14系 急行「阿蘇」「くにさき」「雲仙」「西海」

12系と14系

12系客車が好きで、これまでその車両を使用していた列車を模型で走らせてきました。

急行「きたぐに」から始まって、急行「ちくま」「さんべ」「だいせん」「八甲田」「鳥海」「きそ」「津軽」と。この他にも12系を使用した急行には「十和田」「かいもん」「日南」なんかがありますね。

上に挙げた列車全部が、必ずしも12系で同時期に走っていたわけではないですが、多くの夜行急行に使用されていた時代がありました。12系車両が日本中に走り回るだけの数があったというわけです。

12系車両は1969(昭和44)年から1978(昭和53)年にかけて合計603両が作成されました。単純に6両編成で考えると100編成に相当する数があったことになります。それが現時点でJR各社で現存する車両は東日本の13両と西日本の7両の、たった20両だけ。30分の1ということですよね。

そのうち、原形に近い形で見られるのは、東日本(ぐんま車両センター)の6両と、西日本(宮原支所)の5両くらいで、わずかに2編成です。

ちなみに宮原の12系は2024年2月(予定)にKATOから製品化されるそうですね。

このセットには2022年7月に廃車になった オハ12 352も含まれるようです。

その宮原に存在する、もうひとつの希少車が、14系車両。といっても「サロンカーなにわ」なのでブルーに白帯の14系座席車とは雰囲気が全く異なりますけどね。

2018年7月30日撮影 平成30年7月豪雨で伯備線が不通となり疎開中のサンライズとともに

注目は宮原の285系ではなく、サロンカーなにわ。5両で組成されていて、残る2両は手前にいます。

西日本には既に原形車はなく、このサロンカーなにわの7両だけ。

1972(昭和47)年から1974(昭和49)年にかけて325両製造された14系座席車ですが、全国に目を移しても、JRに残るのはこの「サロンカーなにわ」とJR北海道の「SL冬の湿原号」の4両だけ。あれ、既にブルーに白帯の14系が残ってない。。

原形をとどめている車両で、実際に乗車できるのは東武鉄道に譲渡された6両だけ。「SL大樹」用の3連×2編成ということですね。

2019年5月 鬼怒川温泉駅にて撮影

14系急行列車

12系が4人掛けクロスシートの急行型だったのに対して、14系が簡易リクライニングシートの特急型。なので12系よりも格上感があるのですが、定期列車としての特急運用は無かったようです。臨時特急「つばさ」や「しおじ」などが有名ですね。季節列車の「日本海」が座席車のみの12連で大阪-青森間を走っていたというのも興味深いところです。

でも特急型と言いながら、結構早い段階(1975年)から、急行列車としての運用が始まってるんですね。

12系が定期急行列車として運用を始めたのが1973年の急行「きたぐに」からですから、わずか2年後に特急型車両での急行運用が始まったことになります。

その先陣を切ったのが、関西-九州間の「阿蘇」「くにさき」「雲仙」「西海」の4列車です。

それまで「くにさき」を除く3列車は10系の寝台車を連結した急行でしたから、新型車両に置き換わったと言え、寝台車の連結が無くなったわけですし凋落傾向にあったということでしょうか。

それもそのはず、山陽新幹線が博多まで開業したダイヤ改正ですからね。並行する夜行急行が残っただけでも御の字なのかもしれません。

急行「阿蘇」

新大阪と熊本を結ぶ急行です。14系化されるまではオロネ10を含む10系寝台車やスロ54などを従えたいわゆる旧客によく見られた編成で、名古屋-熊本間を走っていました。さらに前身となる東京-熊本間を「阿蘇」の名前で走り始めたのが1950(昭和25)年10月ですから、歴史のある列車です。

急行「阿蘇」

■1975(昭和50)年3月~1978(昭和53)年3月

← 203レ 熊本

204レ 新大阪 →

荷物123456789101112
マニ37スハフ14オハ14オハ14オハ14オハ14オハフ15スハフ14オハ14オハ14オハ14オハ14オハフ15
マニ37のみ新大阪-門司
1~12号車 新大阪-熊本

