DC急行「利尻」(TOMIX 97240)(前編)

急行「利尻」と言われて思い出す姿は、世代によってさまざまだと思います。旧客で編成されていた時代、14系車両で運転していた時代、それからスハネフ14をディーゼルカーに挟んで走っていた時代、と。
今回は、2026年7月にTOMIXから発売された急行「利尻」としての晩年の姿である、キハ400系の車両について書いてみたいと思います。
急行「利尻」
「利尻」の名の付く列車は、1958(昭和33)年10月のダイヤ改正から札幌-稚内間を走る客車準急として走り始めました。今から68年も前の話です。2等寝台(現在のA寝台)を連結していましたし、急行「宗谷」が走り始める前でしたから、宗谷本線の花形だったんでしょうね。
それ以降の歴史については、14系車両をテーマにしたこの記事に詳しく書いてますので、こちらをご覧ください。
1991(平成3)年3月の改正から、キハ400系(キハ400形・キハ480形)での運転となり、編成の中にスハネフ14を組み込むという、当時としては異例の編成での登場でした。
鉄道ファン誌にもこのように紹介されていました。
夜行急行“利尻”が気動車化されて、なんとこの編成中にスハネフ14形寝台車が組み込まれた。DC-PC併結による営業運転は全国でも初のケースで、スハネフ14の塗色もけん引車となるキハ400・480に準じたものに変更されているのが特徴だ。
鉄道ファン1991年6月号 P20より引用
道内でも「利尻」以外に「大雪」、特急「おおぞら」(後の「まりも」)と寝台車を組み込んだディーゼル急行・特急が多く走っていましたが、その先陣を切ったのが「利尻」だったんですね。
今でこそ、過去を振り返ると北海道では当たり前の存在になっていましたが、デビュー当時は「違和感」だったのが読み取れます。
キハ400・480によって気動車化されたこの伝統の夜行急行は、寝台車連結という確たる信念を貫きとおし、3両のオハネフ14に引通し改造工事を施したうえでDC-PC併結運転にふみきった。最近では列車の車種変更に伴って簡単に寝台車の連結を中止してしまうケースが多い中、このJR北海道の措置は大きな拍手をもって迎えたいところだ。
鉄道ファン1991年6月号 P20より引用
まさに「それ」です。機関車を必要とする客車から、運用上の都合で電車・気動車へと変更された夜行急行の多くが寝台車併結を取りやめていた時代に、あえて気動車に寝台車を組み込んだのはJR北海道の英断だと思います。ただ、これが現在にも至る、とはならかったのは乗客数の問題でしょうかね。
とはいえ、急行「利尻」として廃止されたわけではなく2000(平成12)年3月改正でキハ183系+スハネフ14混結の特急「利尻」に格上げされているのが嬉しいところです。
今回のキハ400系は、「廃止となった頃の編成」ではなく、「特急格上げ前の編成」と紹介できますからね。
TOMIX 97240 JR キハ400系急行ディーゼルカー(利尻)セット
この車両セットは、ハイグレード(HG)仕様なので、カバーの帯もハイグレード仕様のものになっています。

その中は…

5両の車両で構成されています。一番上の収納スペースにはパーツが入っていますし、下のカバーを外せば追加の収納スペースもありますので、別売のキハ56を2両追加で購入しても収まる、ということですね。
車両は上から
・キハ480-1300
・キハ182
・スハネフ14-500
・キハ400(M)
・キハ400(T)
で構成されています。
ではさっそく、1両ずつ見ていきたいと思います。
キハ480-1300

この車両に限らずですが、急行「宗谷」など昼行で宗谷本線を走る列車にも見られた、独特のカラーリングです。一般には宗谷線急行色というんでしょうか、濃淡グレー+赤・緑帯の車両です。
この車両はキハ48形300番台を改造したもので、キハ183系と同じDMF13HZエンジンへの換装、変速機変更、冷房化、リクライニングシート化などが施されています。
エンジン換装は模型では判りにくいですが、キハ183系500番台と同じシートへ変更されたものの窓配置がそのままのため、窓と座席の間隔が一致しない、というあたりは、模型でも見て取れますね。

運転台側の写真です。
カプラーは標準で全箇所共にTNカプラーが装備されています。テールライトの下にある穴は、タイフォン取付用のもので、選択可能になっています。
キハ182

