こどもの頃の鉄道趣味

昭和の日(4月29日)が過ぎ、こどもの日(5月5日)となりましたので、自身の子供時代(もちろん昭和の後半)に影響を受けた(興味を持った)、懐かしいものをいくつか紹介してみたいと思います。

子供向けのブルートレイン関連本

ブルートレイン全百科

小学館のコロタン文庫。「○○オール百科」と題して、子供の好きそうなジャンルを一冊に凝縮した本です。

飛行機やスーパーカー、ウルトラ怪獣から切手なんかも。

そのシリーズの中で、一番よく見ていたのが、この本だったと思います。

1980(昭和55)年10月改正時点のデータを基に製作されていて、「さくら」が14系14形の3段寝台だった頃ですので、まさにこの頃の本になります。

子供心をくすぐるというのか「他の誰も知らないような情報」が満載。悪く言えば「興味のない人にはどうでもいい情報」が山ほど載ってます。

例えばこのページ(著作権の関係で、あくまでも資料としての引用と考えています)。

コロタン文庫㉒ ブルートレイン全百科 P.54~55から引用

東京駅の入線時刻などは当然として、各停車駅の発着番線、時刻が15秒刻みで記載されています。それだけでなく、運転停車の駅、主要な通過駅の通過時刻もありますし、定刻ベースですれ違う列車の列車番号まで。

よく見ると誤記がいくつかあるんですが、それを見抜く力も養われた、ということでしょうかね(笑)

各列車の現在(昭和55年当時)の紹介だけではなく、寝台特急として登場して以降の歴史(車両の変遷)なども詳細に書かれていますし、ブルートレインを有する車両基地の各運用を仕業ごとに記載されていたり、20系以降の各車両の1両ごとの落成年月、配置(移動)年月が載っていたりと、子供向けの資料としては十分過ぎるものです。

ブルートレインブームの真っ只中にありながら、巻末の解説にこのような記載がありました。

 しかし、今後の寝台列車がどのような形になっていくのか、そのビジョンに思いをめぐらすとき、いささかの疑問をぬぐいさることができない。

コロタン文庫㉒ ブルートレイン全百科 P.348

子供のころは、読み流していたと思うんですが、今となっては未来を見据えた一言だと感じます。

ブルートレインとして廃止されたのは「安芸」や「いなば」(こちらは「出雲」に継承)くらいだったはずの頃ですし、凋落の兆しという感じではなかったと思いますしね。

今後も大切に、時折、鉄道模型の資料として活用していきたいと思います。

ブルートレイン 最新版

実業之日本社が発行していた「こどもポケット百科」のシリーズのひとつです。

こちらも「アメリカ空軍 VS ソ連空軍」や「手品マジック大百科」とか、子供が興味をひきそうなタイトルの本が何冊も出版されています。

この本も、発行が昭和56年1月ですので、資料としては同じ頃のものですね。

「さくら」のページには、

 でも国鉄を代表する1列車なのだから、2段ベッドにしてもらいたいなァと思うんだが…。

こどもポケット百科 ブルートレイン最新版 P.56

とあるあたり、リアルな感想だと思います。確かに、24系25形の「はやぶさ」「あさかぜ」「富士」より、ちょっと劣る感じは、子供心に抱いてましたので。

「出雲」のページには、

3・2号は、"紀伊"との併結のため、ヘッドマークそのものもない。55年10月改正までは、東海道本線内はEF58が引いていたため、どことなく急行列車のイメージがあった。

こどもポケット百科 ブルートレイン最新版 P.80

こんなことが「つい最近」の出来事の時代でした。

小学館の「ブルートレイン全百科」と異なるのは、いわゆるブルートレインだけでなく、583系や旧客の夜行列車も扱っているところ。

なので「ゆうづる」が583系を含み、7往復14本だった頃の紹介や、「金星」「なは」も扱われています。

そんな中で、衝撃だったのが、急行「鳥海」のページ。

本文には、

 上野-新津間は代表的な旅客機EF58が、新津-秋田間では交直流両用の万能機EF81が、けん引している。

こどもポケット百科 ブルートレイン最新版 P.153

とあり、鳥海の写真が写っています。キャプションには「上越国境の補機はEF64になった。801レ鳥海号、峠にいどむ」とあるんですが、その先頭に立つのは EF64-38。

こどもポケット百科 ブルートレイン最新版 P.152~153より引用

え?1000番台だけじゃなかったの?