■1978(昭和53)年3月~1980(昭和55)年10月

← 201レ 熊本

202レ 大阪 →

荷物1234567891011
マニ37スハフ14オハ14オハ14オハ14オハ14オハフ15スハフ14オハ14オハ14オハ14オハフ15
マニ37+1~6号車 急行「阿蘇」(新大阪/大阪-熊本)
7~11号車 急行「くにさき」(新大阪/大阪-大分)

マニ37がアクセントとなりそうです。

1978年3月からは大分発着の「くにさき」との併結運転となり、上りが大阪止めとなっています。

1980年10月の改正で廃止となるまでの約5年間を14系で走っていました。

急行「くにさき」

大阪と大分を結ぶ急行です。それまでの急行「日南」に代わる列車として登場したものですね。登場時から特急型車両なわけですから、恵まれていたというのでしょうか。

急行「くにさき」

■1975(昭和50)年3月~1978(昭和53)年3月

← 205レ 大分

206レ 新大阪 →

123456789101112
スハフ14オハ14オハ14オハ14オハ14オハフ15スハフ14オハ14オハ14オハ14オハ14オハフ15
全車両 大阪-大分

■1978(昭和53)年3月~1980(昭和55)年10月

← 201~4201レ 大分

4202~202レ 大阪 →

荷物1234567891011
マニ37スハフ14オハ14オハ14オハ14オハ14オハフ15スハフ14オハ14オハ14オハ14オハフ15
マニ37+1~6号車 急行「阿蘇」(新大阪/大阪-熊本)
7~11号車 急行「くにさき」(新大阪/大阪-大分)

1978年3月からは大分発着の「くにさき」との併結運転となっています。「くにさき」(日豊本線の走行区間)はマニ37の連結が無かったようです。

1980年10月の改正で廃止となるまでの約5年間を14系で走っていました。

急行「雲仙」「西海」

新大阪と長崎を結ぶ急行「雲仙」と、佐世保とを結ぶ急行「西海」。肥前山口で分割・併合していました。

「雲仙」の歴史は「阿蘇」よりも古く、1948(昭和23)年7月に東京-長崎で準急列車として走り始めたところから始まります。終戦から3年も経ってなかった頃のことですね。

関西-長崎間の列車となったのは1968(昭和43)年10月のこと。オシ17の食堂車を連結していましたから「阿蘇」よりも格上の列車だったということですかね。

急行「雲仙・西海」

■1975(昭和50)年3月~1978(昭和53)年3月

← 201レ 長崎/4201レ 佐世保

(4202~)202レ 新大阪 →

荷物123456789101112
マニ37スハフ14オハ14オハ14オハ14オハ14オハフ15スハフ14オハ14オハ14オハ14オハ14オハフ15
マニ37+1~6号車 急行「雲仙」(新大阪-長崎)
7~12号車 急行「西海」(新大阪-佐世保) 早岐-佐世保間逆編成

■1978(昭和53)年3月~1980(昭和55)年10月

← 203レ 長崎/4203レ 佐世保

(4204~)204レ 新大阪 →

荷物1234567891011
マニ37スハフ14オハ14オハ14オハ14オハ14オハフ15スハフ14オハ14オハ14オハ14オハフ15
マニ37+1~6号車 急行「雲仙」(大阪/新大阪-長崎)
7~11号車 急行「西海」(大阪/新大阪-佐世保) 早岐-佐世保間逆編成

「雲仙」も「阿蘇」同様、マニ37を連結していました。

1980年10月の改正で廃止となるまでの約5年間を14系で走っていました。

それぞれの牽引機関車

1975年3月に走り始めた頃の牽引機関車は、東海道・山陽本線内はEF58、下関-門司がEF30というのが共通のようです。

「あかつき」や「彗星」が1979(昭和54)年7月から、山陽本線内をEF58に代わりEF65-1000が牽引するようになりましたから、同時期に急行各列車もEF65-1000に変わったのかと思います。

九州内は、「阿蘇」がED76(上りがED73)、「くにさき」がED76、「雲仙・西海」は、門司-鳥栖がED73(上りはED72)、鳥栖-長崎・佐世保がDD51だったそうです。下り「雲仙」が鳥栖-長崎を通しで、上り「西海」が佐世保-鳥栖を通しで牽引したようですね。