特急型のキハ183系車両ではありますが、キハ400系の一員となって、逆にキハ183系とは連結できなくなった車両です。
1997年に、キハ400形100番台の3両をお座敷車(キハ400形500番台)へ改造することで不足なった急行型車両を補うために、キハ182形を転用した、ということのようですね。キハ400系と連結できるように制御回路やジャンパ連結器などを変更し、キハ480形へ冷房用電源を供給するために発電用エンジン・電源装置を搭載したため、窓が埋められ、ルーバーが設置されています。

キハ480形が稚内方で先頭に立つ以上、キハ182はなくてはならない相棒、ということですね。
窓枠とシートピッチが一致しているのが、さすがはキハ183系です。
ちなみに、「利尻」にキハ182が組み込まれる前は、
キハ400-キハ400-スハネフ14-キハ480-キハ400
と、両端ともに キハ400 だったそうです。冷房用電源はキハ400が担っていた、ということですね。
スハネフ14-500

本来は当然ながら客車の編成として走っていた車両ですが、スハネフ14 501・505・508の3両がキハ400系と併結できるよう改造工事が行われました。
ブレーキやドア扱い、車内放送などをキハ400系に寄せた車両となったわけですが、模型としての変化はどうでしょうか。塗装の変更がやっぱり目立ちますよね。
宗谷線急行色かと思いきや、腰回りの帯が赤ではなく青なので、寝台車っぽい塗装となっています。
車掌室側のエンブレムがJR北海道の寝台車を感じさせますよね。
個人的には、急行「利尻」には何度かお世話になっていて、学生時代に北海道旅行で二度道北を訪れたんですが、その往復共にこのキハ400系に挟まれたスハネフ14に乗車しています。なので、都合4回、ですかね。当時の写真が何枚かだけあったはずなんですが、結局探し出せませんでした。お盆に実家を訪れた際に見つける予定だったんですけどね。。
話を模型に戻します。

あれ?と思ったのが、こちら。
セットに同梱されている説明書には、
※スハネフ14500はプリント基板が入っていないため、テールライトは点灯しません。また、トレインマークは印刷されていません。
JR キハ400系急行ディーゼルカー(利尻)セット 説明書 より引用
と書かれていたので、トレインマークは白一色かと思ってたんですね。なので意外でした。
最後尾に出ることのない車両ではありますが、トレインマークが入っているだけで締まります。
セットのうち、ハイグレード仕様なのは「キハ400・480のみ」とされていますが、連結する以上、カプラーはTNカプラーで統一されていますね。編成の中に入ってしまうスハネフ・オハネフはジャンパ栓が省略されることが多いですが、その装備があるのもやっぱり「ハイグレード仕様」だからなんでしょうね。
キハ400(M)

キハ400形はセットに2両入っていますが、こちらの1両は動力車です。なので、見た目は、模型としてのモーター部分の制約がある表現以外は同じですね。
両側に運転台のある、キハ40形100番台を、キハ480形1300番台同様に改造された車両です。
こちらの車両もキハ183系で使用されていたシートでのリクライニングシート化が行われていますので、シートピッチと窓枠が一致していない、「当たり外れ」のある座席になっています。
一番しっくりくるシートの傾きにしたときの顔の横がガラスじゃなくて壁面って、「うわ」ってなりますよね。。


編成では中間車両ではありますが、ヘッドライトもテールライトも点灯します。編成の中間に入りますので、ON/OFFスイッチを両側ともOFFにしておきましょう。
それはともかく、両運転台の車両は、私がこれまで購入した車両では初めて(…のはず)。
機関車以外で唯一、1両で走行が可能な車両ですね。さすがに宗谷線急行色のキハ400形が1両で本線を走行することは無かったと思いますが。
キハ400(T)

最後に紹介する車両は、キハ400のトレーラー車。モーターの無い車両です。
先ほども書いた通りで、下回りの模型としての制約部分以外は見た目が同じですね。こちらの方が制約がない分、リアルになっています。
面白いことに、この車両も両運転台のどちらともが、ヘッドライトとテールライトの点灯が可能となっています。
…どう有効活用すればいいのやら。
ひとつ思いついたのが、
キハ400(T)-キハ480-スハネフ14-キハ400(M)
にすれば、1997年以前の「旭川ー稚内間」を走る姿の再現が出来るのかも、ということ。
札幌発着時(旭川で増解結)にはもう1両キハ400が必要ですので、こだわる方はこのセットをもう一つ購入を、となりますが。そうするとスハネフ14も2両になって、繁忙期の再現もできるかも、ですし。…さすがにやりませんけどね。
この後、付属品の取り付けなどを行うんですが、ちょっと長くなりそうなので、記事を分けます。続きはこちらをご覧ください。