という驚きです。

以前、旧客の「鳥海」を模型で走らせたときに、冗談半分としてEF64-0で補機を務めさせたんですが、全くの架空の話ではなかった、ということですね。

38号機なんで5次車にあたり、電暖装置もありますから、2次車で牽くのはやっぱり架空なんですが、基本番台車が上越国境越えの補機を務めていたというのは、新たな発見でした。

ブルートレイン入門

こちらは、小学館の入門百科シリーズ。昭和56年12月の発行です。

扱う列車は20系以降の車両のみで編成された列車、ですね。

なので寝台特急といえども583系は対象外。逆に、全車20系寝台車の急行「銀河」や「天の川」、座席車があってもナロネ21を改造したナハ21を使った「だいせん」「十和田」も対象です。寝台車が20系でも、座席車が12系の「ちくま」や「さんべ」、「かいもん」「日南」は対象外ですね。

先に挙げた2冊とは異なり、本文も青・赤2色刷りのページが多く、DD51が牽くブルートレインも、きれいに出ています。

小学館入門百科シリーズ121 ブルートレイン入門 P.76~77より引用

この本でも、今さらながらに驚いたのがEF64-39が牽く寝台特急「北陸」の写真。

キャプションには「旧型式のEF64がけん引することもある」と書かれていますので、基本番台はあくまでも例外。主はEF64-1000番台ということですね。

大時刻表

2年ほど前に、少しだけ触れた「大時刻表」。

弘済出版社(現・交通新聞社)が発行していた、一回り大きな時刻表です。

東海道本線のページでは、東京から米原までが同じページに収まってます。

資料として一部引用させていただくと、このような感じです。

弘済出版社発行 大時刻表1984年4月号 P.46~47より引用

東京駅からブルートレインが何本も出ていた頃ですね。

残念ながら手元に残っているのが1984年4月号。その年の2月改正で「紀伊」が廃止されてしまったので、東海道本線のページにもその名前を見ることはできませんが、眺めていて飽きないページです。

大時刻表で一番好きだったのが、「主な列車の編成ご案内」のページ。びっくりするくらいにマニアックです。

客車こそ1種類ですが、電車はボンネット型、非ボンネット型、急行型、185系スタイルの4種類、気動車は、183系、181/82系、急行型の3種類に分別されています。

客車は1種類と書きましたが、この「窓」表示がまた、マニアックなんです。

弘済出版社発行 大時刻表1984年4月号 P.420より引用

24系25形で運転されていた「あさかぜ3・2号」「瀬戸」。どの車両がスハネフ25-100なのか、一目瞭然。しかも、車掌室側がリアルに描かれています。

車掌室の向きについては、こちらでも記事に書いています。

1984年というと、

こちらにも少し書いていますが、客車3段式B寝台が、2段式に改造が行われていた頃です。

ですので、

弘済出版社発行 大時刻表1984年4月号 P.420より引用

「さくら」は(引用はしていませんが「みずほ」も同様)、基本編成が2段式に改造が完了、付属編成が改造中、という過渡期でした。

弘済出版社発行 大時刻表1984年4月号 P.420より引用

「出雲3・2号」は、7・8号車が未対応、という過渡期ですね。

ちなみに、欄外には、次のような注意書きがありました。

「さくら」…東京発3月15日まで、長崎・佐世保発3月16日まで
「みずほ」…東京発3月17日まで、熊本・長崎発3月18日まで
上記の期日は③⑪号車が欠車となります。また①⑩号車は座席車に変更され、寝台が座席利用できる区間以外は乗車できません。

「出雲3号」…東京発3月19日まで、「出雲2号」…出雲市発3月20日まで
上記の期日は③号車が欠車となります。また①号車は座席車に変更され、寝台が座席利用できる区間以外は乗車できません。

弘済出版社発行 大時刻表1984年4月号 P.420

そんな時代でした。

TOMIX レイアウト定規

他にもあった、懐かしいものと言えば、これ。

方眼紙などにTOMIXのレール配線図を1/10のスケールで書けるツール。

既に入手は難しいようですが、最新(最終)の型はこんなにもレールの種類があります。

それに比べ、当時販売されていたレールの種類の少なさが判ると思います。

もっとも、これを買ったものの、肝心のレールを買うお金がそんなに無かったので、未来を夢見てレイアウトプランを考えていただけに終わってるんですけどね。

愛国から幸福へ

最後はこれ。

当時、一大ブームになった「愛国から幸福ゆき」の切符です。

本物の硬券をキーホルダーにしたもので、実際に鍵を付けて日常的に使ってました。

当時はそんなに価値のあるものと思ってなかったですからね。

昭和49年というと、まさにブームの最盛期。

子供のころに姉から譲り受けたものなんで、そもそも誰が買ってきたものか、などは知らないんですが、大事に持っていたのは、小さい頃から鉄道が好きだったからなんだろうなぁ、と思います。

というわけで、子供の日の記事は、子供のころに手にしていた、懐かしいものの数々を紹介してみました。