1976(昭和51)年7月の長崎本線・佐世保線の電化で、「雲仙」「西海」ともにED76での牽引となったそうですが、「あかつき」が同区間をED72やED73、DD51などが担当していたようですから、ひょっとしたらED76以外も運用に入っていたかもしれません。

用意した車両

もともと、「雲仙」や「阿蘇」を走らせたい!という思いが強かったわけではなく、以前から14系座席車を何両か欲しいなぁと思っていたところに、ユーズド商品を扱うネットショップでKATO14系座席車単品をセットにして割安で販売されていたのを見つけたのが、事の始まりです。

なので、実は「雲仙」や「阿蘇」で走らせよう、というのは後付けの理由。

6両ほどで様になる14系座席車の編成を探していたら、ちょうどいいのが見つかった、という感じですね。

なので、東海道・山陽を走る11両や12両編成(マニ37を除く)で走らせることはできず、九州内で分割した後の姿になります。

で、購入したのは、KATOのいわゆる旧製品。

スハフ14のテールライト、トレインマーク部分を照らすのはムギ球ですので、赤みを帯びています。

品番は5036「オハ14」、5037「スハフ14」、5038「オハフ15」です。

後年発売されたJR仕様のような、テールライト横から垂れ下がるジャンパ栓はありません。

トレインマークは、写真にある「急行」の他に、絵柄の「踊り子」、「つばさ」と「しおじ」。きっと「急行」以外で走らせることはないんでしょうけどね。。

車端のジャンパ栓類がないのが寂しいですが仕方ないですね。そのうちに、なんとかしたい(できるものなら…)と思ってます。

ただ、予想外だったのは、前オーナーによって全車両ともにカプラーがKATOカプラーNに取り替えられていたということ。改めて付け替える必要もなく、そのまま使用することにしました。

ということで、いつもなら、走行前に何らかの整備をするんですが、今回は何もなし。そのままレールに乗っけました。

そうそう、せっかくなのでマニ37も、ですね。

これは、急行「きたぐに」のセットから流用します。

なので2000番台ですから14系に連結させるには不適切なんですが、見た目的には許容範囲かなと思います。「阿蘇」「雲仙」などに連結されたマニ37は、14系連結用にブレーキが改造された200番台になります。ブレーキなので違いがあっても下回り。ホームからは見えないし、走っていたら気付かない、かなと(笑)

走行の動画撮影

まずは、鹿児島本線を走る下り「阿蘇」。「くにさき」と併結になった1978年10月以降の姿です。

ED76は1000番台です。赤いED76の次位にある年季が入った(ように見える)マニ37が良い味を出しています。

続いては、同じくED76牽引ですが、マニ37が無いので佐世保発の上り「西海」のイメージです。

佐世保線内を、鹿児島に集中配置された1000番台が牽くのはちょっと違和感がありますが、長崎本線を走った実績もあるようですし、まぁいいかな、と。というよりもED76の基本番台、欲しいんですけどね。。未入手です。

続いては、肥前山口で「西海」を切り離した「雲仙」。終着駅長崎までのラストスパートの様子です。

やっぱりDD51は、いいですね。長崎本線では電化後も「みずほ」はしばらくDD51での牽引でしたが、電化後に「雲仙」を牽くことは無かったんでしょうか。

動画の最後は、マニ37の無い、佐世保線電化前の「西海」。

DD51+14系6連のシンプルな構成もいいですね。

最後に写真をいくつか。

ED76+マニ37なので、下り「阿蘇」ですね。

カーブ終端間近なのでカント量が少なめですがインカーブらしい写真が撮れました。

これは、テール側から。

ムギ球の赤さがよくわかるかと思います。

これだけ足回りが暗いと、ジャンパ栓が無いのもあまり気になりませんね。

編成全体を撮ってみました。

国鉄時代の列車を走らせると優等列車だと10両を超えることが多いのですが、分割した後の編成だけにコンパクトに見えます(といっても、これでも機関車を含めると8両あるんですけどね)。

こちらはDD51+マニ37ですので長崎本線電化前の下り「雲仙」です。

こちらはマニ37を外しているので「西海」ですね。

S字カーブでの撮影です。ちょっとボケましたが、逆に走ってる感が出たかもしれませんね。

最後は、「誰」?

