたかと思いますが、ここ最近の休日と同様、実はあまり時間が取れなかったんですね。なので、同時に購入したEF62はお預け。
だからタイトルも「暫定編」なんです。
とはいえ、客車を線路に乗っけるだけ、ではさすがに面白くないので、北陸本線での走行を想定して、KATOのEF81(寝台特急「日本海」の時に購入したもの)で牽引してみたいと思います。
もちろん、KATOのナックルカプラーですので、TNカプラー連結用に、ちょっと加工。
ナックルカプラーの突起を切り落とし、切り落とした突起部があったあたりにピンバイスで5mmの穴を作ります。その穴の表面に近い部分を8mmで少しだけ掘り進めます。
それだけで、ナックルカプラーとTNカプラーの連結が可能になります。

今回、「暫定編」としたのはもう一つ理由があって、スハネフ14とスハフ14の車掌室側以外は、全てアーノルドカプラーのままなんです。
近いうちに、完結編を作成したいのですが…。時間が取れるかどうか次第ですね。
上り急行「能登」
というわけで、EF81牽引での走行が可能な状態となりました。
まずは、スハネフ14をEF81に牽引させますので、金沢から直江津へと向かう上り「能登」として走らせます。
車両の準備に時間が取れなかった、ということは、走行の時間も限られるわけで、今回も大半径カーブをS字に組んで、その前後に直線レールをそれぞれ6本ほど(TOMIXのS280レールですので、車両が12両分ほど)敷設しました。
変形オーバルでは無いので、コントローラーで行ったり来たりさせるわけですが、それはそれで楽しかったりします(笑)
やっぱり、アーノルドカプラーでの車間は広め、ですかね。
TNカプラーでどれくらい変わるのか、見てみたいと思います。
写真を何枚か。

まずは前面から…。
ですが、これだとKATOのEF81しか目立たないですね。。

というわけで、スハネフ14にピントを合わせて。
後方に座席車が連なりますが、寝台列車っぽくて、いいですね。
続いては後方から。

カプラーチェーンも見えて、いい感じです。
別角度から。

トレインマーク、というのか「急行」の文字を目立たせてみました。
12系座席車が好きだ、と言ってきましたが、14系もいいですね。
下り急行「能登」
今度は、スハネフ14を最後尾として走らせます。
直江津から金沢へと向かう下り急行「能登」ですね。
後半はズームなどを使用して、違った雰囲気での映像としてみました。

最初はスハフ14を最後尾として走らせることしか考えてなかったので、スハネフ14には、カプラーチェーンを付けてませんでした。
ですので、最後尾の写真はこれくらいにしておきたいと思います。
最後の写真はオハネ14とオハフ15の連結部分。

屋根の高さが変わるところは、寝台車と座席車を併結する急行ならでは、ですからね。
ベッドの色と座席の色がよく見える、面白い写真となりました。
というわけで、TOMIXの「JR 14系客車(能登)セット」を、暫定的に整備して、ひとまずEF81で牽引させたお話でした。
近いうちに、車両間のアーノルドカプラーをTNカプラーに置き換えて、同時に購入したEF62の牽引で完結編としてお送りしたいな、と思っています。
最後に、急行「能登」のこの編成が走っていた頃の時刻表を「時刻表 1988年3月号」から引用して掲載しておきたいと思います。(1990年3月改正の時刻表が手元にありませんでしたので、1988年3月のダイヤです)
【参考】急行「能登」時刻表
【下り】
601 急行「能登」 | ||
上野 | 発車番線 発 | (15) 2101 |
赤羽 | 発 | レ |
大宮 | 着 発 | 2128 2128 |
熊谷 | 着 発 | 2159 2200 |
高崎 | 着 発 | 2242 2249 |
横川 | 発 | 2324 |
軽井沢 | 着 発 | 2342 2345 |
小諸 | 着 発 | 005 006 |
上田 | 着 発 | 022 023 |
戸倉 | 発 | 036 |
篠ノ井 | 着 発 | 046 047 |
長野 | 着 発 | 057 106 |
妙高高原 | 着 発 | 150 150 |
新井 | 発 | 220 |
高田 | 発 | 238 |
直江津 | 着 発 | 248 300 |
能生 | 発 | 321 |
糸魚川 | 着 発 | 334 343 |
泊 | 発 | 406 |
入善 | 発 | 412 |
黒部 | 発 | 423 |
魚津 | 着 発 | 429 430 |
滑川 | 発 | 438 |
富山 | 着 発 | 452 453 |
小杉 | 発 | 503 |
高岡 | 着 発 | 511 512 |
石動 | 発 | 525 |
津幡 | 着 発 | 537 538 |
金沢 | 着 | 549 |
【上り】
602 急行「能登」 | ||
金沢 | 発 | 2200 |
津幡 | 着 発 | 2211 2212 |
石動 | 発 | 2224 |
高岡 | 着 発 | 2237 2238 |
小杉 | 発 | 2246 |
富山 | 着 発 | 2257 2302 |
滑川 | 発 | 2316 |
魚津 | 着 発 | 2323 2324 |
黒部 | 発 | 2330 |
入善 | 発 | 2341 |
泊 | 発 | 2348 |
糸魚川 | 着 発 | 010 011 |
能生 | 発 | 023 |
直江津 | 着 発 | 044 054 |
高田 | 発 | 103 |
新井 | 発 | 115 |
妙高高原 | 着 発 | 139 139 |
長野 | 着 発 | 222 228 |
篠ノ井 | 発 | レ |
戸倉 | 発 | レ |
上田 | 着 発 | 258 259 |
小諸 | 着 発 | 316 317 |
軽井沢 | 着 発 | 340 348 |
横川 | 発 | 417 |
高崎 | 着 発 | 448 500 |
熊谷 | 着 発 | 537 539 |
大宮 | 着 発 | 615 616 |
赤羽 | 着 | 630 |
上野 | 着 到着番線 | 642 (14) |