そういえば、タイトルに「くにさき」を含めているのに、これまで「くにさき」が一度も出てきてません。単独運行時代の11両は物理的に無理ですし、「阿蘇」併結時代の5連も再現してませんので。

というわけで、このスハフ14は上り「くにさき」ということにしておきましょうか。

この先の展開

ところで、そもそもなぜ14系座席車が欲しかったのか、というと、やっぱりアレです。TOMIXの14系寝台車を購入してから、ますますその思いが強くなりました。

国鉄末期からJRに移行する頃、10系寝台車を使用していた急行の多くが14系座席車+14系寝台車の編成へと移行していきました。

そのあたりを走らせてみたいなぁ、と考えています。

ただ、実現にはいろいろと問題があるんですが、いつかは(そう遠くない先に)実行してみたいと思います。

【参考】急行「阿蘇・くにさき」「雲仙・西海」時刻表

この編成が走行していた1978年10月の時刻表を挙げておきます。

【下り】

20142012034203
阿蘇くにさき雲仙西海
新大阪1831
大阪1837
18572042
三ノ宮19222111
神戸19262115
明石19432133
加古川20002150
20012151
姫路20162208
20182212
相生20342229
20342229
和気2105
岡山21272320
21322341
倉敷21462357
新倉敷2155006
金光2212013
笠岡2225026
福山2228040
2239041
尾道2255057
糸崎2307108
三原2311112
2312113
西条005
広島038219
045225
岩国120303
123309
柳井158344
218403
下松224410
徳山233418
235420
防府300451
小郡315507
330508
宇部357530
358531
小野田404536
厚狭411543
426543
下関504613
516621
門司525629
534542634
小倉540549640
541550541
戸畑548||
八幡||652
黒崎557||656
折尾603||
604||
博多644||743
655||749
鳥栖720||814
727||819
久留米734||||
735||||
羽犬塚747||||
瀬高754||||
大牟田808||||
809||||
玉名827||||
上熊本850||||
熊本855||||
佐賀||841
||842
肥前山口||856
||902910
肥前鹿島||919||
諫早||1032||
||1033||
長崎||1057||
武雄温泉||926
||930
有田||947
早岐||1000
||1009
佐世保||1019
行橋612
613
宇島631
中津638
柳ヶ浦656
宇佐703
杵築726
別府750
751
大分806
列車種別はいずれも急行

【上り】

42022024204204
くにさき阿蘇西海雲仙
大分1815
別府1827
1828
杵築1851
宇佐1914
柳ヶ浦1922
中津1941
宇島1955
行橋2013
2013
佐世保||1941
早岐||1951
||2003
有田||2017
武雄温泉||2034
||2034
長崎||||1854
諫早||||1920
||||1921
肥前鹿島||||2036
肥前山口||20512051
||2101
佐賀||2114
||2115
熊本||1717||
玉名||1750||
大牟田||1809||
||1810||
瀬高||1824||
羽犬塚||1831||
久留米||1844||
||1845||
鳥栖||18532137
||18552146
博多||19212211
||19242213
折尾||2009
||2010
黒崎||20162301
八幡||2306
戸畑||2025
小倉203620322318
203720402319
門司201320472326
21072331
下関21162340
21202357
厚狭2149030
2150031
小野田2157038
宇部2202043
2203044
小郡2229106
2237108
防府2254124
徳山2321149
2323158
下松2332207
2340214
柳井010234
岩国041303
058310
広島137346
203352
三原317512
318513
糸崎520
尾道340529
福山357547
358552
笠岡606
金光430617
新倉敷624
倉敷447634
岡山502647
515652
和気721
相生607756
607756
姫路625817
627819
加古川642836
643836
明石702857
神戸719914
三ノ宮723919
大阪750945
951
新大阪957
列車種別はいずれも急行